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チェルシー×インテル・ミラノ UEFAチャンピオンズリーグ 09-10 1/16ファイナル 2ndレグ

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モウリーニョ・ダービー、チェルシー×インテル・ミラノ、第2戦。
今季CLで今のところベストマッチかな。
初戦でビハインドを背負ったホームのチェルシーが攻勢をかければ、イタリア王者の名に恥じない堅牢を誇るインテル守備陣が踏ん張り、狙いどおりのカウンターを仕掛ける。
攻守、どちらもアグレッシブで、両チームの積極性がエキサイティングなゲームを作り上げた。

点を取りたいチェルシーが前に出た前半。
ドログバへのロングボール、左のマルダ、右のアネルカ、両ワイドも基点になる。
ランパードのタッチ多く、彼のコントロールのもと、バラックも高めの位置取りからミドルを放つなど、パターン、手数ともに多い。
しかし、このチェルシーのアタックそれぞれにきっちり手を打ってきたインテルは、ギリギリの戦いながらも跳ね返し、それどころか攻め込むシーンも少なくなく、チェルシーに主導権を渡さない。
チェルシーがその、ホームチームらしき怒涛の展開でインテルを自陣に釘付けにしたのは前半終了間際の5分くらいか。
この時間はドログバだけでなく、アネルカもインテルラインにプレッシャーをかけることが多く、後方、サイドからの放り込みに迫力が出た。
41分に中央突破の崩れからマルダ、45分にはフィードをドログバが胸トラ、走りこんだランパードに絶妙なパスを通す、しかしどちらもサムエルがギリギリのタイミングで体を投げ出してブロック。
42分には開いたドログバのクロスにアネルカがフリーであわせるも、せーザルが触り、モッタがクリアと、インテル守備陣の集中力の高さの前に、決定機が次々と消えていった。
ここに見るインテル守備陣、いや、攻撃陣も含めたイレブンの集中力には目を瞠るものがあり、いくつか勝負を分けたマッチアップにおいても際立っていた。

ポイントとなったマッチアップは3つ。
まずはドログバVSルシオ&サムエル。
ここは1stレグから変わらず、ド迫力の空中戦、肉弾戦。
ハイボールや楔には攻撃性が前面に押し出されたルシオが当たり、サムエルはカバーリング、コースをしっかり消して、しっかり体を寄せる堅実なパフォーマンス。
後方からのロングボールや、ラインを超す浮き球のスルーパスで幾度かエリアに侵入するものの、1stレグに続き、この日もドログバは沈黙させられた。
南米のベテランコンビは駆け引きにも長け、世界5指に入るであろうストライカーに苛立ちを与えつつ、良さを出させない完勝。
互いにドログバをファーストプライオリティにしつつ、マルダやアネルカの侵入に対してもどちらかがきちんと対応し、絶対的な強さを誇った。
ここの壁はチェルシーにとって、相当高かっただろう。

続いてサイドの攻防。
これも1stレグ、特に後半から続いていた構図ではある。
1stレグ後半、1点リードを奪ったインテルは、攻勢に出んとするチェルシーの機先を制すべく、それまでの4-4-2から4-3-3に布陣変更。
スペースを埋めていたブロック守備を崩し、ウイングを置くことで両サイドバックの攻め上がりを封じる。
これがピッタリハマって、チェルシーは厚みのある反攻が出来ないままこの日の対戦を迎えたんだが、この試合でもインテルのサイドプレーヤーは勇気を持ったプレーを見せた。
ディエゴ・ミリートを不動のセンターに張らせつつ、両ウイングは右にエトー、左にパンデフ。
このウイングが運動量多く、特にチェルシーの攻撃のトリガーだった左サイドのマルダ、ジルコフのコンビと対し、ホットスポットとなったインテル右サイド、エトーの攻守での貢献度は計り知れない。
前でボールを受ければ1トップもこなせるキープ力で時間を作り、マイコンの上がりを促し、守備でもさすが攻守一体のバルサでファーストディフェンスを担っていただけのことはある。
上下動いとわないプレーぶりは、今季ゴールが少ないことへの責任感も感じさせた。
エトーの頑張り、そして抑え目ながらビルドアップ時にサネッティ、彼にスナイデルが寄ってのサイドチェンジと、時間とスペースを与えられたマイコンの上がりも目立った。
アウェーゴールの関係上、先制されると俄然不利になるインテルだったが、裏を返せば1点取れば大きなアドバンテージを得られることを選んだ。
モウリーニョもチェルシー相手に守りきることを選ぶより、攻め勝つことを選んだとしていたが、それにしてもマイコンの攻め上がりは見事で、33分には叩き付けすぎて外れたものの、エトーのヘッダーにドンピシャのクロスを合わせたし、彼が上がることで中、外の揺さぶりも効いていた。
攻め合って主導権を掴んだエトー、マイコンの右サイド、堅実な働きで自由を与えなかったパンデフ、サネッティの左サイド。
ここもインテルの完勝。

そして勝負を決めた…のはエトーのゴールだが、そのゴールを演出したスナイデルのクオリティ。
この日のスナイデルの前では、ランパードも、バラックも、(もっともいいとこなしだったが)ジョー・コールも霞む。
前半から、トップで体を張るミリート、サイドで基点となったエトーやパンデフのフォローで顔を出し、受けてはボディコントロール、足元の技術で時間を作り、そして正確なキックでチャンスを演出していた。
そのプレーは後半、いよいよ輝きを増す。
全体が少しずつ間延びし、ファウルトラブルも増えて落ち着かない中でひとり冷静かつ、自在なプレー。
視野の広さ、判断の良さがバツグンで、51分にエトー、59分にはパンデフ、64分にはミリートへと、長短のパスで決定機を量産。
69分には完ぺきなフリーキックをモッタの頭に合わせるなど、時間を経ても、その惚れ惚れするようなキックの精度は落ちない。
そして78分、1点勝負の緊張感漂い始めた終盤で、集中力高い守備を保った守備陣に最高の形で応える。
ランパードのパスミスを拾ったミリートからスナイデル、受けると素早くルックアップ、ほぼ同時に左足でラインギリギリで抜け出したエトーにピンポイントのフィード。
スナイデルの作り出した何度目かの決定機、ここでエトーが最高のトラップ、最高のシュートを放って、待望の、そしてゲームを決める先制点を奪った。
いくら褒めても褒めたりないな。

中央の軸、サイドともに配置の面でも、選手個々の戦いという意味でもインテルに軍配が上がった。
チェルシーが点を取る意味ではランパード、バラック、ジョー・コールといったオフェンシブハーフの活躍も欠かせなかったが、ここでもバイタルを空けず、かつ寄せも速かったモッタ、カンビアッソの2枚が存在感を発揮した。
カウンターでも人数をかけ、遅攻時もボールをよく回したインテルは逆に、カウンターを喰らうリスクもあったわけだが、全体の戻りが素晴らしく速かった。
攻守の切り替えでもインテルのほうに分があったか。

チェルシーにもチャンスはあったし、舞台はスタンフォードブリッジ、そして最小得点差、最後まで(いや、ドログバが愚行で退場する86分までか)何が起きてもおかしくないという緊張感はあった。
ここにきて主力に怪我人が続いたチェルシーにはアンラッキーなハンデもあったとは思うが、指揮官の采配含め、インテルが勝者に相応しい戦いを見せた。
2戦合計で戦うこのラウンドを見てきて、ゲームプランの難しさ、用意することと、臨機応変に対応することの難しさを痛感していたが、指揮官の対応、選手の対応ともに、インテルが会心のパフォーマンスを見せてくれた。
これでプレミア寡占は防げたし、これだけのパフォーマンスが出来れば、この先のインテルにも大いに期待が持てる。
次戦、ルシオとモッタを出場停止で欠くことが決まっているが、苦境でこそ、モウリーニョの手腕が楽しみだ。
いいゲームだったなー。
by blue-red-cherry | 2010-03-17 20:44 | サッカー(FC東京以外)

