インディヴィジュアル・プロジェクション

インディヴィジュアル・プロジェクション_c0025217_13132790.jpg


オレの大事な友人(兄弟)は、随分前から読書家で、当時オレは全然本など読まず、月曜にスピリッツとヤンマガ、水曜にマガジンとサンデー、木曜にヤンジャンみたいな感じだったんだが、2人はオレの入る余地のない会話の中で、阿部和重の話をしていた気がする。
それから遅れることたぶん2年以上。
ようやくオレも阿部和重の世界に触れ、魅了されたわけだ。
「インディヴィジュアル・プロジェクション」

直訳すると自己投影、になるのかな?
まんま主人公・オヌマの日記形式で綴られる文章はとにかくスリリングだ。
自らに起きた異様な事象を、自らが客観的に書き起こすスタイルがリアリティーを生む。
本書で起こる、半ば狂人だらけの世界の日常が狂っているのか、それともオヌマ自身が狂っているのか、読んでいるほうまで狂わされる力強さがある。
ハードな文体も言いっぱなしで清々しい。
読み終わったあと、不可解な部分や明かされないことが多いことに関して、何ら疑問も不満も抱かなかった。
この手の小説に何を求める?
オレは何も求めなかったからこそ楽しめた気がする。


ひとまず、他の作品を読むことにする。
それが終わったら、この作品の見方もちょっとは変わってくるんだろう。
楽しみは尽きない。
by blue-red-cherry | 2006-09-29 13:24 |
<< キャベツとツナのマヨネーズソー... スパゲッティ カルボナーラ f... >>