Biggie Smalls is the Illest

命日から1日以上経ってしまったが、今年もビギーへの思いを綴ろうと思う。

以前、1stか2nd以外は聴けない、未発表音源の焼き直しはどうも、みたいなことを書いた。
擬似デュエットもしっくりこないって。
今年はこのビギーの命日に合わせてリリースされたミックステープを紹介しようと思って聴き込んでたんだが、ありかも、と思い直した次第。
今いちばんホットなMCとビギーのマイクリレーが聴きたい、今いちばんホットなトラックメーカーのビートの上でスピットするビギーのフロウが聴きたい、うん、自然な発想だ。
きっとあれだ、「デュエッツ:ザ・ファイナル・チャプター」にはなんか商業的な匂いがぷんぷんしてたんだよね。
それに対し今回聴いたミック・ブギーのミックスなんかは純粋なストリートの思いが満ちてるというか、リコンストラクトの仕方にも工夫と愛を感じる。

使われている音源は同じものだったりするので(当然だけど)真新しさはないけれど、いつも何かに気づかせてくれる、ビギーを思い出す日はヒップホップを思い出す日でもある。

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まずは去年「Unbelievable A Tribute To Biggie」というタイトルのミックスを発表したDJミック・ブギーとテリー・アーバンのから。
今年は同作品にジェイZの「Brooklyn We Go Hard」にビギーのヴァースを乗っけた曲や、「Dreams」というか「Real Love」のヴァースとリル・ウェインのデュエットを実現した「If You See Me」などのいくつかの新録をプラス。
ビギーのアカペラと、今のシーンを引っ張るMCたちが、近年のクラシックトラック上で競演するというスタイルの作品として、昨年の「Unbelievable」の段階からかなりの完成度だった。
プリモビーツでビギーとビッグLが唾を飛ばしあう「Let The Games Begin」あたりは文句なしのヘッドバンガー。
サダトXの同名曲のオケを使った流麗かつ跳ねるドラムが気持ちいい「Escape from NY」ではプロディジーとマイクリレー。
こういう遊びもミックステープならでは。
つかフリーで出してるわけだし、商業的な匂いがしないのは当然だよな。

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続いてアンダーグラウンドで活躍するMCを中心に気鋭のMCがビギーのクラシックをそれぞれ16ヴァースずつカバーしたDJドラマとCOOKIN SOULの「THE NOTORIOUS B.I.G. TRIBUTE」
そのままズバリなトリビュート、邦楽でもよく見かける、されるアーティストに対するするアーティストのリスペクトが詰まった変則カバーアルバム。
これが面白い。
一発目からスミフンのテックが「Juicy」をキック。
組み合わせの妙もいいし、これ、リリックが単なるカバーじゃないのは想像に難くないけど、トラックも微妙にリミックスされてる。
サンプリング元のばらし方をちょっと変えてみたり、ドラムやギター、加えてみたり減らしてみたり。
この辺の遊び(もちろんガチで音楽性は高い)があるかないかで、作品の印象はまったく変わってくる。
どこを切り取ってもスウィートでエロくなるアイズレー使いの「Big Poppa」はなんとCLスムースにSKYZOOという異色のメンツがカバー。
オリジナルでは使われていない、「Between the sheets」では盛り上がりのブリッジの部分をふんだんに使った、これまた完成度の高いリミックス。
アマンダ・ディーヴァなる女声ヴォーカルがけだるく歌うジュニアマフィアの「Get Money」カバーもいい。
ヒップホップR&Bオリエンテッドだったビギーの存在が可能にするトラックで、意義あるカバーだな。
味付けはしているけど、元の良さは消さないようなさじ加減ができている。
懐かしさと新しさ、どっちも味わえる好企画だ。

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最後は「DJ Mike Nice Presents Brooklyn Bullshit」
これは純粋なビギーものとは呼べないかな。
ビギーとジェイZ、ビッグ・ダディ・ケインとブルックリンに浅からぬ縁を持つ3MCをフィーチャーしたミックスで、ライブ音源からデモ音源まで、未発表曲がこれでもかと詰まった希少価値の高いミックステープ。
ジガはもろに前のめりな速射ラップ時代のラップで、ケインと競演しているフリースタイルとか、互いに意識しまくりでかなりアツい。
ビギーも含め、このアルバムにはラジオでのフリースタイルをはじめとして録音状態の悪いものが多いんだけど、だからこそ伝わるラフ、ラグド&ロウな魅力がすばらしい。
キレイにマスタリングされた煌びやかな曲を代表曲にもつ彼らだけど、この生な魅力こそが原点。
どれが、ということではなくどれもが貴重、かつかっこいいので聴き逃せない。
ことビギーに関しては、加工されたニューこそ聴くことができるかが、まったくのニューを聴く機会はかなり貴重。
ファンならばなんとしてでも聴いておきたい一枚。


こうして歴史は繋がっていく。
歴代のDJたちがバトン代わりに音源を繋ぎ、フロアをヘッドフォンを揺らすためにミックスし続ける。
Brooklyn finest’s saga, continue.
リンクはしないけど、ググって運がよければどれも落とせるから、聴きたい人は探してみてください。

Rest in peace, bigge.



つうか「Notorious」はいつ見れるのよ?


by blue-red-cherry | 2009-03-11 15:44 | 音楽
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