フィオレンティーナ×バイエルン UEFAチャンピオンズリーグ 09-10 1/16ファイナル 2ndレグ

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遮断して見ようと思ってたんだが、国内のサッカーニュースをチェックするついでに結果を知ってしまったフィオレンティーナ×バイエルンを見た。
結果を知ってまで見ようと思ったのは、朝イチでハラヒロミが「朝からいいもん見た」とtwitterでポストしてたから。
結果としては大正解。
やっぱ原さんはサッカー楽しんでるな。

2試合合計、アウェーゴールでバイエルンが勝ち抜けたわけなんだが、この試合に限っては、明確な意図を持って臨み、それを遂行したフィオの勝利に値するゲームだったと思う。
ポゼッションはバイエルンに軍配が上がったが、フィオはロッベン、リベリーというバイエルンの攻撃の生命線に厳しいマーク。
ロッベン対策で本職はセンターバックのフェリペを左サイドバックで使ってくるほどの力の入れようで、多くの時間、彼らの自由を奪った。
中盤の運動量と集中力も凄まじく、配給役のファン・ボメル、シュバインシュタイガーの2枚にも、モントリーヴォ、ザネッティ、ヨベティッチと素早く寄せる。
とにかく守備時に数的優位を作るという約束事が徹底されていて、エリア付近はもちろん、サイドや高めの位置でも幾度となく囲い込む。
1stレグのアドバンテージをゆっくり使っていくような立ち上がりだったバイエルンに、この勢い、さらにはフィオのホーム、アルテミオ・フランキの異様なまでの熱気が後押しし、効果覿面。
少しずつ、奪ってからの攻撃が冴えだした28分に、中央でぽっかり空いたマルキオンニが強烈なミドル、弾いたところ、巨漢ディフェンダーのファン・ブイテンの外側から走りこんだバルガスが粘り強く足を伸ばし、かつ強烈に振りぬいて先制する。
ここまで崩す場面はなかったが、フィオの積極性が実った瞬間だった。
特に左サイドは充実著しく、守備ではロッベンを抑えたフェリペ、攻撃ではチェイスに抜け出し、ドリブルに勢いを見せたバルガス、このコンビの存在感は際立った。
33分にラインコントロールの隙からロッベンに決定的なシュートシーンが訪れるが、この唯一にして最大の決定機もフレイがセーブ。
フィオの狙い通りの前半だったといえる。

後半は出だしからフィオが攻勢。
左サイドに加え、右サイドのマルキオンニが、対面の若干17歳、アラバを執拗に攻め立てる。
トータルで見ればアラバは奮闘していたと思うが、球際の争い、間合いのとり方ともにマルキオンニに一日の長。
この立ち上がりはマルキオンニから何本も好クロスが入る。
49分にはジラルディーノ、足元深くに入りすぎるも粘ってシュート、これはブットの好セーブに阻まれるものの、54分に再びマルキオンニから同じようなグラウンダーのクロスが入ると、これをヒールで落とし、走りこんだヨベティッチが左隅に流し込んで2-0。
1-0の時点でアウェーゴールで上回っていたフィオだが、攻め続け、そして素晴らしいゴールで追加点を奪う。

ゲームはこのゴールを皮切りに、わずか10分の間にスペクタクルの連続。
2点のリードということを考えれば、フィオが失点しないことに重きを置くことも考えられた。
この2点のリードを得たフィオがやり方を変えなかったことに批判も巻き起こっているが、うまくいってたやり方を55分の段階で変えるというのはそれなりにリスクを伴うことだと思う。
奪いに行く守備の裏を突かれた60分、それまで消えていたリベリーが一瞬のスピードで抜け出し、3人のディフェンダーに囲まれたものの、切り返しから冷静に中央に送り、3列目から走りこんだファン・ボメルが針穴を通すようなグラウンダーのミドルを突き刺す。
これでトータルスコアはまったくのタイ。
どちらも点が必要になり、どちらも縦に早く、オープンな打ち合いになった60分台。
64分には中央で受けたバルガスから速く鋭い、素晴らしいグラウンダーのパスが開いたヨベティッチに入り、ヨベティッチはそのままカットイン。
中央で一旦クリアされかけるが、エリア内に向かったルーズボールをジラルディーノが競り勝って絶妙な落とし、狙っていたヨベティッチがファン・ブイテンの寄せを弾き返して左足で冷静に流して再びリード。
今度こそ守りに入る、そういうアイデアはあっただろうけど、そんな準備もする間もない、次のバイエルンのキックオフから、右サイドのロッベンにボールが渡ると、真横にドリブルしながらコースを見つけたロッベンは30メートル級の距離を一瞬で縮めるワールドクラスのミドルを突き刺して3-2。
アウェーゴールでバイエルンがリードを奪う。
なんという激しい攻防。
それもゴラッソばかり。
これはもう、チームとしてのやり方がどうこうという問題ではなく、瞬間瞬間、勝負を決める個の力が爆発し合った印象だ。

残りの時間は意地のぶつかり合い。
中央は潰しあい。
活路はサイド。
これは両チーム共通していて、マルキオンニ+バルガスのフィオ、リベリー+ロッベンのバイエルン、どちらも苦しみながらも持ち味は出した。
中央ではジラルディーノの楔、マリオ・ゴメスのアクシデントで入ったクローゼの飛び出しと、これまた見せ場は作った。
ファン・ボメルとシュバインシュタイガーのところでゲームを作らせなかった分、フィオの積極性、速い寄せや速い縦への攻撃がやや押し込んでいたか。
ホームの大声援を受け、見事に3-2でブンデス首位チームを退けたフィオだったが、あと一歩及ばず、ベスト16での敗退となった。

大きく動いたのはフィオの2点目からの10分強での4ゴールだったが、それ以外の場面でも、互いの狙いが見える組織同士の攻防、技術と気合いがぶつかり合った局面での争い、見所十分だった。
当事者や応援者は疑惑のゴールの件、頭から拭えないだろうし、次のラウンドに進めないという事実は重くのしかかっていると思う。
それでも、フィオの今季のCLでのチャレンジは、リバプールを敗退に追いやったグループリーグから始まり、実に清々しいチャレンジだった。
素晴らしいインパクトを残して大会を去ることに、胸を張ってほしい。
ロッベンのインパクトは強烈で、2メートル以上彼の前にスペースを空けてしまうと、誰が相手でも手がつけられないほど。
ワールドカップで対戦する日本は、90分、スッポンさせたほうがいいかもしれない。
それでも恐らく、ここから先の対戦では、ロッベン頼みじゃキツイはず。
紙一重で勝ちあがったバイエルンには、フィオの分まで頑張ってもらわないと困る。
by blue-red-cherry | 2010-03-11 14:12 | サッカー(FC東京以外)

アーセナル×ポルト UEFAチャンピオンズリーグ 09-10 1/16ファイナル 2ndレグ

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今季のUEFA CLもいよいよ8強が決まる。
アーセナル×ポルト
ホームで奪ったリードをどう生かすのか、ポルトの立ち上がりに注目していたが、キックオフからエンジン全開、凄まじい勢いと強度、精度で圧倒したアーセナルがその強さを見せ付ける格好で、準々決勝へ駒を進めた。

クリシーとサニャはほぼウイングの位置、アンカーのソングもセンターラインをはるかに越えてセカンドを拾い捲る。
ベントナーのポストワークも使いながら、ナスリ、ディアビを中心に、ロシツキー、アルシャビンのワイド含めてめまぐるしく人とボールが入れ替わる。
開始5分と経たないうちに、両サイドからは次々にクロスが、バイタル付近では楔、スルーパス、ドリブルでの仕掛けと休む間もなくアタッカーが顔を出す。
ポルトのゲームプランがどうだったかはわからないし、当然カウンターは狙っていたと思うが、ものの数分で彼らは自陣エリア付近まで押し下げられ、そして釘付けにされた。
圧巻だったのは7分前後のプレー。
自陣右サイドでマイボールにしたアーセナルは、ソング、ディアビ、ナスリ、クリシー、ベントナー、フィールドを広く、多くの選手の足元を経由しながら、10数本のパスを繋ぐ。
そのひとつひとつの中継点、相手の寄せを受けながらも体の向き、トラップの位置、そして素早い判断ともにすべての選手が優れ、ときにドリブルで仕掛け、ときにダイレクトで叩き、外から中、中から外と寄せて広げてにじり寄る、アクションサッカーの真髄が詰まった1分間だった。
大きな展開をもたないまま最後は右サイドでフリーの選手を作り、そのクロスを逆サイド、ファーでアルシャビンが合わせるフィニッシュまで、目も心も奪われてしまった。

