リバプール×レアル・マドリード UEFAチャンピオンズリーグ 1/16ファイナル 2ndレグ

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欧州CL、1/16ファイナルもいよいよ2ndレグ。
ヨーロッパのトップ16クラブのうち8チームのチャンピオンズリーグでの挑戦の運命がこの90分によって決められるという、緊張感溢れるラウンドだ。
1日目の生観戦は、追いかけていくうちに愛着が増してきたリバプールとレアルの一戦
アウェー、サンチャゴ・ベルナベウでアウェーゴールをあげて帰ってきたリバプールを迎えたのはホーム、アンフィールドにこだまする大音量のユルネバ。
サンチャゴ・ベルナベウのホーム感もすごかったけど、やっぱアンフィールドはすごい。
こういう戦いを見ると、ホームとアウェーの戦い方ってあるよな、とつくづく。

勝負を決した場面では確かに微妙な判定が大きく作用してしまったが、それを差し引いてもリバプールの勢い、いや勢いだけではなくすべてにおいてリバプールがレアルに対し勝っていた。
キックオフ直後こそ互いにハイプレッシャー、ゲームは五分の様相だったが、開始3分には早くもリバプールに決定機が訪れた。
ジェラードの深く、速く、鋭い楔のパスをトーレスがヒールを使ったトリッキーかつシュアなターンでカシージャスと1対1。
カシージャスの好セーブに阻まれたが、このトーレス・ジェラード×カシージャスという構図は試合を通じて見られた戦いで、どれも非常に見ごたえがあった、
この場面に限ってはそのセーブで得られたコーナーキックの崩れからマスチェラーノが見事なダイレクトのドライブシュートを放ち、それをまたカシージャスが左手一本で勝負。
リバプールの分厚い攻撃を最後の砦として阻むカシージャス、わずか2、3分の間に起こったワールドクラスのプレーの応酬に、序盤から楽しませてもらった。

ここから先はリバプールが圧倒した。
トーレスとジェラード、アロンソが好調だったらこれくらいはやれる。
怪我明けでコンディションが心配されたトーレスだったが、呼び込む動きはキレがあるし、背負ったり競ったり、ターゲットとしてこれ以上ない動きを見せる。
リバプールが五分のプレス合戦から流れを自分たちのものにできたのは、対照的にラウルとイグアインにまったく収まらないレアルに対し、このトーレスの働きがまず、あったからだ。
トーレスに楔をバンバン入れられるのも、ジェラードがその近い位置で自在にプレーしたことも大いに起因している。
カンナバーロやぺぺがトーレスに食いつくのはもちろんだが、本来ならガゴやディアラも挟んで守りたかったはず。
しかしジェラードを空けるわけにはいかず、結果どっちつかずにバイタルで2人の活躍を許してしまった格好だ。
トーレスを挟んで潰せなかったところで言えば、高めの位置取りで対面にプレッシャーをかけ続けたカイトとバベル(珍しくwwまともだった)の両翼も効いていた。
そんなセンターの2大スターが生きるも死ぬも、コンダクター次第。
アロンソの視野にはいつもトーレスとジェラードがフォーカスされ、ファーストチョイスとして入っていた。
相手のプレッシャーをいなし、横、斜めにリズムよくボールを散らすコンダクターがいてこそ、楔のパスが生きる。
最後尾からのロングボールに対し目測を誤ったレアルのCBを置き去りにして奪ったトーレスの先制弾。
アロンソのピンポイントなサイドチェンジを胸で浮かしたアルベロアのトラップに対したエインセの処理がハンドをとられた2点目のPK。
どちらも直接的には関連なかったが、得点シーン以外で多くの好機を演出していた中央の3人の圧力がレアルを苦しめたのは間違いない。

