ヴィッセル神戸×FC東京 J1第16節

c0025217_16571727.jpgc0025217_16573333.jpg
c0025217_16574629.jpgc0025217_16575546.jpg
c0025217_1658558.jpgc0025217_16581254.jpg

リーグ3連勝をかけたアウェー神戸戦
監督交代に揺れ、結果に対する高いモチベーションを持って臨んできた神戸を相手に、強弱あれど、余裕を持った内容での完勝。
すべてに120%の出来でなくとも勝ち点3を得られる、地力がついてきたことを証明する、アウェーでの勝利だった。

連敗脱出を期した神戸の圧力と集中力は序盤から確かなものがあった。
出方をうかがう東京を前に、2トップ以下、前線から積極的なプレッシャーをかけてきた。
これは最終ラインからのビルドアップを身上にする東京にとって、いつかは試される試練であり、良い試金石になった。
城福さんが試合後のインタビューで語っていたが、フォワードからチェイスしてくる神戸に対し、梶山と米本は前半、フォローを優先していた。
今野とブルーノ、それに両サイドバックは変わらずミスなく、セーフティーにプレーしていたが、出しどころの確保という意味で、センターハーフ二人のフォローは仕方なかった。
最終ラインは楔、裏へのアタックに備える形で受け身になりながら様子見した前半、センターハーフがそのフォローに回ることで前線と守備陣との距離が空いてしまった。
この状況と、中盤でのぶつかり合いを望まなかったということ、2点を踏まえた東京は、相手の勢いを利用すべく、長めのボールによる楔とカウンターに活路を見出していた。
好調2トップと、その下に控えるは自在の男・石川、さらに3人を活かすためのベストの動きをチョイスしていた羽生が支えるこの攻撃陣は実際、放り込まれたボールに対する競り合い、オフェンスのセカンドボールへの反応、奪ってからの判断と実践力、どれをとっても優れており、それなりに形を作れていた。
全体的に圧力を受けながらもしっかりと跳ね返し、少ない手数で前線のタレントが仕掛けることで、ラインを押し上げる。
今回のところは、ハイプレッシャーを志向するチーム対策のひとつの回答として、無理をしない、好調な前線のタレントを活かす、という手で対抗した。
実際いくつかの決定機があり、また、圧力を受けていたものの、シュアな攻撃が相手守備陣へのプレッシャーとなり、神戸もう神戸とて、人数かけての攻撃はかなわなかったという点で、一定の成果は挙げられていたと思う。
「自分たちの時間を増やす」という意味では物足りなかったが、気合い充分、手負いの相手を前にリスクを極力排除した戦い方は悪くない。
まああの程度のプレスであれば、最終ラインのフォローは梶山一人に任せ、ヨネはいつもどおりリンクマンとして攻守のサポートをしてほしかったし、もう少し高い位置取りが適えば、ポゼッションで相手をコントロールすることもできただろう。

攻めの時間が短かった中、最終ラインの充実振りを改めて思い知った。
今野とブルーノの2人はとにかくバランスがよく、ともに持ち味を存分に発揮。
ともすれば出すぎなくらい、楔へのチェック、インターセプトでは高い位置まで追い、縦に速い攻撃を志向した神戸の裏狙いのフィードに対しては確実に一歩先に対処。
各人とも守備範囲が広く、また局面でも確かな強さを発揮した。
センター2人のバランスの取り方がお互いを活かし合う結果になっているのは間違いないが、両サイドバックのセンターへのフォローも見逃せない。
サイドバックのセンターバック的守備、とでもいうか、徳永も長友も、絞ってきての守備での貢献が目立つ。
それはセンターバックが高い位置で勝負することへのフォローでもあるし、それとは違い、楔へファーストアタックをかけるセンターバックと挟み込んでボールを奪う、なんていう積極守備も目に付く。
マイボールの時間長く、試合を支配できている際はポゼッションのパーツとしてすっかりボール回しに加わるタスクができたサイドバックだが、こう、守勢を強いられた際もまた、連携面での進化がうかがえる。
4人とも90分、一度たりとも集中力が途切れることはなく、かつてない安定感が生まれてきた。

なかなかに興味深い前半だった。
苦戦を凌いだ、というのとはまったく違う。
見え方としては、余裕があった、というイメージだ。
かといって気の緩みは一切見られない。
散発ながら鋭いカウンターも仕掛け、省エネしてたとか、サボってたという印象もない。
でもどちらかというと流してた、相手の勢いを削ぎながらチャンスをうかがっていた、というか。
大久保のパスに我那覇が反応し、権田が飛び出して事なきを得たあのシーンくらいか。
それ以外はやられる気配もなかったし、攻撃面でも人数かけたりパスを多く繋いだりで崩す場面こそ少なかったが、散発でカボレや石川がゴールを脅かす回数が時間とともに増え、徐々にだが、神戸の勢いが失われていく…ガードを固めながら細かくダメージを与えつづけ、相手のライフゲージを減らしていく…そんな戦い方だったように思う。

ハーフタイムの城福さんの指示どおり、前半セーフティーを優先し低めだったラインをブルーノが高くコントロールすることで、チーム全体が押し上げられた後半。
梶山とヨネのコンビの位置も一段高くなり、アンカーにどっしり座る梶山と、自在に動くヨネのバランスが復活する。
引き続き、平山、カボレ、石川、羽生の距離感は良く、ここにヨネが加わるのと梶山のコンダクトでリズムが生まれ、サイドバックも参加しての厚みある攻撃が、後半開始から実践された。