圧倒的なポゼッションの中、時間の問題だった先制点は10分、相手クリアを拾ったナスリが迷いなくスルーパスを送ると、アルシャビンが潰れてこぼれたボールにベントナーが鋭く反応して生まれた。
これでアウェーゴールの計算上、点が必要になったポルトも徐々にカウンターを見せるもののいかんせん、全体が押しあがらない。
可能性を感じさせるのはトップに張ったファルカオの強引な突破、それにフッキ、バレラの両翼、ラウル・メイレレスのどれか1枚が絡んだときだったが、もう1枚絡んでこれず、クロスが空を切ったり、ボールホルダーが囲まれたり。
それもアーセナルのペースが落ちなかったからだろう。
中央にポジションを置いたなすりのキレ具合がハンパじゃなく、自分で動かして突っかけても良し、簡単に叩いても良し、広い視野で攻撃陣をコントロール。
ディアビやソングのフォローも効いていて、セスクの不在を感じさせない。
さらにアルシャビンがまた、手のつけられない状態だった。
エリア左手前でボールを受けると、幾度となくドリブル突破を仕掛け、対面のフシレは相当疲弊しただろう。
そのフシレが25分、安易なクリアミスをアルシャビンに渡してしまい、受けたアルシャビンは3人のディフェンダーを引きずりながらエリア深くまでえぐっての高速クロスを折り返すと、すっかりフリーになってたベントナーが合わすだけ。

さすがに2点リードでペースは落ちたが、このあともアーセナルの余裕あり、仕掛ければ鋭いポゼッションが続く。
最終ラインとソングはしっかりスペースを埋めてるし、ワイドのロシツキー、アルシャビン、センターのナスリ、ディアビも運動量多く、守備もサボらずで、ポルトはカウンターの芽すら掴ませてもらえない。
3トップと最終ラインの距離が開き、中盤も守備偏重になってしまうと攻撃の人数がどうしても足りなくなるという、ポルトのいつもの構造的・状況的欠陥。
これを打開せんと後半は頭から、センターハーフのコエーリョを下げてサイドアタッカーのクリスチャン・ロドリゲスを投入。
これでファルカオ、フッキの2トップに、ワイドはロドリゲスとバレラ、分かりやすく、かつ基点ができたポルトが少し持ち直し、さらにアーセナルの対応が遅れだしたことで後半序盤はオープンな打ち合いに。
前半から続いたファルカオの奮闘、そしてロドリゲスの運動量と仕掛け、ここでいくつかチャンスを作るものの、どうにもフッキ、バレラに元気がない。
フィニッシュがフリーで打てない、ラストパスが繋げない、そうして時間を費やしているうちに、攻撃に乗せた分もちろん、アーセナルにもチャンスが出てくる。
ポルトの反攻をいなした60分過ぎ、何度かカウンターで押し返すと、右サイドフリーで受けたナスリが突如エリアに仕掛ける。
ディレイするディフェンスを微妙に操りながらエリアに入ると、キレある切り返しとスピードであっという間に3人を置き去りにし、角度ないところを強烈なシュートで打ち破った。
重すぎる1点、これで勝負あり。

1点返せばという思いで前がかりになろうとしたポルトに対し、わずか3分後、アルシャビンがまたもフシレとのセカンド争いを制すると、速く力強いドリブルから途中出場のエブエにスルーパス。
エブエがキーパーをかわして沈める、という典型的なカウンターで4店目。
なんとか一矢、という気持ちは見えたが、さすがにこの状況でモチベーションを保つのは難しかっただろう。
フレッシュな途中出場選手を中心になんとか攻めたポルトだったが最後までゴールは奪えず、逆に90分にはPKをベントナーに決められてハットトリックを許す。
5-0、勝敗は正当な実力差だと思うが、得点差は実力差以上のものとなった。

開始10分に尽きるかなー。
アーセナルのモチベーションの高さ、それをプレーに結びつけるコンディションの良さがとにかく圧倒的だった。
今季結構見てきてるけど、いちばんの迫力、勢いを感じた。
セスクを欠く中、ビハインドで迎えた後がない状況で開き直ったかね。
キャンベルちょっと危うい?とか、フェルマーレンイラついてる?とか、万全ではなく映った守備陣も最後まで守りきったし、やっぱり強い。
ここに来て調子上げてきてる感じがするし、リーグもひょっとしたら、って気になってきた。
視察に来てたハリー・レドナップの目には、どう映ったんだろう。
by blue-red-cherry | 2010-03-10 20:12 | サッカー(FC東京以外)

フラム×トッテナム・ホットスパー FAカップ09-10 準々決勝

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FAカップ準々決勝、フラム×トッテナム・ホットスパーを見た。
ま た 再 試 合 か 。
と、言いたいところだが、両者ともに決め手に欠けた試合、ドローは非常に妥当な結果。
シュートチャンスはいくつかあったものの崩しきれず、一方でザモラのポストプレーから好機を幾度も作られていたスパーズとしては、ホームでの再戦に望みを繋げたといったところか。
再試合で日程きつくなるのは、ELでも勝ち残っているフラムのほうが厳しいわけだしね。

スパーズはメンバーもきつかった。
折からのレノン、ベントリーに加え前節のエバートン戦でハドルストーンが離脱。
さらに代表戦で負傷したデフォーも万全でない中、2トップにクラウチとパブリュチェンコ、中盤はセンターはモドリッチとパラシオスが組み、右にクラニチャル、左にベイルという布陣。
それぞれに努力はしてたし、良さがあるのも分かるんだけど、チームとしてはいかんせん、かみ合わなかった。
クラウチは代表戦、パブリュはリーグ戦と直近の試合で結果を出している好調フォワード、高さのある2枚を並べた前線だったけど、彼ら2人の呼吸は今ひとつ。
それぞれのポストプレーは、デフォーならばすかさず反応していたであろう距離感、コースのもとに供給されたが、ここのパスワークは今ひとつ。
もっといえば彼ら個々のポストワークも今ひとつで、特にパブリュのほうはファーストトラップが大きくなるシーンが目立ち、なかなか溜めが作れなかった。
クラウチの場合は彼がいる試合は往々にしてそうなるし、ある意味ちょっとかわいそうなんだけど、どうしても頭狙いのボールが多く、その落としは受け手のタイミングも高いレベルで要求されるがゆえにミスで終わってしまうことが少なくなかった。
高さのある2枚を置いていることを考えると、使い方もどうだったかな、とは思う。
フラムは前線のザモラに入ったときこそ、2枚目、3枚目と畳み掛けることもあったが、ホームながら基本は受け。
低めのラインでスパーズ攻撃陣を待ち受けては跳ね返す守備網を敷いていた。
それに対し、ベイル、ニコのところまでボールは渡り、ベイルは突破が冴えていたし、ニコのキープはチョルルカのオーバーラップを誘発したしで、両サイドからクロスを入れる機会は少なくなかった。
だがこのクロスが合わない。
ベイルの突破からの高速クロスは相手も守りづらそうだったし、ニコの豊富なキックと、そもそも2段だからこそのずらしも期待できた右、悪くはないんだけど、どれも狙いすぎというか。
せっかくクラウチにパブリュ、高さのあるフォワードを2枚並べてるんだから、もっと曖昧でいいから高さを活かしたボールが入っても良かったんじゃないかな。

