プレミアリーグ08-09、27週目土曜の対戦からスパーズ×チェルシー。 嗚呼、「アンフィールドでユルネバ歌う」に続き、「ホワイトハートレーンで聖者の行進歌う」も夢に追加だよ。 すっかり好調のスパーズ、先週4位のアストン・ヴィラを破った勢いで今週は3位のチェルシー食っちゃうんじゃないかと思ってたら、ホントにやっちゃったよ、ジャイアントキリング。 まあ今の順位だからジャイアントキリングだけど、ポテンシャル的には3、4回に1回は勝てそうなレベルにある。 好調を支える守備陣がこの試合でも堅い、堅い。 キングとウッドゲイトはスピードでもパワーでもドログバ、アネルカに対し分が悪かったと思うが、足元へ空中戦へ、とにかく厳しく当たる。 執拗なマークは末に、幾度かの準決定機と呼べそうなチャンスですら両者に仕事をさせなかった。 両サイドバックも堅い。 右のチョルルカ、左のアスーエコト(髪型編み込みに戻してくれてよかった)、どちらも上がりは自重気味でフィードも安全第一、無理な繋ぎはしない。 あくまで慎重な姿勢は上がるときにも見えて、無理だったら引き返してくるし、あのおどおどしながら上がる感じのオーバーラップ、嫌いじゃないww そんなたまのオーバーラップだからきちんと相手守備網のかく乱に貢献し、特にチョルルカは直線的なレノンの突破にアクセントをつけてて、上がるたびにそれなりの成果を上げてたように思う。 躍動感ないしセンターバックがサイドやってる感は拭えないけど、チョルルカすごい効いてるな、ここ数試合。 守備がいいのは前線からなんだよな。 前半特に顕著だったけど、ベントやキーンもサボらないんだけどレノンにモドリッチ、この辺のプレスが凄い。 しかも結構センス良くて、追い込み先がきちんとSBやボランチの取りどころに導けてる。 ジーナスとパラシオスのセントラルハーフはそれこそ目に見える猛チェイスこそ見せないものの、要所要所でしっかり仕事してるんだよね。 それもこれもオフェンシブやトップの追い込みに意味付けがされていることが大いに関係しているように映った。 それでこの中盤から前の人たちだけど、ハードワークでこれだけ守備しながら、自分たちの本分である攻撃も一切抜かりないから凄い。 特にモドリッチとレノンの両オフェンシブは途中交代で下がるまで、それまでに出し切ろうという姿勢が見て取れた。 モドリッチは攻守にホントに的確。 守備させても狙いどころが実に良かったりしてて、攻めてもとにかく気の効くプレーが多い。 攻守一体だからオフェンス時のセカンドを拾うことも多かったし、目立ったのが狭いところでの落ち着いたボール捌きとそこからの展開力。 基本左サイドから中へ入ってくるスタイルなんだけど、ラインを背にしながら流れてきた楔やサイドバックとトライアングルを作って、ドリブルや正確なロングパスで一気にスピードアップして打開する。 インサイドキックを中心とした正確なパスは転がしても浮かしてもとにかくミスが少なくって、気持ちがいい。 前にも書いたけどスパーズはいかにレノンにフリーに近い状況で、1対1に近い状況を与えられるか、そこにひとつの鍵があるから、モドリッチが引き付けたり散らしたりって動きがものすごく効いてる。 受けたレノンもレノンで素晴らしい。 後半も残り10分くらいのところでチェルシーのコーナー崩れからモドリッチに預けて長め遅めのワンツーで一気にゴール前まで走りきった場面があったけど、足の速さ、初速だけじゃなくまくってくる速さはアスリートのそれ。 アシュリー・コールとの1対1は緊張感あったけど、この日に限ってはレノンが常に先手先手。 得点に繋がった場面とその直後にも同じ形でモドリッチに合わせた場面、アシュリー・コールと相対し内から外へ右足でワンフェイクで抜きにかかるお得意のパターンだったんだけど、抜ききらないうちにクロスをピッタリ90度に上げる。 この形、すごい独特で、それでいてしっかり結果に繋がっていた。 抜ききらないうち、とはいえ相手の重心はしっかりズラしてて、フェイク、フェイク、抜き!がセオリーだとしたらフェイク、フェイクのままクロス!みたいな転調具合。 ゴールシーンを思い返せばモドリッチにキーンが被りそうだったけど、ディフェンスはついていけてなかった。 この独特なリズムからのクロスは、相対するマーカーはもちろん、中で控えているディフェンスのタイミングすらもずらす効果があるのかもしれない。 もっとも縦に絶対のスピード、ドリブルのキレと危険度があるレノンだからなせる技ともいえるが、ウイングの選択肢として非常に面白い。 タイミングの取り方だけでなく、短いモーションで強く正確なボールを蹴るパワーと技術も試される。 2度モドリッチにドンピシャで合わせてきたように、レノンは既にモノにしてるっぽい。 モドリッチとレノン。 それぞれがそれぞれのために、それぞれがそれぞれのためにパーフェクトな仕事をした試合だった。 スパーズはあと、キーンが下がってもらってそこから左右、縦に展開する形が機能していた。 ちょっともらいたがりに映るくらい下がって触ってたんだけど、収まりはいいし、楔役だけではなく前を向きやすいので、パス&ゴーの仕掛けがうまくいっていた。 対照的にアネルカが同様に下がってボールを捌いていたチェルシーだが、こちらはアネルカが下がったスペースを使う選手が出てこなかった。 アネルカが下がってきても中盤で横パスを回すかドログバに当てるかで、どちらにしても3人目が絡んでくる場面がほとんど見られなかった。 バラック、エッシェン、ランパードの3人はバランスを取り合ってるようでいて、みなが遠慮がちにプレーしていたように見えた。 攻めても守っても中途半端、能力の高さは確かなので悪い形で奪われることこそなかったが、最終的にはジーナス、パラシオスを中心に、運動量多い前線の選手も絡めたスパーズの中盤に終始苦しめられていた。 モドリッチとレノンがよかったこともあり、ボシングワもアシュリー・コールも攻撃面では消化不良。 チェルシーの不調や、ポスト、バーの活躍もあったけど、ゾーンでしっかりブロックを敷いた最終ラインに、前線からの追い込み、ボランチの守備のフリーマンとしての決定的な仕事が適ったスパーズの守備陣が最後まで集中切らさず頑張った。 何回か戦えば何回かは勝てる、その1勝だったかもしれないが、この試合、スパーズは勝つべくして勝ったと思う。 相手の良さを消し、自分たちのストロングポイントにかける戦い方。 この潔さは見ていて気持ちがいいし、それがうまくいけばもちろん、胸のすく思いを味あわせてくれる。 残り9試合、どこまで上を目指せるか。
by blue-red-cherry
| 2009-03-23 23:50
| サッカー(FC東京以外)
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