阿修羅ガール

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駆け抜けるように、「阿修羅ガール」、読了。
舞城作品、三連荘でそれなりにハード。

奈津川一家サーガからはすっかり離れた女子高生・アイコの物語。
文体は奈津川シリーズと変らず、主人公語り口調の一人称スティーロで、男と女の性別が変ったから世界は全然違うが、ライトなノリとスピード感は健在で、もはや読みづらくなくなってることに気付きつつ、オレも舞城作品にだいぶ慣れてきた感じがした。
03年の作品、当時の空気感を思い出せるかと問われれば思い出せないんだが、ちょと考えてみると今ほど2ちゃんも一般的ではなかったと記憶してて、オレも今ほど日常的に見ていたわけではなかったので、その幼稚さピックアップ的な部分とか、当時はいろいろと目に付いたんだろうと想像した。

直近に読んだ2作品に比べれば、グロもエロもたいしたことない。
男キャラを使い分けるのはまあありとしても、女子高生の心情と生態をこうも自然に描かれると、舞城王太郎って人はどんな才能の持ち主なんだろうと。
達観してる感じと、かつもがいてる感じとか、共通点は多いと思うけど、この手のキャラは嫌いじゃない。

序盤戦のガキ向けか?と思わせるしょんべん香るお話から徐々にぶっ飛びだし、妄想と想像に満ち溢れた世界にステージを移したかと思えば本当は怖いグリム的なエリアに踏み入れ、支離滅裂か、と疲れだしてきたがここまでキタから頑張って読みきろうと一分張りしてみたら、最後は上手にまとめられてて、天晴れ。
ミステリーは一応、一貫してるんだけど、もはやアクセントになっている。
これは青春ものであり、恋愛ものであり、家族ものであり、精神世界を描いたものである。
最後にオチがついたので、そしてそのオチも救えない起承転までのことを考えれば随分とポジティブで、途中まではあんまり好きじゃない作品として残りそうだったけど、最後まで読んで俄然、アリになった。

まだ手元にもう一冊、舞城ものがある。
読むけど……この人の本はちょっと女の子向けな気がしてて、そろそろハードな男向けを読みたい気分では、ある。
by blue-red-cherry | 2008-01-07 15:26 |
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