でもまあ、やられなくてよかったわ、ホント。
急造のフォメの中でも光ったのがモドリッチとパラシオスのセンターハーフ。
パラシオスは唯一といっていい、4枚の中盤で、レギュラーで本来のポジションでプレーしていた選手だったけど、それに相応しいアグレッシブでダイナミック、かつ堅実なプレーをした。
相手を深くまで追い詰めるプレス、隙あらば攻め上がる攻撃参加など、プレー範囲の広さはひとりダイナミズムを発揮。
一方で終盤、押し込まれた際には、ラインがベタ引きになってたこともあり、下手に飛び込んでスペースを空けることを避け、ディレイディレイで遅らせながら最後、懐に引き入れて奪うなんて玄人好みのプレーを連発した。
見るたびに思うけど、ホントレベルの高いセンターハーフだと思う。
相方を務めたモドリッチも運動量と、テクニック、球離れと動き出しの良さ、自身の持ち味を総動員して見事に大役をこなした。
ハドルストーンのミドルや大きな展開こそ欠けたものの、ピンチに顔を出し、五分のボールをマイボールにする技術はなかなかのもの。
サイズの小ささがあるので、センターの激しい争いに怪我でもしないかと心配だったが、もう少し周りとの連携高まり、モドリッチの上がりをサポートする状態が整えばもっとエリアに侵入してもいいと思うし、そうなればハドルストーンとは違った魅力あるセンターが形成できるかもしれない。

フラムの守備は粘り強かった。
ハンゲラン、ヒューズのセンターバックに加え、グリーニングとエトフのセンターハーフもかなり守備に重きを置いたポジショニングで、バイタル以降、中央に隙間はなかった。
そして後半半ばすぎからの攻勢も見事だった。
これは一重にザモラに尽きる。
この巨漢センターフォワードがことごとくボールを収める。
密着マークしていたバソングもターンされてやられたり、マーク外した場面は一度コーナーであったくらい(それが決定機に繋がってしまってたが)で、厳しくついていた。
それでも体を当てて自分のスペースを作り、次の寄せが来る前に確かなタッチで周りを使う。
この溜めを使ってダフ、デイビスの両サイドハーフ、左サイドは特に厚みがあり、サイドバックのショーリーが再三チャンスを演出した。
ゴメスのスーパーセーブと、縦に強いドーソンの度重なる跳ね返しがなければやられてもおかしくなかった。
その意味ではスパーズの最終ラインも粘り強く守ったといえる。

こう振り返ってみるとやっぱりスパーズは命拾いしたような気がする。
フラムはどうしても勝ちたかっただろうし、超がつく決定機があったのはフラムの側。
再試合がどうなるかは未知数だが、ホームで戦えるし、ベントリー、下手すればレノンの復帰も見込めるスパーズが若干優位な気がしないでもない。
どちらにしろこれに勝てばベスト4、しかも決着がついた他会場の結果を受けた抽選で、準決勝はチェルシー×アストンヴィラ、スパーズとフラムの勝者はポーツマスとの対戦に決まったそう。
これ以上ないチャンス、リーグ4位という目標との兼ね合いは非常に難しいところだが、ここまできたら全力で臨んでほしい。
by blue-red-cherry | 2010-03-09 15:11 | サッカー(FC東京以外)

日本×バーレーン AFCアジアカップ2011カタール最終予選

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失意の2月シリーズを終えたときは随分先のことに思えたアジアカップ最終予選、日本×バーレーン
いつの間にかその日がやってきた。

海外組が戻ってきた、それ以上の話題も興奮も上積みもなかったと思う。
いや、シーズンが近づいた分、国内組のコンディションは上向いてきてたかもしれない。
いつもそれなりに苦戦するバーレーン戦、この試合にモチベーションを保つのは両者ともに難しかったと思うけど、日本戦に闘志を燃やすマチャラバーレーンはこの日も、粘り強く守りつつ、ときに鋭いカウンターで日本陣内に迫った。
それでもレベルの差は歴然。
やはり海外組で構成した中盤より前の技術レベルはさすがのものがあった。
それぞれに間があるし、足元よし、蹴ってよし、コンビネーション練習は十分なはずないけれど、互いの距離感は今年に入って一番良かったんじゃないかな。
定型でチャレンジした形といえば最終ライン、中盤深めの位置から送った、岡崎の裏への飛び出しへのフィードくらいだったけど、形が作れない中で各々で考えてボールホルダーをフォロー、スペースを使おうという状況判断の良さが目立った。
真ん中に収める動きこそなかったが、右ワイドに開いた俊輔、左の松井とともにキープ力高く、溜めを作る。
ゴールからの距離が開いてる分、フィニッシュに直結するような怖さはなかったが、彼らの溜めの分、長友や内田のオーバーラップ(特に長友、松井とのコンビで左サイドを何度も破りかけた)、監督やチームメイトから抑えられるほど、闘莉王が上がる頻度は高かった。

必然的に印象に残ったのはどうしても、個の選手のプレーになる。
松井の動きのよさが目立った。
ここ最近の代表でのプレーは、気負いすぎというか、モチベーションが空回ってた印象があったが、この日はモチベーションの高さ、コンディションの良さをキープしつつ、周りを使い、自分も使われてと、肩の力が抜けてたイメージ。
森本との交代後、システムの変更に慣れる時間が必要だったとはいえ、攻守にトーンダウンしたのは間違いない。
穿った見方をすると、それも俊輔のパスコースが限定されてたからかもしれないww
あまりマスゴミの煽りに加担する気はないんだけど、俊輔は本気で嫌いでしょ、本田のこと。
明らかにタイミング、セオリー的に本田に出すべきパスを出さず、裏をかいたプレーとは言えない、違和感のあるパスが何本か。
時間を追うごとに多少は絡んだけれど、追い込まれた末に嫌々出した感のあるパスを、本田もまた同様に追い込まれて俊輔に返し、結果として中央でのパス交換がバーレーン守備を引き付けてスペースを作り、そこを突いた松井のクロスに岡崎が合わせての先制点とか、俊輔がむりくり放った右足のクロスが本田どんぴしゃだったりとかw
俊輔も本田も、個々にそれなりにはやってたと思う。
特に本田は、俊輔からボールもらえないし、岡崎との棲み分けが中途半端だったから、消えてしまう時間も長かったけど、前向いて持ったときはパスにドリブルに、仕掛けたし魅せた。
前半に右からのクロスを松井が空ぶったときのフォロー、終了間際、内田のクロスにニアで森本が詰めたところを押し込んだヘッダーへの素地は前半から既に見られていて、自分で仕掛けるプレーにしろ、フィニッシャとしてラストパスに合わせる形にしろ、確かにゴールに向かうプレーにこそ持ち味を発揮していたように思う。
俊輔はその、本田との関係性については、仮に嫌ってなかったとしても、彼のほうから連携改善に向けて働きかけて然るべきだと思うので、その点はいただけない。
だが、パスの正確さ、懐の深さはほかの選手にないものがあるとは思った。
まだまだ試合勘もコンディションも今ひとつだったと思うけど、岡田監督がこのまま、楔役、ポスト役を担うセンターフォワードを置かないという選択をするのならば、俊輔の作る溜めは欠かせない。
彼が入るのがベストなのか、センターにキープ力のある選手を置いて、中盤はもっと機動力を高めたほうがいいのか、その是非はわからないが、どちらにしろ、Jリーグでコンディションを上げていってもらわないと困る。
時間少ない中、本田のゴールを誘発したニアへの飛び込みこそ、森本に期待される部分だろうし、その意味では凝縮されたプレーで強烈なインパクトを残した。
対して欠かせない存在であることを、その運動量、遠藤はじめほかの選手とのコンビネーションの潤滑油として証明してみせた長谷部は、好調時に比べるといまいちだった。
パスミスが目立ったのが気になるところだが、それを差し引いても遠藤の相棒として、ポジショニング、役割分担ともに最有力であることはゆるぎないけどね。

