インテル・ミラノ×マンチェスター・ユナイテッド UEFAチャンピオンズリーグ 1/16ファイナル 1stレグ

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水曜夜、帰宅後食事しながら、録画しておいた「マンU×インテル」を見た。
テラギガ眠かったけど、サッカー三昧(って携帯サイトあったよなー)なウィークデーを送るしあわせ。

ヨーロッパのサッカー見ててそのハイレベルな組織戦術には驚かされ、語りたくなることも多いんだが、同時に驚かされる個人能力の高さを見ると、逆に閉口したくなる。
いや、それも日々の弛まぬ鍛錬の結果だと思うんだけどね。
どうもいろんな可能性を打ち砕かんばかりの力強さがあって、黙らされてしまうというか。
このマンUとインテルの激闘も、イングランドとイタリアの国内リーグを牽引する首位チーム同士の対決でありながら、ピッチで繰り広げられたのは世界を代表する個と個の激しいぶつかり合い。
ピッチのあらゆるところに散りばめられた激しい局面の争いを見るにつれ、先に思っていた個人能力集団へのネガティブなイメージは消えうせていた。
圧倒的なまでの個の集団は、組織論、戦術論を超えた迫力と魅力を備えていた。

さすがにヨーロッパトップを走る両者の戦い、序盤からハイプレスの応酬。
単騎ドリブルを仕掛けるロナウドには容赦ないタックルが浴びせられ、インテルの生命線である2トップにはファーディナンドとエバンスが密着する。
激しい争いの中、マイボールになったときの扱いの差から徐々にマンUがペースを握った。
トップのベルバトフと、中盤から前線まで自由に動く役割を与えられたギグス、この両者のマークを絞らせない動きと、落ち着いたゲームコントロールでポゼッションを高めると、ロナウドが、パク・チソンが、キャリックが、次々に前線へ飛び出していく。
なんだかんだで懐の深いロナウドのドリブルは慣れるまで、ファウルでしか止まらない。
度重なるエリア付近でのファウルは確実にゴールの確率を上げていたが、ロナウドお得意の無回転はこの日大当たりのジュリオ・セザールが弾き返す。
セザールは同じくロナウドが放った至近距離からのヘッダー、絶妙のターンで抜け出したギグスとの1対1もストップする神っぷりで、マンUの勝機を奪ったこの試合のMVPの一人。
後半にも幾度か決定機に近いチャンスを迎えたマンUだったが、勝機はここだった。
ここで得点できなかったのが後半の劣勢を呼び、ドローという結果に繋がった。
もっとも両者ホーム勝負の姿勢が見られる今回の対決、ルーニーを試運転程度に済ませてフィニッシュしたマンUにとってアウェーでのスコアレスドローは願ったり叶ったりだろう。
2週間後、オールドトラフォードではこの試合、得点するに至らなかった駒を配置し、勝利のために得点を奪いにくる。
この試合で見せ付けた流動的な攻撃の調べに、ルーニーやテベスがゴールへのベクトルを書き加える。
ファーガソンンの眼鏡の奥には、ベスト8への道のりが色濃く映っていることだろう。