そしてまたしても石川である。
前半はやや中盤が間延びしたことで高いポジションでのプレーを余儀なくされ、常にマーカーがつきまとう展開だったが、それでも相手ミスを奪った23分、ボール奪取の勢いを殺さずに鮮やかなステップで宮本を抜き去り、平山へのパスでチャンスを演出したかと思えば、41分には平山との崩しから、こぼれ球をエリア右から迷わずダイレクトでボレー。
この試合でも前半から、誰よりもゴールの予感を漂わせていたのは間違いない。
後半、ラインが高まり、全体の距離感が良くなったことでより顕著になったが、今、東京の攻撃陣は石川を中心にスライドしている。
石川のポジショニングは本当に神出鬼没で、もはや右サイドを基点に、という表現も当てはまらないくらい、自在なポジションを取る。
そんな彼を2トップや羽生が常に意識し、石川のためのコースを空け、石川が飛び込んでくるためのタメを作る。
約束事、ではないだろうが、個々の意識レベルの中に染み付いている感じ。
特に羽生は石川の動きに合わせてスライドする形が多く、石川の好調を強く支えている。
50分の先制点はそんな石川に点を取らせるための前線の連携がベストに繋がったシーン。
早いリスタートを平山が競り落とし、受けたカボレがディフェンスを引き付けて突進、リターンを受けた羽生はダイレクトで石川が走りこんでくるスペースへ流し、そのボールを石川が狙いどおりのトラップとボレーでぶち込んだ。
石川の活躍の秘訣を個人の中だけに見つけるのは難しい。
石川が点を取る過程には必ず、平山やカボレ、羽生をはじめとしたチームメイトのプレーとの因果関係があるはずだ。
とはいえ、個人のプレーが優れていることにも疑いの余地はない。
あの密集地の隙間に落とした大きめのトラップが、狙ったものだというんだから、恐ろしい。
見えすぎだ。
決してブラフには思えない。
証拠に彼の迷いのないプレーは結果、枠内にきっちりシュートを飛ばせているし、自身を囮にしてのラストパスもしっかり送れている。
前半にはチャンスと見たか、驚きのロングスローまで披露している。
恐るべき、状況判断と全体把握の能力の高さ、そしてどこでも対応し得るプレースタイルの幅広さ。
穴が見当たらない。

c0025217_16584018.jpgc0025217_1658477.jpg
c0025217_1659048.jpgc0025217_1659647.jpg

ホント、全体的にいいんだよね。
グアムで相当鍛えられたんだろうな、と今になって思う。
苦しい時間を乗り越えた後半、勢いを失っていく神戸と反比例して、時間が経つごとに運動量が増えていく東京。
単純なクロスや放り込みはいともたやすく跳ね返し、自分たちのボールにする。
カボレのゴールの際は、大久保が左サイドから単純に放り込んだクロスを長友がしっかり繋ぎ、素早い繋ぎでフリーの羽生が前線へスルーパスを出した時点で勝負あり。
かけっこでカボレに勝てるディフェンダーはそうそういない。
鋭いカウンターを見せたかと思えば、60分前後には「オーレ!」の時間。
センターバックとセンターハーフで組まれたボックスで機をうかがい、今野や梶山から縦へ鋭い楔が供給される。
楔を受けた2トップや羽生は素早くサイドへ展開し、サイドに大きく揺さぶりをかける。
サイドバックの位置取りも上がり、セカンドボールを拾っては攻めなおし。
仮にボールデッドしないまま攻撃を終えてしまっても、高い位置でのカウンター封じのプレスは怠らないし、戻りも速い。
苦しい時間にこのポゼッションと、組織された守備ブロックでは、神戸もきつかっただろう。

さらに、鈴木達也である。
個人的には最近の達也の交代出場時のプレーは非常に高く評価している。
持ち前の運動量と攻撃性を最大限に活かし、縦に速くいけるときは必ずフィニッシュで終わり、難しければキープできる技術もある。
難しいリードでの出場だったりするが、状況判断が良く、非常に効果的な交代カードとして機能していると思う。
達也はもはや、12番目のスタメンと呼べるくらい、重要なピースだと思う(プロである以上、11人に入りたいだろうけど)。

アンカーに鎮座すると梶山の安定感は絶大だし、リードしたときこそ、今ブルのボール回しとラインコントロールが輝きを増す。
地元凱旋で終始空回り気味だったヨネだけど、最低限の仕事はこなしたし、気負いすぎも仕方ない。
そこに浄を持ってきて最後しっかり締めた城福采配もぬかりない。
あの短い時間では、赤嶺の評価は難しい。
貴重な選手であることは変わりないので、どうにかこのいい流れの中で活かしたいんだが。

不安が残るのは非出場選手のコンディションぐらい。
最後まで各所、1対1で負ける場面はどのエリアでも、ほとんど見られなかった。
「ポテンシャル高い選手はいるんだけど」といわれつづけた東京だが、ようやくそのポテンシャルをチームとして発揮できるようになってきたのを実感する試合だった。

一歩ずつ着実なステップアップに、期待も自然と膨らんでくる。
次週、12日からは名古屋との連戦、さらにアウェー大宮戦とタイトなスケジュールが待っている。
無事是名馬、じゃないけれど、怪我に累積警告、アクシデントや自滅を避け、道を外すことなく歩んでいきたい。
by blue-red-cherry | 2009-07-05 16:59 | FC東京
<< ツナとろろ丼 手巻き寿司 >>