とまあ、印象はぽろぽろと、個々の選手に拠るところしか思い浮かばない。
彼ら久しぶりに見た海外組の持てるものだけが東アジア選手権との違いで、それ以外はほとんど何も変わってない。
センターバックの不安、内田の軽いディフェンス、ターゲットプレーヤー不在によるバイタルの使えなさ(ボールこなかったけど本田が居座ったことで前よりはマシだった)など。
闘莉王が上がりまくるってのも、基点が置けないことの裏返しだと思う。
むしろ中盤で最終ラインで、安易なパスミスが散見され、それが相手のカウンターを招いたという、新たな不安も見つかった。
密集地からのサイドチェンジで活路を見出そうとする形は、不調時の東アジア選手権でも見られていたこのチームが持つ数少ない型のひとつ。
しかしこの密集の位置が低いため、ここで奪われると致命的なカウンターを喰らうことになる。
マチャラはこの辺よく知ってるからだろうけど、ここんとこ、ビルドアップからスピード上げる前の密集のところにプレッシャーかけられて、パスミスかっさらわれてってシーンがいくつか見られたのは気になるところ。
バーレーンのカウンターに迫力がなかったから助かったものの、あれが、ね。

そういうばひとつだけ、良かったと思えるところもあった。
オランダ戦に戻ったとはいえないが、プレス位置は随分高かった気がする。
でもなー、バーレーン相手だし、ほとんど繋いでこなかった相手にプレスが効いてたもクソもないか。
そうそう、バーレーン相手ってところで引っかかるのは岡崎縦ポン。
この岡崎縦ポンは意思持って、何回か繰り返されてたよね。
特に右奥の裏を狙うパターンが多くて、俊輔や内田、右同士で縦関係のパスが出ることが多かった。
岡崎の粘りや本田のフォローあって、数回はうまくいってたけどあれ、本番でも通用すると思ってるのかなあ。
動き出しは岡崎の持ち味で、いいもの持ってると思うけど、この日見せてたこのパターンは取り立ててフィードが凄いわけでも、抜け出しが凄いわけでもなかったと思う。
バーレーンのディフェンスとの関係で岡崎が勝った、それは事実だし、本田や長谷部のフォローで数的優位を作れた、これも事実。
だけど本番対峙する相手にあの程度のパス、あの程度のランでそんな簡単に崩せるのかどうか。
俊輔は手ごたえ感じてるって言ってたけどさ…。

うーん、だらだら書いた割りには実のない感想文。
本番まで、100日を切った。
いろんな意味で、覚悟しないとな。
by blue-red-cherry | 2010-03-05 20:04 | サッカー(FC東京以外)

トッテナム・ホットスパー×エバートン イングランドプレミアリーグ09-10 第28節

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プレミア第28節2日目は、楽しみにしていたカード、トッテナム・ホットスパー×エバートン
序盤の躓きを経てようやく中位を抜けてきそうなエバートンと4位キープのスパーズ。
本来ならば4位争い挑戦者側を牽引すべき2チームの対戦だ。

自分の見てきたサッカーだと、好調なチームはいじらない、を鉄則としているチームが少なくなかったけど、チェルシー、ユナイテッドとビッグ4を連破してきたエバートンはこの日、ガラっとメンバーを変えてきた。
トップで奮闘していたサハの代わりにヤクブ、両サイドで光っていたハーフがドノバン、ビリャレトディノフからアニチビ、ピーナールに代わり、ロドウェルがスタメン、オズマンがトップ下と中央の厚さはやや守備的。
ドノバンは後半から出てきて問題なくプレーしていたし、サハに関しては分からないけど、ビリャレトディノフもベンチ入りしてたことを考えると、怪我などのアクシデントではなく戦術的、もしくはドノバンは、レンタル延長が難しそうだというピッチ外の理由もあったかもしれない。
どちらにせよ、この布陣、まったく機能していなかった。
もちろん例えば、ヤクブにボールが収まらず基点が作れなかったのはスパーズのCBとCHが厳しかったことにも起因してるし、足元強いメンバーをそろえたスパーズの中盤がプレスに強かったこともある。
それにしても攻守にメリハリなく、速攻も遅攻も中途半端、守備に至っては守備に長けた選手を配置したにも関わらず、かける位置、かけるタイミングが統一されておらず、中盤のプレスがまったくかからなかった。

このエバートンを相手に、前半はスパーズのやりたい放題だった。
プレスがかからない中盤はハドルストーンとパラシオスの独壇場。
セカンドへの反応の速さで優位性を保ち、保持しては悠々のキープから首尾よくフィード。
前線と絡んでの飛び出しも自在。
11分の先制点は、自陣でボールを受けたハドルストーンが間髪いれずに前線へロングフィード、相手ラインと駆け引きしてたデフォーが得意のスライドでラインを横に移動してマーカーをかわし、90度向きを変えた前線への飛び出しでフリー、さらには後方のボールをヒール気味でトラップする神業を見せて放ったシュート性のクロスにパブリュチェンコが飛び込んだもの。
まあでもこのゴールはフィードより、2トップの動きを褒めるべきか。
デフォーのこういった一連の動き、点を取るための動き、動き出しに始まりトラップ、シュート、クロスといったストライカーに必要な要素すべてにおける鋭さは本当に目を瞠る。
実況・解説絶賛のパブリュもノリノリだなー。
確かにこのシュート性のクロスに合わせるには、デフォーのことを知って、信頼していないと出来ないプレーだ。
2トップの関係性の良さを証明していると同時に、パブリュ自身のキレの良さも見せ付けている。
バイタル付近、エリアに近づいてからの楔の動きも面白い。
クラウチのように懐の広さを活かし、収めることを第一義にしているというよりは、そのときどきでいろんなチャレンジをしてくる。
シンプルに叩くこともあれば、タメを作ったり、フリックオンで抜け出すスキルもある。
コースが空けば強烈なミドルを放ったりと、サイズありつつも万能型であるという特徴が活き活きしてる。

しかし、活き活きしているといえばベイルだ。
フライングフルバックなんて呼び名も出てきてるみたいだけど、伸びやかなストライドでサイドを駆け上がる姿は言いえて妙。
スパーズといえばレノン、レノン離脱後もベントリーの活躍あって右肩上がりの中盤、ワイド攻撃という印象が強いが、ニコ、モドリッチをオフェンシブ、ハッドとパラシオスがセンターと、キープ力に長けたこの日の中盤の攻勢だと、サイドにしろ裏にしろ、縦への推進力がやや弱め。
ボール回しや中央突破に偏りがちなところをベイルの絶え間ない上下動が拭い去った。
アクシデントあって後半、防戦一方になったスパーズだが、その時間帯でもベイルの積極的なオーバーラップ、そして相手タッチラインまで仕掛けきる気概が相手の攻勢を幾度か押し戻していた。
ストライドの大きさがなんといっても魅力で、シザースにしろキックフェイントにしろ、前へ前への積極姿勢がモーション大きいことのマイナス面を補っていて、対峙するディフェンスが飛び込めないどころか、押し下げられるシーン多数。
守備面でもあえて一回抜かせてるのではと思うほど決まってるんだが、半身抜かれかけたくらいのところからその長い足をぬっと差し込むスライディングが見事。
とにかく目立つ。
来季あたり、スペインの2強とか、プレミアビッグ4とかから声がかかりそうな悪寒。

そうだ、上では中央に偏りがちだとか軽くネガ要素として書いたニコ・モドの同時起用だけど、モドリッチの運動量が戻ってきてる今であればそれほど気にならない。
それどころか、ショートパスを繋いでスペースを作り、ディフェンスをかく乱した2点目はこの面子ならではのゴールだった。
右サイド深く、チョルルカ、ニコ、モドリッチのクロアチアコネクションで短いパスをポンポン繋ぎ、周囲2メートルくらいがぽっかり空いた状態でエリアに入ったモドリッチが、狙いすましたループ。
パス回しもループシュートも絶品なゴラッソだった。
モドリッチが動くし、前線2枚も距離保ちながらサイドに裏に動きは絶えない。
加えてベイルがあの出来ならば、中盤は出し手やキープ力の高いメンバー並べて問題ないのかもしれない。

