Number

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「Number」通巻720号は文字通り完全保存版、昨年引退した清原和博特集。

圧巻の読み応えだった。
普段から野球に、それこそオレでいえば東京に接しているように(365日FC東京を毎日チェックするように)野球に触れ続けてきた人にとってはもしかしたら既知の話なのかもしれないが、そうでないオレにとってはすべてがフレッシュで、濃厚な物語。
西武時代、巨人時代、オリックス時代、PL時代と4つのチャプターに分かれてその時代をともに過ごした仲間に恩師、ライバルらの証言とその時代に残した数字で振り返る。
無冠の帝王であり、記録より記憶に残ってきた球界最後のスーパースター。
やはり記録より記憶に残る選手であった彼の生き様は、記録同様、目に見えるところより目に見えないところに深く、濃い想いが潜んでいたようだ。
スターダムを登り、充実のシーズンを過ごした西武時代、成熟する前のスターを潰すことなく見守り支えた森監督、土井コーチ、そして清原が師と仰いだ落合博満の言葉は、清原がもっとも輝いた時代をともにし、育てた者の言葉として、その後の彼の行く末を見るにつれ覚えた悔恨の念を包み隠さず口にする。
苦悩の日々が続いた巨人時代、その悩む姿を見続けた同僚、村田真一や橋本清や彼を支えたトレーナーはその苦しさが想像を絶するものだったことを証言する。
現役晩年まで清原を苦しめた膝の故障と無関係とは言い切れない肉体改造を指導したケビン山崎や、オリックス時代、最後のスターの意地を見届けた人々は口々に「遠くへ飛ばす」ことにこだわった清原のピュアな思いを語っている。
そしてPL学園に残された数々の伝説は豪傑・清原の人間的な魅力を物語り、運命の球友・桑田真澄が語る真実と友情は、読み、聞き知るだけでは計り知れない運命の奔流を改めて教えてくれる。

西武から巨人、オリックスと続いた清原の野球人生。
個人的には、実は大の巨人ファンだったゆえに巨人時代に一番球場に足を運んだんだが、映像を見れば明らかなように、内外力みなく打ち分ける西武時代のバッティングを失ってしまったことを多くの関係者が悔やむのもうなずける。
しかしいろんなプレッシャーや自身の思いだけではない力が働いていたとしても、「誰よりも遠くへ飛ばしたい」という清原の思いは絶対に正しかったんだと思う。
その証拠に、史上初となるセ・パ両リーグでのサヨナラ逆転満塁ホームランを達成した06年5月のクルーンからの一発。
このスタジアムのカタルシス、そして何よりも清原の一転の曇りもない喜びよう。

ドラフトに始まり若くして常勝軍団を牽引し、因縁の相手への移籍、度重なる怪我、グランド外での番長日記。
本当にスターだったんだなと、改めて思う。
対戦相手から見た清原像(「インハイを攻めた男たち」というタイトル付けが抜群)を語る投手を並べただけで藪からサブマリンの山田まで、やはりこの男が球界の一時代を築いたことを物語る。

いやはや、素晴らしい特集だった。
特集の中でスポーツライターの故・山際淳司が書いた清原本のくだりに、氏が「スポーツノンフィクションの要諦はいかに人物を描くか」だと語っていたとあるんだが、この特集ではまさに清原にまつわる多様な人々の清原像を多様に描くことにより、球界最後のスーパースター・清原像を見事に深く、描くことに成功している。
未読の「野茂本」も俄然読みたくなった。
一気に読んだが、雑誌とは思えない重厚な読後感がある。
そういう人は多いと思うけど、オレも多聞に漏れず、メディアが作り出した清原を、そのイメージにのっかる形で支持していた。
だけどまったくそれだけじゃない、彼が望む望まないに限らずに野球の神様が歩ませたスーパスターの野球人生。
その重みを少しでも知ることができてよかった。

清原の思い出は決してそれだけではないが、彼が望み、挑み続けたホームラン集で刻んでおきたい。
今後清原がどのような道に進んだとしても、色あせることはない。


西武時代


巨人時代


オリックス時代


清原引退セレモニー~挨拶


清原引退セレモニー~長渕剛「とんぼ」

by blue-red-cherry | 2009-01-19 00:49 |
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