UEFA CLグループリーグ第2節、2日目の生観戦は長谷部のヴォルフスブルグ…ではなく、バイエルン×ユベントス。 今季のCLで復活を期す、ドイツとイタリアの名門対決。 どちらもリーグ戦での好調ぶりを伝え聞いていたので楽しみにしていたが、良さを消し合う形が続いてのスコアレスドローに終わった。 ユーべはロッベンとリベリーの両ウイングに、バイエルンは司令塔のチアゴに、それぞれがキーマンを密着マーク。 互いに厳しいチェックが行われ、序盤から中盤は激しいプレス合戦に。 ホームの大歓声を背に、攻勢を強めるバイエルンが徐々に主導権を握り、ユーべは守勢、開始15分すぎにはこの試合の行く末を決定付ける形が出来上がっていた。 バイエルンは右サイド、ロッベンとラームが有機的に絡み、ロッベンの単騎での仕掛けも、ラームのオーバーラップも形を作る。 ラームのクロスにクローゼが合わせる形、ロッベンのカットインにオフェンシブハーフのミュラーが寄って、細かい繋ぎからフィニッシュに至る形。 左サイドはリベリーの独壇場。 解説からも注文が上がっていたように、左サイドバックはメンバーが固定できておらず、この日入ったブラーフハイトもまだ、リベリーとのコンビネーションは確立できていない。 それでもリベリーのコンディション、キレは凄まじく、しっかり構え、低い位置にラインを作ってスペースを空けないユーべディフェンスに対し、低めの位置からパスを混ぜつつ上がっていくスタイルで前を向いての仕掛けを実現すると、対面のグリゲラをゴール前に釘付けに。 1対1はともかく、フォローに入ったキエッリーニもかわしてブッフォンと対峙した18分の決定機をはじめ、チャンスの山を築いた。 主にこの両ウイングが輝くのはカウンター、速攻が決まるときだが、遅攻でもバイエルン優勢。 アンカーのオッティルはジエゴ密着なので守備重視だったが、この位置まで降りてきたシュバインシュタイガーが大きな展開で両サイドを活かす形がハマる。 クローゼも前線で体を張り、ミュラーが精力的にタッチ数を増やす形で、前半はフリーキックやコーナーキックも圧倒的にバイエルンのほうに見られた。 しかしなかなか決定機は作り出せず、最後の頼みのリベリーやロッベンの個の力も寸でのところで退けられる。 挙句44分にはロッベンが負傷退場。 チャンスの数、質からいっても、この前半に先制できなかったことが、バイエルンの勝利を遠ざけた。 片翼がもがれ、前半から飛ばしていたバイエルンは、徐々にペースダウン。 ポゼッション率は高く、後半も主導権を握っていたのはバイエルンだが、運動量、スピードを欠いたアタックでは、イタリアの堅牢は崩せない。 前半はバイエルンアタッカー陣のフィニッシュ精度の低さに助けられた部分もあったが、苦しい時間を乗り越えたユーべのディフェンスは後半、その真価を発揮した。 55分あたりまでは右サイドを精力的に上下動するカモラネージを中心に押し返す場面もあったが、まったく仕事をさせてもらえなかったジエゴを下げた60分すぎからは、プレス位置も自陣に下がり、ボール回しを許しつつも入ってきた相手を跳ね返す形にシフトする。 なんとかこじ開けようとするバイエルンの攻撃をことごとく跳ね返す集中力はさすがの一言に尽きる。 最終ライン手前までポジションを下げた、アンカーのフェリペ・メロは、楔のボールをほとんどカット。 サイドからのクロスや、スルーパスにはレグロッターリエとキエッリーニの2人が反応、コンタクトともに抜群。 カンナバーロの不在を感じさせない。 両サイドはカモラネージとグリゲラ、マルキージオとグロッソ、常に2枚とも守備意識が先立つほどで、リベリーへのマークもより集中したものになったし、ロッベンに代わって入ったオリッチにも厳しい守備が立ちふさがった。 しかしジエゴを下げて、ポウルセンを入れたことで、カウンターの鋭さは激減。 前半はかろうじて2トップ+ジエゴ、という形が見られていたが、ハードマークに遭うイアクインタ、トレゼゲ(途中からアマウリ)の2枚ではすぐに囲まれてしまい、散発のシュートも脅威ではなかった。 早々にジエゴを諦め、ユーベ側の引き分け御の字のプランがピッチを支配し、それに対してガス欠のバイエルンも打開策を見出せないまま、90分が終了した。 正直、物足りなさは残ったかな。 ユーベの引き分け狙いは割りとはっきりしていて、前半からその気はあった。 トレゼゲやマルキージオはまったく存在感がなく、後者は守備に忙殺されていた可能性はあるが、ベンチメンバーを見てもジョビンコが帯同してなかったり、まずは勝ち点1、という意思があったのかもしれない。 バイエルンは悔しい勝ち点1、だろう。 前半特に顕著だったが、崩せる気配はあった。 リーグ戦でどうなのかは見ていないのでわからないが、プレシーズンのアウディカップで見せていたパスサッカーを実現するには、アンカーに守備専では物足りない。 ファン・ボメルのようなコントローラーがいると、ミュラーはおろか、シュバインシュタイガーも前目でのプレーが叶ったろうし、武器であるサイドをより際立たせるセンターが構築できただろう。 どちらも決め手に欠き、なるべくしてなったスコアレスドロー。 現実路線を選択したユーベ、とはいえゴール前で集中し続けたディフェンスは見事。 ユーベにとっては満足いき、バイエルンにとっては悔しさの残る試合となった。
by blue-red-cherry
| 2009-10-03 14:14
| サッカー(FC東京以外)
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