エバートンの元気のなさに助けられつつ、全体で技術的、身体的に充実振りを見せてくれたスパーズ。
しかし後半は流れが一変した。
最終ラインにジャギエルカを入れたことで中盤にポジションを上げたハイティンハ中心に、エバートンの中盤が元気を取り戻す。
徐々にプレスが効き始めたところで、スパーズにアクシデント。
小気味よいショートパスを繋いだ崩しのフィニッシュで、ハドルストーンが振りぬいた右足が相手ディフェンダーともろにぶつかってしまい、負傷退場。
これでスパーズの中盤は攻守のバランスが崩壊してしまう。
代わりに入ったカブールは出場自体が久しぶりで、さらにハッドとパラシオスの阿吽の呼吸だったプレス、スペース埋めの役割分担はいきなりどうこうするってのがムリ。
必然的に守備、なんとか失点しないようにとラインは下がり気味、中盤がら空きで前線との距離が開いたことで攻撃も機能しない。
55分にコーナーで失点してからの40分近く、なんと長く感じたことか。
グジョンセンやクラウチを投入して前線の活性化に試みるも、効果は薄かった。
下がりきってしまい、プレスが効かなくなった中盤でピーナールが躍動。
なぜかボールが足についてなかった(ローンバックの件とか関係あるのかな)ドノバンが決定機を外してくれたり、前半はポロッポロこぼしまくってたゴメスが復調してくれてたりとか、あとはさっきも書いたベイルの単騎突破とか、そういうプラスアルファの要素があってやっと凌げた印象だ。

今季はこういう、わずかなリードを守りきれずに落とした勝ち点が少なくないことを考えると、よく勝ってくれたって感じ。
でも追加点奪うにしろ、1点を守りきるにしろ、ハドルストーンの存在感が日増しにデカくなってることを気づかせてくれる試合だった。
同じことはきっと、パラシオスを欠くことになったとしても感じるだろう。
ジーナスが少なくとも昨季レベルまで持ち直してくれればいいんだろうけど…。
とにかくハッドの怪我が長引かないことを祈る。
この勝ちは大きい。
レノンも戻ってきそうだし、3月、FAカップともども勝ち続けて、4月のビッグ4連戦迎えたいね。
by blue-red-cherry | 2010-03-04 12:24 | サッカー(FC東京以外)

チェルシー×マンチェスター・シティ イングランドプレミアリーグ09-10 第28節

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プレミア第28節、チェルシー×マンチェスター・シティ
どちらも巨大資本をバックに持っていたり、また、例のテリーとブリッジの問題があったりと、ピッチ外の話題でも注目された一戦。
最初のチェックポイントだったキックオフ前の選手整列でブリッジが、期待通りの握手拒否。
大人気ないっちゃあ大人気ないが、しおしのテリーに対する心理戦としては上々だったはず。
それが効いたか効かないか、インテル戦に続きいまいち調子の上がらないチェルシー、ホームで屈辱の敗戦となった。

連戦続くリーグの中盤から終盤戦、テレビ放送にあわせたランチタイムキックオフ。
さまざまな要因ありつつも、最近のプレミアはどのチームもエンジンがかかるまで時間がかかるような気がする。
いやチームというよりはゲームが温まるまで少なからず、時間がかかる。
この試合も両軍、ともに自覚してか、序盤から慎重な戦いに終始する。
サパレタを中盤で起用し、バリー、デヨングと守備力の高い選手をセンターに並べてきたシティは、いつにも増して守備偏重。
3トップのテベス、ベラミー、アダム・ジョンソンも時間を作れるタイプではないし、スペース空けないチェルシー守備陣を前にカウンターの可能性はほとんど失われた状態。
そんなシティを相手にポゼッションで上回ったチェルシーだが、彼らもまた、芸がない。
確かに真ん中もサイドも、中盤以下7枚がきっちり守ってる状態で崩すのは困難だが、サイドは破れずに可能性の低いアーリー、中央は持たされたエリアからのミドルくらい。
ガードの上からパンチを繰り出しているような状態で、強度があればそれは後々効いてくるのかもしれないが、あまり有効な手立てには見えなかった。

慎重通り越して退屈だった前半だが、しかし残り5分、一気に動く。
42分、右サイドで作ったボールを中央で受けたジョー・コール、軽く溜めてから斜めにラインを抜けるランパードへどんぴしゃのスルーパス。
これをランパードが動きながらコースを突いて先制。
攻めあぐねながらもじわじわゴールへ迫っていたチェルシーが、終ぞこじ開けた。
だがわずか4分後、アディショナルタイムに入った46分、ディフェンス(コンパニかな?)のクリアボールをミケルが軽率なバックヘッド、受ける準備が出来てなかったテリーを振り切ってマイボールにしたテベスが独走、寄せてきたカルバーリョもかわして放ったシュートは勢いなく転がるが、まんまとキーパーのタイミングを外してゴールイン。
よく守ってたものの、攻め手は皆無だったシティ、追いつくのは相当難しいだろうと思ってたところでラッキーなゴールだった。
テベスはよく走り、よく打った。

今思えばどうしてそんなに、と思うくらい、後半序盤は打って変わっての打ち合いに。
特にチェルシーの位置取りの高さは異様で、サイドバックがウインガーばりに上がってきてた。
オープンな打ち合いを期待し始めた51分、高い位置でチェイスをかけるイバノビッチをさらに、カルバーリョもフォローするという前がかり具合だったチェルシー、その二人の位置でボールを失うと、2×2の状況でベラミーが独走。
必死で戻るミケルを寄せ付けずエリアに侵入すると、角度ないところから逆サイドネットに流し込んで逆転弾を決める。
攻めあぐねて、せっかくの先制をフイにして、時間はタップリあるにも関わらず早々に仕掛けた猛攻でバランスを崩してカウンターを喰らう。
どういうゲームプランだったんだろう。
首位チームとは思えない、余裕のない戦いぶりはまだ続く。
逆にプランどおりに戦えてるシティは、うまくいっているやり方をますます強め、守備意識はより強固に、前線はしっかりとカウンターに備える。
より厳しさを増したシティの守備に対し、チェルシーはカルバーリョを下げてカルーを入れたり、アネルカとドログバを前に上げたりと、アタッカーの頭数を増やして対抗。
これがねえ…人がいるところに人を当ててどうすんのって感じで、元々人数多いシティのディフェンスは崩れることなく、むしろ愚直な縦攻撃に、コンパニ、レスコット、リチャーズと、跳ね返す対応はお手の物。
ファンならば相当に焦れたであろう展開の中、74分、シティ側から放り込まれた50のボールに対し、途中出場のベレッチが処理をもたついたところをベラミーがかっさらってそのままエリア進入、追いかけたベレッチが足をかけてPK献上+一発レッド、テベスが難なく決めて万事休す。

一人気を吐くアネルカが左サイド深くからのカットインにキレと可能性を感じさせたが、名手ギブンの牙城を破るまでとはいかず。
逆に集中切れたかイラついたか、バラックの悪質なバックチャージで2枚目のイエロー、9人になってしまったチェルシーは87分にもカウンターからテベス、ライトフィリップス、ベラミーと繋がれてまさかの4失点。
終了間際にPKを獲得して1点返したものの、焼け石に水。
シティのカウンターはどれも見事だった。
それ以前にセンターバックタイプが並んだ最終ラインの踏ん張り、守備的な選手をそろえたセントラルハーフの貢献度の高さも見逃せない。
それにしても、チェルシーの不振が目立った。
やはり調子の上がらないテリーの守備、アシュリー・コールを失い、ジルコフも使えない中で苦肉の策でサイドバックにマルダが下がったことは、リスクを背負いながら自分たちの武器(マルダの突破力)も奪われる結果となっている。
ドログバへのマークがキツイのは変わらないが、彼をサポートするアネルカは好調でも、それに次ぐ存在が物足りない。
人を変えるのか、配置を変えるのか。
わずか1ポイント差に迫られたリーグ戦、1点ビハインドで臨むチャンピオンズリーグ、どちらにしろなにかしらカンフル剤が必要な気がする。

やっぱりシティのタレントはなかなかのもの。
この戦いができる、許されるのは攻守ともにタレントを抱えているからにほかならない。
4位争いにおけるスパーズのライバルは、シティとリバプールかな。
by blue-red-cherry | 2010-03-02 16:30 | サッカー(FC東京以外)

