OUTLET BLUES

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NORIKIYOの2ndアルバム、「OUTLET BLUES」
全曲BLトラック、当然SEEDAの「花と雨」と比較され、そこに焦点が集まるのも頷ける。
しかし聞けば聞くほどこれはNORIKIYOのアルバムで、そして相模原から流れてきたアウトレットブルース。
渋い、渋いよ。
この若さでこの渋味が出せるなんて、ちょっと妬ける。

もう何年もBLサウンドに心酔しているオレももちろん、最初は「NORIKIYO×BL」の化学反応がどうなるか、その一点に集中して聴いた。
一聴して思ったのはちょっと重いかな、ということ。
NORIKIYOの多彩なフロウと、脱・BL色を計っていると思われる進化するBLトラック。
聴こえにメッセージに抜かりないNORIKIYOのリリック、ライムに、完璧を期してその声をもエディットするBL。
重ねられる互いのエナジーとテクのぶつかり合いは物凄い質量で、両の耳に襲い掛かってきた。

要は、一回りで味わえるほど薄いアルバムじゃなかったってことだ。
2度目、3度目、歌詞を聴き、音のパーツひとつひとつに耳を傾ける。
今では凄くシンプルなサウンドがNORIKIYOのラップを引き立ててるように聴こえる、そんな境地にいる。
SEEDAのときもそうだったが、統一された音色、一貫したラッパーのアティチュード、それにより際立つのはそのラッパーのパーソナルなのかもしれない。
「EXIT」があれだけ賞賛されたにも関わらず、浮き足立った感じはまったくない。
むしろ以前よりも地に足ついた感じのリリックが頼もしい。
NORIKIYOが綴る現実はひたすらに相模原の看板の現実だが、一方で今をときめくラップスターの現実、日本語ラップのひとつの現実。
感じなかったらインポじゃねー?

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運命 ~SADAME~

今を生きるラッパーが自分の今を歌う。
至極ストレートで、トピックも離れないからこそのリアリティがあって、虚飾がない分カラフルではない。
般若をフューチャーした「運命 ~SADAME~」「RUN RUN RUN」、劇的に何かが変るようなことはなく、良いことも悪いこともひっくるめて続く毎日の中で、でも生きる、前を向く、恥ずかしくなるような直球の表現こそしてないが、根底にある土壇場のポジティブさがにじみ出る。
トレードマークだった土臭さとはまた違った、電飾の音色で温かみを出すというBLのトラックとの相性もいい。

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RIVAXIDE CITY DREAM

啼きのギターが哀愁溢れる「RIVAXIDE CITY DREAM」もこのアルバムを象徴するトラックだ。
扇情的なNORIKIYO、淡々とメロディアスに歌うBRON-Kのコンビネーション。
あつーい…。
アルバムの中ではもっともヒップホップを感じる、ドンシャリ系のドラム+けたたましいウワモノ、「アウトレットブルース ~蛇の道をゆく~」のストレートなカッコよさも捨てがたい。
バースとフックの境目が低い一本気なラップ、こういうトラックがあってもいい。

疾走するビートにカチっとライムしてくる「REASON IS…」が今のところベストかな。
マイクを握る理由、一緒に歌うSEEDAとともにその思いはストレートで、聴くほうにも理由なんかないってことを思い出させる衝動がある。
抑え気味ではるが一分の隙もないSEEDAの16小節は、さすがの一言に尽きる。

荒削りながら、そのオリジナルなフロウ、偽りのない世界観、ラフな輝きが魅力だった「EXIT」とは当然ながら違った一面を見せ付けられた。
変らぬスタンスの中に確固たる自信、進歩、成熟とか。
「ALL CITY BOMBING」を乗りこなしたように、まだまだそのポテンシャルとチャレンジ精神は広がっていくはず。
ひとつの完成形を出した今、この作品をこれからももっと聴き込んで楽しませてもらうが、その先への楽しみが増えた気がする。

ってことで、このアルバムの真相は秀逸なインタビューにて。
Amebreak編①
Amebreak編②
SEEDA BLOG編
by blue-red-cherry | 2008-08-27 12:06 | 音楽
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