奇妙頂来相模富士

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BRON-K/"奇妙頂来相模富士"DJ ISSO MEGAMIX

Baby Thank you so much 何ひとつうしなわず
すべて手に入れたいと思うことはわがままかい?
Homie Thank you so much 誰ひとり欠けず
いい景色を見たいと思うことはきれい事かい?

このフック、最初レコ屋の視聴機で聴いちゃって、確かその頃すごく鬱屈とした気分だったから、危うくブワっとしちゃうところだった。
BLのメロウかつ流れるようなトラックに、BRON-Kの落ち着いた歌声。
夢と現実、遊びと仕事、友だちと恋人、お金と自由、家族……幸せ。
何かを捨ててまで得ることを空しいと思う。
メロもフロウもリリックもドンズバで射抜かれた。
最近日本語ラップばっかり聴いてるのは、音に関してもバラエティに富んでて楽しいし、言葉は分かるのは当然だけど、フロウも切磋琢磨でオリジナリティあるやつが揃ってるし、たまーにこう、グっとくるのに出会えちゃうからやめられない。
メロウなブルース、「何ひとつうしなわず」もってかれて手に取ったBRON-Kのファーストアルバム「奇妙頂来相模富士」、何度聴いても飽きない。

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BRON-Kのラップって、まずナスティーな声がいい。
もって生まれた深みのある声を生かすべく、荒げることもなければ変にいじることもなく、トラックに合わせてときに流れるように、ときに強弱をつけて。
変幻自在なフロウを叶える上で、ライミングの言葉の切り方とか、すごい独特だと思う。
DABO氏もお気に入りだったみたいだけど、「ロオゥマンティック」とか、言い回しが独特。
こういうのってどうやって思いつく(生まれる)んだろうって思う。
アルバム一枚通じて安定したラップが聴ける。
安定してても、スキルフルで飽きることはない。

「何ひとつうしなわず」の歌いっぷりも素晴らしいが、基本的にフック作りが美味い。
今作ではボートラ扱い、SEEDA&DJ ISSOの「Concrete Green」第5弾に入ってた「サージェイの夜明け」のフックとか、バウンシーで派手目な打ち込み方トラックに、いい感じに歌とラップが混ざったフックを被せててうまい。
SD JUNKSTAの名を世にしらしめたNORIKIYOとタイトに決める「渓流にひる便」、渋めのホーンが結構走ってるビートとのミスマッチがハマってるんだけど、ここではBRON-K、NORIKIYOのアルファベットを分解するヒップホップらしい言葉遊びを高い次元で組み合わせたフック。

歌心、あるんだよなあ。
その優しそうで朴訥な風貌がまた味がある。
ファーストアルバムだけど、このアルバムはかなり「味のある」アルバムだよ。
味がある、といえば、SD JUNKSTAってクルー自体が味のあるクルーだな。
なんと表現したらいいのか、百姓一揆のイメージが強すぎるので土キャラとでも言おうか、TKCとダウンビートにゆるめのラガをキックする「大海へそそぐ」とか、下手したら演歌的な香り。
割りと歌より、というかこのトラックリストの中では煌びやかな鳴りがするビートの「ROMANTIC CITY」でも、「ゲロの飛沫がロマンティック」のフレーズを引き合いに出すまでもなく、いけてない思い出を大切に紡ぐ言葉選びがなんか、いい意味で古くていい。

「安酒ニッカウィスキー飲んで飛ぶ」っていうカッコよすぎるリリックで入ってくるWAXはやっぱりSD JUNKSTAの中でも目の離せないラッパーだ、とか思いながら彼らの勢いがビンビン伝わってくる「第三調整砂漠 ~SD PHONK INTRO~」
普通にめちゃくちゃカッコいいヒップホップ。
スリリングな掛け合いでエキサイティングなマイクリレー。
全曲渡ってフッドへの愛は貫かれてるし、女、酒、煙、金、なんでも揃ってる。
徹底したBRON-Kの等身大は、シャンパンヒップホップに比べると随分と重みがあり、それでいて騒げる、完全無欠のヒップホップアルバムじゃないか、これ。

詳しいことはSAG DOWN POSSEオフィシャルにて「SDTV」参照。
ラフでラグドでロウな原石は原石のまま輝きだしてるよ。
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by blue-red-cherry | 2008-04-10 19:21 | 音楽
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