大日本人

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久々に映画鑑賞。
アメリカでの公開で先ごろ、ちょろっと話題に、電撃結婚でものすごく話題になった松本人志監督作品、「大日本人」
これはどうだろ、笑えりゃもうけもん、みたいな感じでしょうか?
オチんとこだけ見せてもなー。
ディテールはアメリカ人でも笑えるかもしれないけど。





先祖代々、電流を体に流すことで巨大化し、この映画の中の日本に定期的に訪れる怪獣たちを退治する役割を与えられた大佐藤家。
今の代が松っちゃん演じる大佐藤、その人で、その大佐藤にテレビクルーが密着取材している体で物語は進む。
今の時代の大佐藤は、怪獣と戦って退けてるにも関わらず、民衆からは虐げられている前提。
過去を振り返った発言で、先代に当たる四代目の時代は、戦争の頃でかなりもてはやされていたことも知らされるがいたって今の境遇は惨めなもの。

ヒーローの心、民衆知らず。
これだけだったら今のアメリカで大人気の鬱展開なアメコミ映画にも通ずるテーマ。
実際、テレビ局が追ってくドキュメンタリースタイルは日本っぽいし、大佐藤を煙たがる団体や一般人はまさしく日常生活で、ヒーローの非日常性を社会の日常に落とし込んだスタイルとしては同じく壮大なテーマに挑んでいるともいえる。
個人的にはそのテーマに真面目に取り組んじゃっても面白かったと思うけどなー。
迫力のなさは開き直ったデフォルメでよくってさ。
いや、それだから散漫なのかな。

思ったのは、ダウンタウンの松本人志として表に立ったときの周知のパーソナリティー、照れ屋っぷりが大いに反映された映画だと思った。
上に書いたように、まともに描けば結構重厚なテーマの話にできたと思う。
四代目がもてはやされてたところだって地味に戦争絡めてるし、公衆面前のポルノとか、微妙にメッセージっぽいのも散らされてる感があるから尚更。
時折挟まれる笑いの要素とか、ブサイクにデフォルメした大佐藤と怪獣たち、なんといっても最後のダイナミックすぎる終わらせ方とか、照れでうっちゃったとしか思えない。
「こんな映画見たことない」と思わせたかったとは本人の弁だが、あれは凡人のオレには何の効果を生み出してるかさえもわからなかった。
クレヨンで書いたような「おしまい」の文字が出て、エンドロールが始まったときは久々に呆気にとられた。
もったいないなー。
なんか意味あったのかな、あのウルトラマンもどきのスーパージャスティスのシュールな劇。
あの周りが引く感じを笑いにもってくのはまさしく「ごっつ」とかでよくあった感じ。
確かにぶち壊して終わるとすれば、あの手法が正しかったのかもしれない。
観客を置いていっても終わらせる。
そういう意味ではらしさが散りばめられてるんだと思うけどさ。
老人ホーム入りしている四代目の介護問題とか、妻子との関係とか、UAの演技が変に艶かしいマネージャーとか、いろんなとこに伏線張ってる割りには何一つ回収されないというか。

板尾怪獣が出てきたとことか、まあ百歩譲って許す。
でもエンドロールのスーパージャスティスの中の人コント、宮迫と宮川大輔のやりとりとか、最悪だったなー。
あれ映画館で見せられたら相当腹立ったと思う。
あんなの入ったら、ぶち壊しのスーパージャスティスをようやく「シュール」ってことで収めようと下げた溜飲が逆流するよ。

綺麗に作られているようでいて雑、しかも自らぶち壊すことで終わらせようとした締めのギミックがホントの意味で作品の良さまでもぶち壊しているような…。
残念。
by blue-red-cherry | 2009-05-23 22:37 | 映画
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