Daily Operation

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ラージプロフェッサーの新譜により呼び起こされた思いは抑えきれず、先週末久々に新宿のユニオン、クラブミュージックショップへ。
ヴァイナル、CDと続き都合3枚目以上であることは自覚しながらも、ダンボールを掘り起こす面倒さ+どうしても今聴きたい衝動>中古盤2枚で1680円、ということで買っちゃいました、ギャングスターの「Daily Operation」と「Hard to Earn」。
まずは「Daily Operation」


Ex Girl To Next Girl

プリモが作風をフリップとチョップにシフトしていくちょっと前、サンプリングに対するフリーなマインドにビジネスが入り込んできだした頃、90年代初頭はジャズにファンク、美しいサンプリングサウンドの見本市だ。
特にジャズ。
ネイティブタンらがそのままスムースでジャジーな世界を構築したが、ホーンやピアノ、パーツは様々な色のプロデューサーに波及していき、プリモが奏でたジャズファンク・ヒップホップも、ムーブメントを牽引するひとつの要因だった。
ガールネタに洒落たホーンがバッチリな「Ex Girl To Next Girl」、それこそジャズマタズ主催のグールーの意向も多聞にあると思われる。
ピアノにハーモニカ、走り気味のサウンドがスウィングさせる「The Illest Brother」なんかは非常に分かりやすくカッコよく、若き日のオレもすぐに気に入った。
JBを敷いた、シンプルに跳ねるピアノループが最高にクールでファンキーな「B.Y.S.」、大好き。
不穏なホーンループに、水の流れる音色を違和感なく溶け込ませた「2 Deep」は当時、かなりフレッシュだった。
この曲をはじめ、短いフレーズを擦って作るフック、これぞプリモ印になってく訳だが、カッコいいよねえ。
「Much too Much」もそうだし、この作品はホーン使いがひとつのフックになっている。
ただしスウィングジャズのような華やかさを取り入れるのではなく、ドラムなりベースなり、暗いところで鈍く光る、ニューヨークヒップホップ全盛の空気感で統一しているため、安易な印象はない。


Take It Personal

Skull Snaps「It’s A New Day」使いの代名詞ともいえる、今作のハイライト「Take It Personal」は確かに、完璧なドラム、ヴァースを刻むピアノ、フックのロマンティック・スクラッチ、このアルバムを象徴する仕上がりだ。
サウンドばかりにクローズしてきたが、この曲で自らの名前、グールーで刻んでくるライミングに代表されるように、そのマナーに沿ったラップはでしゃばらず、かつ、トラックと相俟って独特の世界観を構成するのに大いに貢献している。
スクラッチと細かく刻んだビートのループ、グールーの渋めなラップで構成されるどシンプルな世界こそ、ギャングスターの魅力。
イントロ的役割を果たすブルックリンレペゼン曲、「The Place Where We Dwell」は聴く者を一気にその世界に引き込んでいく。
「Flip The Script」も同じくビートとライム、飾り気はない。
だからこそ際立つフック、ピアノの上で鳴る「like this yall like this yall」のリフレイン!
飛ばされないわけがない。
次作で誕生する名曲「Code of the street」に通ずる広がりあるストリングスがドラマチックな「Soliloquy Of Chaos」もスルーできないクオリティ。
予備軍として当時活動をともにしたギャングスター・ファウンデーションからリル・ダップとジェルーをフィーチャーした「I’m the man」はやっぱり、マイクリレー・オブ・マイ・ライフ。
ヴァースごとに変化するプリモのトラックは、それ自体1曲いけるクオリティで、実に贅沢だ。
しびれる。

どの曲にもこだわりのパーツが、これまたこだわりのプロダクションで料理された極上のヒップホップ。
聴けばいつでもバックパック背負い、ショックウェーブが脳みそを揺らし、キャップ同様、街を斜めににらみつけながら歩いたあの頃のオレがよみがえる。
フレッシュ!
by blue-red-cherry | 2008-10-29 20:16 | 音楽
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