KING OF STAGE

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よーやく、ライムスターの記念すべき武道館ライブを収録した、「KING OF STAGE Vol.7~メイドインジャパン at 日本武道館~」を見た。

ライムスターはオレの最初の日本語ラップ・アイドルだ。
オレたちが感じる日々の楽しみや悩みを、誰よりも誠実にヒップホップマナーに沿って表現する。
日本独特の文化が醸成された日本という国で日本語を使って舶来のヒップホップを日本人に届ける、というテーマは首尾一貫、今に至るまで曲がることがなく、比類なき存在。
クラブ明けのファミレスネタから、痛烈な社会風刺まで、歌われる歌詞のすべて、一方で彼らが敬愛するランDMCに通ずるオーソドックスでありながらヒップホップスタイルのお手本だったパッケージとステージ、どれもがガキの頃のオレの教科書になった。

99年のニトロのアルバム以来、オレの中で日本語ラップといえばニトロ、という脳みそができあがった。
のめりこむとまっしぐらになりがちなタチだったので、それ以来、ライムスとの距離が開いてしまっていた。
アルバムも「ウワサの真相」以降はしっかり聴いてないし、「FG NIGHT」も入場に列ができたころからいかなくなった。
この武道館ライブも終わってから知った。
あんだけ好きで、「FG」はもちろん、「申し訳」とか「さびしんぼ」とか、ストーカーばりにおっかけしてたのに。
その評判、その意味を伝え聞くにつれ、切なくなった。
嫌いになったわけじゃないのに、なんでって。

何の話してんだろww
とにかく浅からぬ縁が一方的にあるライムスの武道館ライブ、DVDだが刮目して見た。

序盤はのんびり見られた。
「耳ヲ貸スベキ」こそ、この歴史的な記念日、さんぴんでのステージを思い出したが、まさかのMAKI THE MAGICイン武道館とか、ゴスペラーズやFOH、プシンを迎えて「ウワサの真相」のナンバーを派手に歌うラインとか、さすがのステージング。
箱のデカさに見合った華やかなステージを素直に楽しめた。
DISC2に入っての中盤戦、スクービードゥー、スーパーバタードッグと生バンドと繰り広げるメドレーがカッコいい。
ファンキーさに定評があるバンドの奏でるヒップホップはフリーキーなボーカルを含め、進化していくことでヒップホップが失ったオールドスクール期のフレッシュ感に満ち溢れ、ライムスターとの相性の良さを見せ付ける。
「This Y'all,That Y'all」のスーパーバタードッグとのセッションはこのライブのひとつのハイライトだと思う。

ここで困ったことになる。
ここまで宇多丸のクドいトークに対し、洒脱な合いの手でクールに決めてたマミーDこと坂間大介さんが死ぬほどアツい思いを口にする。
次の曲、「リスペクト」に繋がるトークだったんだけど、古くから、本当に真冬の時代からさんぴん、日本語ラップバブルを経て今がある彼らの、彼らだから口にできる簡単じゃないリスペクト。
胸にこないはずがない。
計ったかのように、ラフラグド&ロウなスタイルで登場したラッパ我リヤとの「リスペクト」が歌われる。
そしてライムスがリスペクトする日本のヒップホップのオリジネイターのひとり、CRAZY-Aが「Bの定義」をキックして、「B-BOYイズム」へなだれ込む。
この流れ、泣くしかないっしょ。

まだまだ長いアンコールは、泣きの展開のあとのボーナスステージ。
「口からでまかせ」が武道館で披露される様はまさに偉業。
Kダブが以外とカッコよく見えたり、ソウスクの欠け具合に寂しくなったり、思うところたくさん。
FG総出演の「ウィークエンドシャッフル」を見れば、リップとキックがいて、今や大ブレイク中の童子-Twwがいて。
これまた思うところたくさんだ。

最後に「And You Don't Stop(Re-Work)」、「キング オブ ステージ」。
ここで3時間歌いきった彼らのすごさに改めて気付く。
豪華なゲストが彩った祝祭的なイメージがあるが、常に主役は2MCと1DJ。
息も切らさなきゃ喉もからさず、歌詞を飛ばすこともない。
下手にコール&レスポンスやトークに逃げず、数多のゲストの扱いもさすが。
最高峰のラッパー=MCであると同時に、文字通りマスター・オブ・セレモニーだった。
DJ JINのライブDJとしてのスキルの高さにも舌を巻く。
スピンする曲を誰よりも深く知り(下手したら前の2人より)、一語一句、美味しいところを完璧に心得ており、だからこそ埋めるブレークやスクラッチによるグルーブ感が長丁場のライブを飽きさせないものにしている。
3時間見て改めて、彼らの存在の大きさに気付かされた。

しばらくグループとしては活動しない旨を語ったマミーDは、ライムスは武道館じゃ全然満足してないって言い切った。
そりゃそうだろう。
売り上げだけ見ればキックやリップの後塵を拝しているのは明らかだし、Dいわく「一生の愛聴盤になるようなクラシック」を作るというのは大きなポピュラリティーを獲得したいという思いからだと思う。
彼らは決してやり方を曲げない。
そんなライムスの次の一手が楽しみで仕方ない。

ライムスターはオレの青春。
彼らが頑張ってくれてる限り、オレの青春も続く。


by blue-red-cherry | 2008-08-21 13:53 | 音楽
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