【其の五】その後は吾郎の五曲

c0025217_14311441.jpg

クレバの主宰レーベル、くレーベルのレーベルコンピ第5弾、「【其の五】その後は吾郎の五曲」
高校時代からハタチくらいまではFGの追っかけみたいなのをしてたこともあったのだが、我が青春のストリート至上主義、地下潜伏時代に毛嫌いしてたこともあり、キック後期からはほとんど音源を聴けてない。
それでも近年の突き抜け感は異常で、USメジャーアーティストのそれに近いものを感じるクレバ。
青いジャケのに入ってる「成功」をちょろっとだけ聴いたけど、メロもリリックも素晴らしい。
早いとこ、しっかりとソロ音源を聴かないと、と思っているが、まずはこのレーベルコンピから。

過去のレーベルコンピも未聴。
韻踏の2人とクラシックブレイクの上でライム対決をする「マッハGOGO」だけはYouTubeで視聴したことがある。
万人に向け放たれている煌びやかなソロ音源とは一線を画し、自らの周辺メンバーのショーケース、自分のやりたい面子とのコラボ企画、そしてなによりラッパー・クレバのアイデンティティーを前面に押し出したシリーズという印象があった。

で、第5弾はクレバが重用しているトラックメーカー、熊井吾郎が全曲トラックメイキング。
ライナーノーツによると、ベースの熊井トラックに、共同RECでクレバのテイストが加わってエディットされたらしい。
固めのパーツに流れるようなメロ、奥行きのある空間で強弱はっきりした音が鳴り響く作りはクレバのそれと遜色なく、音色は押しなべて美しい。
実験的なサウンドメイクも、広いフィールドで活躍するクレバの血を受け継いでる感がある。

初っ端はいきなり変化球でドラムンベースの「都会陸上」
まさにトラックを駆け抜けていくかのように、トラックの上で軽快にライムするのはクレバとロマンクルー、4MCのマイクリレー。
規則的に打ち込まれる高速ビーツに、夜を想起させるシンセ奏でるメロが響く。
イメージそのまま軽妙洒脱なリリックがハマる。
将絢の低音ヴォイスだったり、エムラスタの暑苦しさだったり、クレバが加わったこと、高速ビーツなこともあり、なんだかリップスライムテイスト。
クレバはソロ作ではとことんそのナルシズムに突っ走り、どこを切ってもクレバだらけ、客演は極力排してるイメージがある。
だからこそこの曲に限ったことではないが、ほかのMCとやることでそのラッパーとしてのスキルの高さが際立つ。
スタンダード、倍速、メロ寄り、とヴァースごとにフロウを変えてるこの曲の巧者ぶりは圧倒的。
それでいて聴こえの良さ、聴き取り易さは誰も及ばない。
やっぱクレバはMCとして一段高いレベルにあると思う。

2曲目の「NEXT LEVEL」は、タイトルどおり明日への一歩を後押しする、前向きなメッセージソング。
メロは適度にセンチメンタルながら、生っぽいドラムが心地よいグルーヴ、ゆったり体を委ねたくなるトラックが気持ちいい。
フレックス・ユナイトも未聴のグループ。
2MCともクレバとは異なった声質、落ち着いたラップでこのトラックへのマッチ具合はバッチリ。
人選勝ちってところか。


個人的なハイライトはシーダを迎えた「good boy, bad boy」
柔らかいメロのトラックでタイトに、エモくラップするシーダと、メロ作りの巧さを見せつけるクレバのフック。
この組み合わせがこの上ないハーモニーを奏でる。
シーダの「街風」での「Technic」も良かったけど、こっちのほうがいいね。
アプローチする立ち位置こそ違えど、ベクトルは同じ。
そんな2人の世間体に向けたリリックも必聴の深みがある。

Lボーカルに、アミダakaエビスビーツと、曲者3者のマイクリレーとなった「無くない!無くない!」は期待通りの遊び心に満ちた一曲。
トラックもエビスビーツの諸作で味わえるような、派手な鳴りと、隙間の多い作り、ラッパーのスキルやメッセージに耳を傾けられる気の効いた変則サウステイスト。
クレバの社会風刺のヴァース、Lのパブリックなヒップホップイメージ斬りも面白いが、アミダの「自称ラッパー」百態をブラックユーモアで描くヴァースが痛烈。

千晴との師弟愛に満ちた「忘れずにいたいもの Remix」に関しては割愛。
同じくライナーにあるが、録音エピソード込み、リリックもそうだし、クレバとくレーベル周辺を追いかけてるファンへのボーナスっぽい匂いがするし、そこで楽しむべきものっぽい。
扇情的な美しいメロと、クレバのフックがこれまた秀逸なのは変わらない。

5曲入り1,500円のEPとしては出色の出来。
バラエティに富んだカラフルなメンバーの好演を楽しみつつも、やはりクレバのパフォーマンスに耳が引っ張られ、より彼の作品への思いを深くした。
それとは別に、熊井吾郎のトラックの良さもしっかりと心に残った。
思えば日本人のトラックメイカー(ラッパーもだけど)で、こう、苗字と名前でやってる人とかほとんどいないよね。
そこでなんとなく色眼鏡で見ちゃうところもあったけど、バッチリヒップホップしてる。
熊井吾郎、その人の動向も楽しみになってきた。
by blue-red-cherry | 2009-07-04 15:18 | 音楽
<< モスバーガー 冷やしカレーうどん >>