インテル・ミラノ×チェルシー UEFAチャンピオンズリーグ 09-10 1/16ファイナル 1stレグ

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UEFA CL 1/16ファイナルの目玉カードの一つ、インテル×チェルシーの1stレグ。
インテルの監督にして長きに渡ってチェルシーを率いたモウリーニョ、その人の采配の妙に唸らされた試合だった。
地力に勝るのは恐らく、チェルシーだと思われるが、この試合の結果を受けての2ndレグ、名将の打ち手次第では下馬評を覆し、インテルが次のラウンドに駒を進める可能性が十分にあると思う。

満員に膨れ上がったサンシーロの雰囲気がまたすごくて、それにノせられるかのように、インテルの選手が高いモチベーションを、いいコンディションのプレーにうまく使えていた。
リスク少なめに蹴りあった序盤、寄せと奪ってからのスピードに勢いがあったインテルはわずか3分、モッタの楔をエトー、スナイデルと繋ぎ、エリア内流れたボールを受けたミリートがテリーをかわして鮮やかに先制。
すべてのプレーにキレがあり、一瞬ではあったが、チェルシー守備陣の対応が追いつかなかった。

このあとは守備に人数かけて、ラインを低めに保ちつつ、アタッキングサードから厳しく寄せて奪っては縦に速く、ワイドを混ぜながらのカウンターで仕掛ける、という似たタイプ同士のにらみ合いが続く。
若干ポゼッションが高かった分、チェルシーのほうにシュートチャンスが続く。
ドログバのストレート系の直接FKがバーを叩けば、センターでゆっくり回しながらバラックのミドルがセザールを強襲したり。
また、モウリーニョ仕込みのインテル守備陣もチェルシーよろしく、アタッキングサードまでは保持を許すため、右のイバノビッチ、左のマルダとサイドバックも頻繁に上がってくる。
ポゼッションはしつつも、チェルシーも守備意識、カウンターに対する意識は高く、インテルの効果的なカウンターは数えるほど。
それでもボールタッチも運動量も豊富だったスナイデルがエリア内に侵入し、決定的なクロスを上げるもエトーが豪快に空振りするなど、インテルにも見せ場はあった。
しかしモッタとスタンコビッチはワイドを埋め、センターのカンビアッソはほぼ、フォアリベロのような状態でバイタルの守備に集中するなど、その守備組織の徹底振りこそ、インテルの狙ったサッカーであり、ドログバに自由を与えなかったサムエル、ルシオのコンビ然り、手応えを感じる前半だっただろう。
マイコンが上がりを抑え、センターバックのように絞って守っていたのも印象的。

手堅い両者ががっぷりよつで組み合った前半を受けた後半、ゲームは動く。
ひとつのプレーに対し、次のアクションが練られ、繰り出された。
静かな立ち上がりを経て51分、それまでサイドを上がることが主だったイバノビッチが突如、カットインして中央にドリブル、インテル守備陣はディレイしつつも追い込まれ、エリア手前で一気に寄せるものの、引き付けられたところでボールはカルーへ。
待っていたカルーは狙い済ましたインサイドを置きにいく形で右隅に流し込む。
インテルの守備陣は遅攻からの縦パス、もしくは正面の勝負になる楔、アーリークロスなどを弾き返すことには長けていたが、2段、3段の圧力、追い越しに手を焼いていたがその象徴的なシーンだった。
しかし嫌な雰囲気は一瞬、わずか数分後、半ば強引な反攻で左サイドからクロスを攻めあがったインテルは、クロスの跳ね返りを押し上げていたカンビアッソがダイレクト。
一度は跳ね返されたものの、リフレクションを続けざまにダイレクトで強烈に振りぬくと、ツェフも一歩も動けない弾道でネットを揺らして勝ち越し。
先制点にしてもこの勝ち越し弾にしても、長く集中していたチェルシー守備陣に一瞬の綻びがあったというか、強引にこじ開けるインテルの何かが炸裂。

勝ち越し弾はカンビアッソが素晴らしかったのはもちろん、ある種勢いに拠った部分もあったが、面白かったのがインテルの交代の一手。
一点をリードした58分、モウリーニョが選んだカードはセントラルのモッタに代えて、右ウインガーのバロテッリを投入するというものだった。
これにより前線は2トップから、エトー、ミリート、バロテッリの3枚に。
逆に中盤はスナイデルがやや位置を下げ、スタンコビッチ、カンビアッソとともに低めでワイドを埋めてきた。
これが攻守に奏功する。
前半も多くの時間で主導権を握り、リードされたことでますます攻勢を強めたいチェルシーだったが、イバノビッチとマルダの両SBに、3トップ化されたインテルのウイングに蓋をされてしまう。
特に怪我人続出の応急処置、守備リスクを冒してまでの起用だったマルダは、攻勢の時間帯こそ期待された攻撃面が光ったが、不安視されつつ晒されなかった守備面の課題をバロテッリとのマッチアップで露呈した。
攻撃面では固いチェルシー守備陣に厳しくマークされてた前線も、ワイドに開いたことでマークが分散。
さらに寄せて開いてという、サイドチェンジも決まったり。
もちろん押し込まれていたので、サイド切り裂いて云々、みたいな崩しは見られなかったものの、ワイドを使えるようになったことで、多少ポゼッションも持ち直したように映った。
このサイド封じは上に挙げた攻守での効果だけでなく、チェルシーの同点弾の時点で露呈した、2段攻撃、3段攻撃に弱いという弱点も補完。
意外なようでいて実に理に適った交代策だった。

まあそれでもなんとかしちゃうのがチェルシー、なんとかしちゃうのがドログバだったりするんだけど、そのドログバ封じも素晴らしかったよね。
オレのフェイバリットディフェンダーの一人、ルシオの活躍が嬉しかった。
解説の方(ゴトタケさんだったかな)も絶賛してたけど、体をぶつけるだけだとかえってドログバはやりやすかったりするんだけど、微妙に持たせたり、トラップ直後やターンしかけたところを狙ったり、と、とにかく巧い。
サムエルも同じく、キツくいくところと使い分けができていて、あのドログバがフリーキック以外、ほとんど見せ場なかったんじゃないかな。

インテルの脈絡のないゴールにはいつも驚かされるw
あまりそういうの好きじゃないんだけど、それまでの集中した守備、そしてそのあとの指揮官の対応と、勝利に値するゲームだった。
ホームに戻って2ndレグ、チェルシーも、アンチェロッティも黙ってないでしょ。
予断を許さない状況だけど、チェルシーの反攻を逆手に取る采配ができれば、インテルの勝ち抜けも大いにあり得ると思う。
by blue-red-cherry | 2010-03-01 11:33 | サッカー(FC東京以外)

トッテナム・ホットスパー×ボルトン FAカップ09-10 5回戦(再試合)

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CLの裏でひっそり行われていたFAカップ5回戦再試合、トッテナム・ホットスパー×ボルトン。
先週末のリーグ戦に続き、復活パブリュチェンコが2ゴールの活躍と、スパーズがホームで危なげなく勝利。
連戦の中、余裕を持った戦いで勝利できたのは大きい。

前半は守備意識が高いボルトンを前にスパーズも苦戦。
解説のエンマサ氏は、いつもスパーズに辛口なのにこの日はベタ褒め、個々の能力に勝るメンバーがそれぞれに実力を発揮していることを絶賛していたが、引いてスペースを埋めてくる相手に対してビルドアップ中の横パスでいくつかミスが散見されたり、ベストではなかったように思う。
それでも心臓部のパラシオス、ハドルストーンは変わらず高値安定で、まあボルトン自体のパフォーマンスも低調ではあったんだが、カウンターの芽を的確に摘んでいたし、いくつかのピンチはあったが概ねヤラレる試合ではなかった。