微妙な判定でのリードを吹き飛ばすかのような追加点が3点目、ジェラードのハーフボレー。
ハーフタイムを経て、イーブンに近い状態で始まった後半開始直後の出来事だった。
中盤から全体で押し上げる圧力は後半も変わらず、最終ラインやボランチがきっちり仕事をしているからこそ、バベルやトーレスも果敢に勝負を仕掛けられる。
シンプルに縦へ抜け出したバベルのクロス、難しいバウンド、難しい体制だったが、体を開きながらもしっかりミート、しっかりコースを狙ったジェラードのインサイドで当てたハーフボレーは非常に美しく、トドメを刺すに相応しい一撃だった。
この試合でもリバプールの攻勢を根幹から支えたのはマスチェラーノ。
その活動量と、ピンポイントでボールを奪い、攻撃の芽を摘む眼の鋭さには心底感心させられる。
アロンソがセンターでどっしり構えている安心感もあるだろうし、サイドバックやサイドハーフ、トーレスまでもが戻ってコースを限定し、いざっというところにマスチェラーノがアタックする。
この形はチーム全体が彼のボール奪取力をシステムとして、戦術として支えている証拠だ。
チームあっての活躍なのは間違いないが、それでもマスチェラーノがすごいのは、その与えられた機会(期待)にほぼ100%の答えを出すところだ。
プレーに無駄がないのでミスもほとんどない。
奪ってからのプレーにも迷いがない。
攻守にとにかくシンプルなプレースタイルだが、彼自身が攻守の切り替えのスイッチにもなり、リバプールの心臓といって差し支えないと思う。
前目の選手が欠けるのも痛いが、彼がいなくなるのはちょっと意味合いが違ってくる。
遅延行為で受けたイエローで次戦、マスチェラーノは累積警告による出場停止が決まった。
充実の一途をたどるチャンピオンズリーグでのリバプールだが、相手がどこになろうと、正念場は次の試合か。

出足、運動量、集中力、パスワーク、そしてフィニッシュと運。
すべてにおいてリバプールが勝っていた。
FAカップを敗退していたことで日曜日に試合がなく、万全の態勢で臨んだコンディションの差は確かに大きな差となっていたように思う。
そういう意味ではレアルにかわいそうな部分があった、といえないこともないが、戦い方を見てもレアルに勝ち目はなかった。
ラウルは最後まで諦めない姿勢、一瞬の怖さを漂わせてはいたものの、キャラガー、シュクルテルの激しい圧力の前にトップの仕事を求めるのは酷。
1stレグでは唯一、脅威であり続けたロッベンも鳴りを潜めた。
スナイデルのキープ、パスワークと絡めて有機的にロッベンを使いたかったんだろうけど、2人の距離感が中途半端。
ロッベンを生かしたければ彼をいかにフリーにするか、いかに前を向かせるか、いかにスペースを与えるか、これに尽きる。
これを行うには(たとえできたとしてもカイト、アルベロアがかなり見ていたので厳しかったかもしれないが)、ロッベンから離れたところでボールを保持、攻撃を組み立て、しっかりひきつけたところを大きくピッチを横断する展開パスでロッベンに預ける、この形が理想であり、スナイデルはその役割を果たせるパートナーだったはずだがどうにも役割が不明瞭だった。
中盤の役割分担ができてなかったのか、あれほどマスチェラーノと張り合ったガゴも消え気味。
選手交代も後手後手で、スペインから駆けつけたマドリーファンのしおらしい表情(あとエインセの意地)ばかりが映し出された。
終盤にかけ、勝負が決した感もありやや動きが鈍くなったリバプールを相手に、レアルが左右から数本、面白いクロスを入れてセカンドアタックも仕掛ける時間があった。
中央を厚くしつつサイドにもタレントを置き、目指すサッカーは明らかだったはずだが…まああのリバプールの勢いの前では仕方ないか。

それにしてもリバプールのパスワークは見事だ。
いつみても惚れ惚れする高速グラウンダー、長短のグラウンダーのパスがピンボールのようにピッチを縦横無尽に這い回る。
彼らの速いボール回しは相手のプレッシャーから逃れるためのものではなく、そうすることがいかに自分たちの攻撃を、フィニッシュを楽にするか、とにかくゴールに向かっている。
これがチーム全員、すさまじい集中の元で行われるため、パスミスもトラップミスも驚くほど少ない(というかほとんどない)。
アーセナルやバルセロナのようにアーティスティックに回される場面は少なく、派手さはないかもしれないが、確かな楔、展開、スルーパス、横パスやバックパスも含め、実効力高いボール回しという面では、ヨーロッパでも群を抜くレベルではないだろうか。

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勝利の凱歌としてアンフィールドに響き渡ったユルネバの美しさといったら。
ジェラード、アロンソはしっかり途中で休ませたし、トーレスが問題なく稼動できることもはっきりしたし、こりゃ週末、マンU止められるかもよ?
楽しみだ。
by blue-red-cherry | 2009-03-11 19:02 | サッカー(FC東京以外)
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