マンチェスター・ユナイテッド×リバプール イングランドプレミアリーグ08-09 第26週

c0025217_0571499.jpgc0025217_0572126.jpg
c0025217_0573585.jpgc0025217_0574262.jpg

昨晩はプレミアリーグのビッグマッチ、マンチェスター・ユナイテッド×リバプール
ともにミッドウィークのチャンピオンズリーグではそれぞれイタリア、スペインの名門を圧倒して迎えた直接対決だけにテンション上がった。

序盤はホームとアウェーの構図がくっきり。
オールドトラフォードで圧倒的な強さを誇るマンUが攻勢に出、一方アウェーの戦い方で臨んだリバプールはまずはしっかり守る、定石どおりに無理をしない。
というか出来ない。
序盤のマンUの勢いは確かなもので、前線のルーニー、テベス、ロナウド、パク・チソン、この4枚のユニットはかなり強烈だった。
便宜上ルーニーとテベスの2トップ、両翼にほかの2人という布陣があったが、いざゲームが動き出せばポジションはあってないようなもの。
誰かが外に開けば誰かが中に入るし、誰かが楔を受けに下がってくれば誰かがそのスペースに飛び出す。
決まりごとがあるというよりはその場その場の動きに対してそれぞれが正解を見つけられるだけの能力がある。
中でも目立ったのがパクの動きで、楔やサイドの崩しなどのタスクを負わない代わりにたびたびエリア内、危険な位置に出没した。
先制点のPKに繋がった動きは見事で、ファウル自体の重さはなかったものの、彼の動き出しがゴールへの確率を高め、PKを妥当なものにした。
ベルバトフシステムを確立してここまで快進撃を続けているマンUだが、彼を置かないメンバーでも彼を置かないなりのムービング、できている。
ムービングはシステムじゃなくて、個の選択の集合だ。
そしてこのユニットが圧力足り得たのはとにかく繰り返されたこと。
トライ&エラーの繰り返し。
失敗を前提に攻めている、なんてことはありえないが、想定はしている。
だからこその異常なまでの、と形容される切り替えの速さが実現されている。
ポジション上フィニッシュに絡まない選手はクロスがゴールに繋がるか否かをフィニッシュまで眺めて判断するのではなく、その弾道がゴールへ迫らないのを悟った時点でもう、次のアクション、カウンターを許さない、もしくはセカンドを奪って畳み掛ける、その動きへシフトしている。
連携も切り替えも高度な組織戦術のようでいて、恐ろしくハイレベルな個人戦術だったりする。

しかし前半、優れた個のインパクトはマンUのトップ4ではなく、リバプールの2大スターが勝った。
急造右バックとなったキャラガー、センターを統率したヒーピアと潰し屋シュクルテル、好調維持のファビオ・アウレリオの4バックとマスチェラーノ、守備陣の集中力は非常に高く、マンUに最後の一手を打たせない。
中盤にPKで先制を許すも、徹底して耐える。
ビルドアップからの攻撃に長けるリバプールだが、この試合はアロンソを欠いた(なんでだろう)こともあり、また、前述したマンUオフェンスの圧倒的な圧力の前にセーフティーファースト、マイボールはすぐさま前線へ送られた。
彼らの高速グラウンダーによるビルドアップ、崩しに魅せられているものとしてはガチにやり合う姿も見てみたいところだったが、現状、それは理に適っているとは言いがたい。
そこで現実的な選択ができ、実践できるのがリバプールの強み。
足元うまく、攻撃のアイデアを豊富に持つ選手たちはハードワークすることを厭わず、耐えるサッカーができるメンバーでもあるのだ。
そしてこの戦いを勝利に結びつけるのが、突出した個の役目。
シュクルテルの苦し紛れのクリアがマンU陣内で大きく跳ね、普通に処理しようとしたビディッチの背後からスピード、バランス、文句ナシのチェイスでボールを奪ったトーレスがぶっち切り、ファン・デル・サールの右脇を破った。
この瞬間まで圧倒的に押されてたリバプールがようやく得たワンチャンス。
いや、ビディッチの甘い判断もありつつ、トーレスのここいちばんのパワーが発揮されなければなかったゴール。
ファウルにならないギリギリのチェックでボールを奪い、その後も相手を寄せ付けないボディバランス。
さらに世界最高のGK相手にワールドクラスの駆け引きの末に、1個しかなかった正解のコースに流し込んだフィニッシュ。
このあともトーレスはビディッチとのマッチアップを優位に進める。
大袈裟に体をぶつけたかと思えばするりと視界から消える。
マーカーに対し持てる引出しからいくつものカードを切り、翻弄する姿はフィニッシュや突破とはまた違った、いやなフォワードとしても優れているポテンシャルを感じさせた。
今まさに世界一のストライカーへ脱皮しつつあるこの男から、ひとときも目が離せない。
願わくば大きなアクシデントに見舞われないこと、ファンとしては切に願わざるを得ない。