トップにパブリュチェンコを置いた形で長い時間、スパーズのサッカーを見るのは今季初だったが、これを見て、クラウチが出ている際にいかにクラウチ狙いのロングボールが多かったかを思い知らされた。
パブリュはどちらかというと万能型のフォワードで、中で受けるだけではなく、開いて受けて中に入ったりするプレーも多い。
デフォーはクラウチとも抜群のコンビネーション見せてるけど、スペースを空けてくれるという意味ではパブリュも同様のタイプなので、やりやすそうにしていた印象。
どちらかというとクラウチのほうが分かりやすい特徴を持っていて、今後は相手によって使い分けたり、例えば今くらいゴールを挙げている好調を維持しているようだと、パブリュが使われるのかもしれない。
珍しくエンマサ氏の意見にうんうんと頷いたが、スパーズの先制点、モドリッチのボールが足元に入ったパブリュはディフェンスに当てながらも強引に突破して左足を振りぬいた。
ああいう、混戦でシュートまで持ち込む技術(と呼べるかは分からないが)はフォワードにとって大きな武器。
デフォーを活かす意識は高いし、後半は中央で仕事をこなせるグジョンセンと状況に応じてポジションを変えながら、前向いて仕掛けるシーンも。
90分出場したわけだが、特にスタミナが切れることもなく、88分にはカウンターから、ダニー・ローズのクロスを止め、落ち着いて一人かわしてのダメ押しゴール。
ノっているのは間違いない。

2点目と3点目はともに、サイドからの崩しが誘ったオウンゴール。
2点目はコーナーからの攻めなおし、中央ディフェンスを引き寄せたハドルストーンの溜めからのスルーパスに反応したパラシオスがキーパーとディフェンスとデフォーが寄り合うスポットにピンポイント。
3点目は好調ベイルがテクニックとスピードを存分に駆使した突破からの高速クロスをディフェンスがクリアしきれずに自陣に押し込んでしまった。
どちらも引き気味の相手に対し、セントラルハーフ、サイドバックの攻撃参加と、厚みある攻撃が実を結んだもの。
スピードある選手が多く、カウンターのキレあるスパーズだが、引いた相手を崩すには人数かけること、サイド深くえぐること、どちらも求められるわけで、OGではあるがこの2点は今後に明るい材料となりそうだ。

あと珍しいところでは右サイドバックにアスーエコトが使われていた。
怪我からの久しぶりの実戦、ベイルは外せないし、チョルルカを休ませる意味合いもあったかもしれないけど、左利きの右サイドバックははじめて見たかも。
実際、右を使ってのプレーはほとんどなく、タッチを背負っての左足ばかりで、窮屈そうだったのは間違いない。
ただこっから先は総力戦だし、守備面で破綻なかったことは及第点。
一回、ボルトン陣内でカットインしてチャンスに絡んだけど、ああいうプレーが増えれば使い勝手もあるかもしれない。
ベイルが目立った一方でベントリー、モドリッチは控えめだったけどそつなくプレー。
そうそう、後半頭から入ったグジョンセンはさすが、バルサでプレーしてきた選手だなと思った。
後半頭のスパーズ3点目、ハーフライン付近まで降りてきての落ち着いたターンから、ベイルが走るスペースへ絶好のスルーパス。
その後も、余裕が出たスパーズのポゼッションが上がると、小気味よく顔を出してボール回しを促した。
あの落ち着きとタッチはポゼッションを求める場面では有効だし、肝を心得てる。
重要な戦力としてカウントできると改めて、思った。

これでFAカップもベスト8。
ビッグ4で次のラウンドに駒を進めたのはチェルシーのみ。
なんだかいけそうな気がする~。
by blue-red-cherry | 2010-02-28 19:10 | サッカー(FC東京以外)

シュツットガルト×バルセロナ UEFAチャンピオンズリーグ 09-10 1/16ファイナル 1stレグ

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UEFA CL09-10、1/16ファイナル 1stレグ、2週目初日は前回王者が登場。
シュツットガルト×バルセロナを見た。

そんなに多く見ているわけじゃないけど、ここ1、2年見たバルサの中でも類を見ないくらい、この試合のバルサは状態が悪かった。
連戦はこの時期、どのチームも同じ条件だと思うけど、コンディションの悪さがはっきりと見て取れる。
なんといっても運動量が少ない。
攻守において常にトライアングルが形成され、それがひっきりなしに動き、ひとつひとつが連動することで数的優位を生んだり、スペースを作ったりするバルサのスタイルは、人が動かないことには始まらない。
それなのに攻めては、4枚4枚、しっかり2ラインでワイド、スペースを埋めてきたシュツットガルトを前に、イブラはセンターに張りっぱなし、マーカーを嫌った右のメッシ、左のイニエスタは中、それも低めに降りがちで、ワイドでギャップが作れない。
中央に人が集まるから小さなパスは回るものの、シャビ、ブスケツ、ヤヤ・トゥーレで形成されたセントラルハーフのところで出しどころを探すシーンが目立つ。
ダニエウ・アウベス、アビダルを欠いた両SBのところはメンバー事情でいたしかたなし。
それにしても流れるようなパスワークは鳴りを潜め、立ちはだかる壁を前に、メッシの強引なドリブルやイブラへの厳しい楔を送っては跳ね返され、球離れが悪くなればプレッシャーの餌食に遭い、カウンターを喰らう。
らしさがなかったのは守備面も同じく。
動きながら、攻めながらその延長線上にあるバルサのプレス。
ボールに吸い寄せられるかのように囲い込み、鋭くインターセプトするその様はほとんど見られず、前半は幾度もカウンターを喰らい、珍しく全体の位置が低く下げられてしまっていた。

どちらにしろバルサがよくなかったのも事実だが、シュツットガルトが実にキビキビやれてた。
強豪相手に、上記したようにしっかりとラインを敷いてスペースを埋めた守備組織はもちろん、カウンター、そしてセカンドを拾っての2次攻撃と、攻撃時も勢い保ち運動量を落とさない。
前線からのチェックも精力的だった2トップは、大型のポグレブニャク、スピード十分のテクニシャンタイプのカカウ、バランスばっちりの凸凹コンビ。
彼らを両サイド、右はドイツ期待の若手・ゲブハルト、左は古巣に闘志を燃やすフレブ、両者とも上下動激しく、援護する。
この4枚のカウンターをセントラルハーフがサポートする形で、カウンターが一発で終わらず、前半の中頃、ちょうどゲブハルトの鮮やかなクロスにカカウが点で合わせた先制点のあとは、バルサを自陣に釘付けにするほどだった。

だからこそ惜しいのが、その時間帯に追加点を取れなかったこと。
実際クロスは何本も上がっていたし、シュートチャンスもあった。
しかし最後のところ、確かにギリギリのところではバルサのディフェンスも踏ん張ってたし、崩しきれずに1点どまり。
これが尾を引き、後半、引き続きピリっとしないバルサだったが、動きの鈍かったトゥーレに代えてアンリを投入し、イニエスタを中央に戻したことで人とボールに回りだしたところ、セットプレーからの攻めなおしで一瞬空いたイブラが、わずかなチャンスをものにして同点。
追いついたあとも調子が上がらないバルサは割りと早い段階にアウェーの戦い方に切り替えたようで、リスクを負った攻撃こそ見せないものの、奪われることのないパス回しで時間を使い、ホームの声援を受けたシュツットガルトは無念のドロー。
バルサから金星を挙げるのならばこの試合、ってくらいチャンスだった。
まあ、人の配置換えで悪いながらも体裁を保つくらいまで戻したこと、わずかなチャンスをものにするストライカーを擁すこと、最終的にアウェーで悪くない結果を収めたバルサがさすがなのかもしれないが。

去年もバルサはこのラウンド、苦戦したんだっけな。
本番はこれからってとこなのかもしれないけど、去年ほど圧倒的な強さは感じないなー。
もっともどのチームも、チェルシー的というか、低めのラインでブロック敷きつつ、引きすぎずにプレスはかけるっていう、あの守り方が浸透しているからかもしれないけど。
ホームに戻って2ndレグ、このままじゃ終わらないでしょ。
by blue-red-cherry | 2010-02-24 20:53 | サッカー(FC東京以外)