FREE

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L-VOKALがメジャーから初めて発表したフルアルバム、「FREE」は、カラフルでポジティブで、期待というか予想を大きく裏切る内容だった。

いや、Lのブログはちょいちょい読んでたので、チャレンジしている姿勢は伝わっていた。
クレバとコラボしたシングルにしたって、ラッパーとしてのスタンス、アティチュードは変らなくても、「摩天楼」とは違うフィールドに向け、違うフィールドでプレイしているのも感じていた。
それにしたって、ここまで徹底したポジティブ感はなんだ。
オレはNORIKIYOにしたってSEEDAにしたって、そのエブリデイストラグルからくる開き直り、向き直りのポジティブ感をメッセージとして受け取っていたが、Lがこのアルバムで吐き出したポジティブなメッセージは何かを受けてのリアクションのポジティブではなく、こうしていこう、ああしていこう、こう考えよう、ああ考えようという根っこからのポジティブ感というか。
やや俯瞰した目線で何かを冷静に描き出し、シニカルなメッセージとして自分の主張を載せるという、今までこっちが感じていたLらしさは鳴りを潜め、ただひたすらに前向きな言葉や歌が並ぶ。
確かに「TIME IS HONEY」で歌われているような「そうなんだから仕方ない」という「金銭感覚」だったり、「HATER HATER」のような「気にしないよ」的なスタンスはらしかったりする。
でも、「不健康ソング」のような風刺、あの辺もLの魅力の一部だったりするので、それを拝したラインナップは正直意外だった。


MOVE

サウンド面でも同様に新しい試みが印象に残る。
最近富にサウンドの方向性に変化が見られるBach Logicのトラックは多聞に漏れずBPM速めのエレクトロ風味。
スライドする感じのトラックがマイアミ調、ピロピロディスコティークな「SKY 55」はボーカル使いも含め、前半のバキバキな流れを象徴している。
次も走り気味のシンセサウンド、といっても初期ネプチューンズのような厚み系ではなく、スペーシーというか、低音よりも高音で聴くような「HYPNOTIC」
ここではL自身奇跡と語っていた「L PAIN」と呼ばれるオートチューンまでも炸裂している。
音の面でも冒険するLのチャレンジ、幅を広げているBLのチャレンジ、どっちもキライじゃないが、現時点はあくまで過程だ。
さらにバキバキなのがSONPUB作の「HATER HATER」
もはやヤスタカか!っつうくらいブリブリのベースがうねりまくる。
四つ打ちトラックを乗りこなすLのフロウが心地よい。
ここまで新機軸ともいえるフューチャリスティックなサウンドが続いても、Lのフロウは持ち味であるスタンダード、いい意味で安心感のあるケツで踏むスタイルを崩さない。
ある意味ミスマッチなんだけど、すごく自然に聴こえてくる、それこそフリーにやってるのが伝わってきて好感が持てる。
中盤、レーベルメイトのMICROとのピースフル極まる「FREE」や、盟友DOC-DEEとのタッグ作、「FLOW」「BRAND NEW DAY」あたりはいつものサウンド、ヒップホップマナーに沿いつつも気持ちよさが際立つトラックで安心感もあるんだけど、序盤の刺激的な試みが気に入ったオレ的には少しおとなしく聴こえてしまう。
尖った音といえばDeckstream産のジャジーナンバー「Zero」
疾走感溢れるベース、ドラムスにピアノがアクセントをつけるスリリングなビート。
流れるフロウが映えて、単純にカッコいい。
いかにもBLらしい、太さと奥行きを感じる「DONE」もストレートなカッコよさがある。
あ、「CITY LIVING」でのNIPPSのフックの歌いまわし、コマーシャルソングみたいで耳から離れない、それくらい味があるのも書いとこう。

これだけカラフルなトラックを並べながら、ひたすら続くポジティブなメッセージ、キッチリ韻を踏むオーソドックスなラップスタイルは変らない。
特にラップのスタイルに関しては曲を選ばない、スキルの高さの証明だと思う。
ブレがないし、発声も変らないのでメッセージが聴き取りやすい。
だからこそ。
だからこそ、やけにポジティブすぎるメッセージが目立つのかも。
全然ポジティブでいいんだけど、いや善だけが礼賛されてるとかそういうんじゃないんだけど、なんつうか闇があっての光だと思ったりしている今の気分ではちょっとまぶしすぎたのかも。

まあこれはLの一面でしかない。
これがあって「摩天楼」があって、いろんな魅力があるから好きだったりもする。
このブライトなアルバムがラップ好きに、そうじゃない人たちにどう受け入れられるのか、ちょっと興味深い。
by blue-red-cherry | 2008-09-05 20:10 | 音楽
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