そのトーレスのスルーパスに抜け出し、エブラのファウルを受けてPKを奪取、決めたジェラードも凄かった。
マンUのアタッカー陣に比べれば格段に運動量は落ちるんだが、その分、攻撃参加したときの存在感が違う。
2、3人引きずり倒すドリブルも、パワーと繊細さを兼ね備えたダイナミックなパスワークも、規格外。
ゴールパフォーマンスもまったくもって規格外。
口づけされたカメラのレンズに残ったジェラード液が頭に残って離れないww
相手との力関係、苦しいときのトーレス、ジェラード頼みはリバプールの支えだ。
そのためにも最終ラインや両翼、中盤の底、とほかのメンバーの献身があるのだ。
カイトはともかく、リエラも最近、CLでのロッベン対策といい、この試合のロナウド対策といい、すっかり献身的な守備が目立つようになった。
組織的でありながら個を生かす作り、それがリバプールの根幹。

後半もポゼッションはマンU。
リバプールは耐える形が続く。
リバプールの逆転でよりその構図が強まったことで、リバプールの耐える戦い方もシンプルに貫かれる。
セーフティーなクリアが繰り返され、それをマンUが拾って拾って厚みのある攻撃が繰り返される。
中央突破にワイドに、攻撃パターンも豊富で、リバプール守備陣は相当きつかったはず。
だけどどこか正直。
クロスもミドルもワンツーもどこか正攻法すぎたように映ったんだよな、マンUは。
最大のチャンスだったロナウドのクロス、ファーでルーニーが落としてテベスが詰めそこなうって場面もある種オーソドックスでセオリーどおり。
決めきれなかった攻撃と踏ん張った守備、どちらも確かだが、迫力もバリエーションもありながら崩しきれなかったマンUの攻撃にあえてひとつ注文つけるとすると、正攻法すぎる、攻めすぎる嫌いがあったかもしれない。
そういう意味でベルバトフ、スコールズにギグスと豪華すぎる3枚同時交代が行われた背景にそういう期待はあったかも。
どの選手も独特の間合いがあり、リズムがあり、アグレッシブに前線を活性化させたスタメンの4枚とは違った魅力、欠けている部分ともいえるコントロールができる選手。
もう少し時間があれば面白かったかもしれない。

リズムを変えようとしたその直後、耐えてきたリバプールが一瞬のチャンス、またしてもロビング気味のボール処理にはっきりしないビディッチを尻目に抜群の入れ替わりをみせたジェラードが突破。
決定機に繋がる進路を妨害したとして、ビディッチが一発レッド。
まったくもって不運な一日だったが、このプレーにいたるまでトーレスが与えつづけた駆け引きによるプレッシャー、それが帰結した形だったと見る。
恐るべきベビーフェイス。
そしてこのフリーキックをリバプールがものにしてしまうから面白い。
ファビオ・アウレリオの美しすぎるフリーキック。
キーパーが一歩も動けない直接フリーキックって弾道が恐ろしく美しいものばかり。
実況のクラッキーと解説の三浦ヤスもこのシーンが分かれ目だったと言っていたが、確かにここでの追加点は大きかった。
守備陣のプレッシャーは、相手がさらに捨て身で攻めてこようがかなり軽くなったはずだし、ここまで頑張ってきたトーレスをバベルに変えるなど、采配の部分でもベニテスに余裕を与えた。
耐え切った末のセットプレーでの一刺し、これもまたサッカーの定石だが、徹底したスタンスがこのゴールを生んだ。

ラストまでアタッカーを増やしたマンUの攻勢が続いたが、まさに船頭多くしてなんとやら、リズムの違いはアクセントにこそ成り得ても、一気呵成、まとまりの強さを求められる時間には向かない。
恐ろしく豪華な個の競演は散発に終わり、挙句一本のゴールキックからドスセナにまさかのダメ押し弾を喰らって万事休す。
プレミアの火を消さんとばかりにここいちばん、大一番で最高の集中力を発揮したリバプールが完勝した。

正直今年のマンUは憎らしいばかりに強かったので、本当に痛快だった。
でもわからないもんだよね。
アロンソがいてアルベロアも元気に出てて、ベストメンバーでがっぷりよつに組み合ってたら、こういう風にはならなかったかもしれない。
不利な状況をプラスに変え、真っ直ぐブレない戦いを演じられたことは結果としてポジティブだった。
連戦の影響でベテランを控えに回したマンUもどうだったか。
フレッシュな前線は前半、リバプールを自陣に釘付けにしたし決して悪くはなかったが、いかんせん真っ直ぐすぎた。

選手起用、戦い方、さじ加減ひとつでドラマが生まれる。
同じ対戦が同じ内容、同じ結果になることはまずないだろう。
サッカーは本当にやめられまへん。
CLでの再戦、実現しないかなー。
by blue-red-cherry | 2009-03-16 00:59 | サッカー(FC東京以外)
<< サムギョプサル 鶏チゲ鍋 >>