5th WHEEL 2 the COACH

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このクソ寒いのに、毎日「サマージャム'95」を聴いてるっていうww
オールタイムフェイバリットだから、毎年かなりの回数聴くけど、今年はそれがちょうど今。
いい機会なので、書き残しておこう、スチャダラパーの4枚目、「5th WHEEL 2 the COACH」

みな口をそろえて言ってるが、確かにこのアルバムの「ヒップホップ度」、いや、Bボーイ度は高いよね。
それまでの3作と外伝、つまりブギーバックまでの流れからいくとよりポップフィールドに迎合したディテールになってもおかしくないのに、ビートはクソタイトだし、サンプリングもここに極まれりってな具合のヒップホップサウンド。
アニの存在感もこの作品から断然増してくるんだけど、それがキャラ面だけじゃなくてボーズとの2MCとしての掛け合いも本格化して聴こえるし、シンコのスクラッチも冴え冴えなのでそれがまたど真ん中のヒップホップグループ然としてる。
一方でトピックとしてはオモロラップ的な内容もしっかり残ってて、オレ的にはこのあとの「音もラップもひたすらタイト」になっていく分岐点、それまでのユーモアやセンスに長けた部分とソリッドなヒップホップの混ざり具合としてベストなんじゃないかと位置づけている。
だからこそ、ファンが多いんじゃないかな、このアルバム。

ラッパーでストーリーテラーって呼ばれる人たちってなんか、映画調のシナリオがあって劇がかったものを指してることが多いけど、スチャはスチャでストーリー作りがめちゃくちゃうまい。
そして完結させるのが絶妙にうまい。
これはドラマや映画のシナリオじゃなくって、コントのネタ作りに近いものを感じる。
どっちも役になりきって演じるわけだけど、ビジュアライザーと自称するジブさんの世界観と、オモロラップを出自に持つスチャの世界観と、同じラップ上のロープレでも違ってくるのは当然で。
それはこのアルバム以前の「ついてる男」とかその辺のほうが堪能できるけど、このアルバムでいえば小説で多用されそうな表現を意図的に使いまくったリリックで「文学」の世界観を描いた「B-BOYブンガク」、完全にネタに走りきった「ノーベルやんちゃDE賞」も受賞者のプロフィールでヴァース作ってクライマックスで本人出して落としてる。
「サマージャム'95」だって、みんなの夏の定番曲なのは、みんなのいかんともしがたいけだるい夏の一日のストーリーだから、なような気がする。

テーマを使って言葉遊びを聴かせるテクニックも図抜けてる。
「南極物語」なんて「南極」は結局南極がいいたいがための南極物語であって、結局南極という落としを際立たせるためのヴァースのどうでもよさったらない(めちゃくちゃ褒めてます)。
結構二枚目なイントロで入っときながら、ゆるゆるのべしゃりスタイルフロウでの遅刻うだうだバナシ、遅刻ネタの歌を「The Late Show」とつけてくる辺りもスチャのセンスのよさが凝縮されている。
ベタだけど喜怒哀楽をヴァースで表現する「From 喜怒哀楽」も抜かりない。

でもってやっぱりこのアルバムは、ビートが全曲ヤバイ。
ド頭イントロと締めのアウトロ、「AM0:00」「AM8:30」からして硬質のドラムにジャジーでスペイシーなウワモノが鳴り乱れる。
例のフルートループが炸裂する「B-BOYブンガク」にしたって、ニューヨークを臭わせるんだけど、トーキョー的なアーバン感漂いまくり。
「ノーベルやんちゃDE賞」とか「南極物語」とか、ネタ系、というより2MCの掛け合いを生かす曲には早めのトラック、オールドスクールマナーに沿ったクラシカルなブレーク使い。
「ジゴロ7」みたいなポッセカット対応なファンキーナンバー作らせても上手だよねえ。
なんといっても「人間発電所」なみに気持ちよさにやられちまう「サマージャム'95」のトラックは、シンコの才を全ヘッズに見せ付けることになったと思う。
ラウンジ対応な「ULTIMATE BREAKFAST&BEATS」もかなりスムース。
いやあ、踊れるし気持ちいいし、アルバム総じてここまでトラックのクオリティが高い日本語ラップのアルバムってあったっけね。
単純に断ってるような気がしないでもないが、シンコにもっとトラック頼むラッパーがいてもおかしくない。


満場一致のクラシックはいつ聴いても最高だ。
古くないし、どんな時代にも馴染む。
やっぱすげえな、このアルバムは。
再発の紙ジャケ盤、買っちゃおうかな。
by blue-red-cherry | 2009-01-15 22:21 | 音楽
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