The Million Dollar Backpack

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ウッドベースがズンズン響くアルバムタイトルを冠したイントロ、「The Million Dollar Backpack」はジャジー・ジェフがプロデュース。
オレのマッド・スキルズ好きは随分前に公表済みだが、何年ぶりかに届けられた新作「The Million Dollar Backpack」はマジでガチで傑作ウィッシュ。


Don't Act Like You Don't Know

フリーウェイを招いて、まるでフリーウェイの曲(「WHAT WE DO」激似)のような疾走感のあるトラックでセッションする「Don't Act Like You Don't Know」
クエストラブのプロデュースでブラック・ソートがラップで参加、打楽器の鳴り響き具合、控えめなホーン、音の奥行きが生ならでは、まるでルーツな世界観の「Hold Tight」
フィリーの盟友のアシストを、ゲストの特性を最大限に生かす(それこそ毎年Rap Upなんて器用なことやってるスキルズならでは)形で表現した2曲はやや異質だが、シングルの輝き。


So Far So Good/Sick


Crazy World

アルバムではコモン、なぜかこのビデオではクウェリがフィーチャーされてる「So Far So Good」の心地よさは、空を駆けてくような気持ちよさ。
隙間の多いドラムスにピアノの短音を重ね、スキルズとコモンがしっとり掛け合う大人のヒップホップ。
クウェリは言葉を詰め込むタイプだから、この曲はコモンのほうが相性がいい。
ビデオでは「So Far So Good」の続きで入ってくる「Sick」や、「Crazy World」、これも思えば生っぽい。
ドラムは所謂Ultimate breaks & beatsに入ってくるようなヒップホップマナーに沿った音の刻み方ではなく、変則的で、鳴りも響きも独特。
スキルズのラップは変幻自在、トラックを選ばないから、生音みたいな自由度があったほうがハマる気がする。

相変わらず女声ボーカルとの相性もいい。
アフリカンなリズムがベースを作り、ブレイクとフックにストリングスとボーカルが華を添える作りの「(For Real) He Don't Own Me」はめちゃくちゃキレイで、スキルズのMCもスムース。
こういうアーバンヒップホップ的な音ってなんかムラっとするっていうか、キュンってするっていうか。
Fusion Unlimited & E-Flatというユニットが音を作っている「My Phone」「Be Alright」はデカめのドラムにこれ以上ないスムースな広がりの音色を重ねた似たような音。
どちらもレイドバックした空気が気持ちいい。

例によってリリックが分からない。
スキルズもまた、ナスとかクウェリとは違った意味でリリックで楽しませてくれそうなタイプだけに残念だ。
特に「Hip Hop Died」という曲。
タイトルからも伝わるように、この曲には確実に何かしら、ヒップホップへのメッセージが込められているはず。
これまた静かに、かつスムースな音と、淡々と言葉を紡ぐスキルズのラップに身を委ねるだけでも気持ち良いんだが、これほど歌詞を知りたい曲もない。

物凄く持ち上げられることもなければ、確実なプロップも得ている。
スキルズはそんな存在だが、彼もまたラップの申し子。
このアルバムでも頭からケツまで通じて安定感のあるフロウを聴かせてくれた。
オレのフェイバリットMCであり続ける。
彼が「最高傑作は最新作」というスタンスでやり続けてくれることに喜びを禁じえない。
by blue-red-cherry | 2008-09-11 20:24 | 音楽
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