一方のインテルもただヤラレていただけかといえばそんなことはない。
イブラヒモビッチとアドリアーノ、強力無比な2トップ頼みの攻撃は、徹底されることで意味を成す。
フレッチャーとキャリックのダブルボランチが中盤の底を空けずにきっちり守ってたこともあるが、インテルの2トップとスタンコビッチ、ムンタリが有機的な絡みを見せることは前半、まったくといっていいほど見られなかった。
サネッティにしても攻守に運動量多く、マイコンとの連携を試しはするものの、基本2トップは孤立する。
孤立しても彼らは前を向くから。
受け方の工夫やポジショニングで前を向かんとするズラタンとアドリアーノの勢いは確かに脅威。
例えフォローがなかったとしても一発で振り切られる恐ろしさを常に漂わせ、これは正しいんだけど、マンUのディフェンスが飛び込めない状況を作り、これが徐々に効いてくる。
セザールの活躍でなんとか前半を乗り切ったインテルは、ハーフタイムで一旦落ち着いたゲームの流れを一気に握ろうと攻勢に出る。
戦法は変わらない。
戦術ズラタン・アドリアーノだ。
相変わらずファーディナンドとエバンスは密着マークを許さない。
特にファーディナンドは良い仕事をした。
イブラヒモビッチは中盤に下がっての捌きやミドル、サイドへ流れてのドリブルで好プレーを見せたものの、エリア内で仕事をできなかったのが何よりもファーディナンドのプレーが優れていたことを証明している。
しかし後半、変わらぬ2トップの圧力に中盤からの押し上げがプラスされた。
マンUは徐々に徐々に最終ラインが下がりだしてダブルボランチもラインに吸収されんばかり。
前線との間が間延びして、ここからはカンビアッソの独壇場だった。
運動量と判断に長けた狡猾なアルゼンチン人ミッドフィールダーはこぼれ球というこぼれ球に食らいつく。
セカンドボールをたびたびダッシュする様はオフェンスリバウンドを取り続ける桜木花道のごとき活躍ぶりで、そのまま前線に飛び出しては2度も、アドリアーノへ決定的なクロスを送った。
時折襲い掛かるロナウドやギグス、ベルバトフのカウンターにもしっかり対応し、前半のMVPがセザールならば、後半は間違いなくカンビアッソだ。
結局決定機をものにできなかったアドリアーノは、これではトップランカーのストライカーとしての評価は得られないだろう。
だがここにきての復調はいよいよホンモノのようで、個人的にこんなに体の切れてるアドリアーノを見たのは記憶にない。
結果として彼を下げてからのインテルに大きなチャンスはなかったし、貢献度は低くなかった。
そのアドリアーノが下がった辺りから、試合はスコアレスドローへクローズする流れで、ルーニーの投入も慣らし運転の様相だった。

ラストのラストでロナウドの無回転×セザールのセーブという見せ場が見られたのが象徴的だが、終始局面での個の対決から目が離せない試合だった。
上にも書いたが、イブラヒモビッチをペナルティエリアから押し出したファーディナンドの徹底マークは見事の一言。
2トップ以外の見どころとして多くの人が挙げていたインテルの右SB、マイコンを苦しめたのはパク・チソンの献身。
ロナウドはもう2度と顔を見たくないであろう、セザールから、ホームゲームでゴールを奪えなければトラウマになってしまうかもしれない。
経験という武器の威力をまざまざと見せ付けたギグスは、下がって捌こうにはカンビアッソの激しい辺りと対峙し、伝家の宝刀、ドリブルからのフィニッシュを見せれば同じくベテランのコルドバがギリギリのディフェンスで防いだ。
これらすべてのシーンが、スコアレスドローに終った90分を飽きさせず、緊張感に満ちた濃密な時間にしてくれた。

個は戦術であり、戦術は個の中にある。
イブラヒモビッチやアドリアーノが前線で働き、そこにボールを集め続けるのはその個を最大限に活かすためにモウリーニョが場を与えた個の使い方であり、インテルの守備網を分断したギグスのフリーマン的役割も同様だ。
一方で、ベルバトフやギグスが作ったスペースを個々が使い、それに呼応してエリアに分厚く攻め入る攻撃、これは練習の賜物に違いないが、場面ごとに入れ替わる戦術はその刹那、個々の選手の中に生まれて描かれるもの。
これはイブラヒモビッチとアドリアーノにボールが入ったときのインテルのほかの選手の動きにしても同様だ。
「Number」の直前特集でも大きくクローズアップされ、いつの世も語られる「個」と「戦術」の話。
共存させるというか、そもそも分け隔てて考えられるものじゃないんだと思う。


あれ、メシ食べながらとか、途中で電話かかってきたりとかであんまり真剣に見てなかったつもりなのにこんなに思うことがあったのか。
by blue-red-cherry | 2009-02-26 10:56 | サッカー(FC東京以外)
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