ブラジル×ペルー 2010 FIFAワールドカップ南アフリカ 南米予選

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2月の親善試合でイタリア、ポルトガルといった強豪に連勝して株を上げたブラジルだったが、先週末の南米予選ではエクアドル相手にドロー。
ドゥンガ解任論が再燃する中、ホームで行われたペルー戦をTBSチャンネルの生中継の録画で視聴。
スタンドの音を拾わない国家斉唱とか、音も絵もちょいちょい乱れる国際映像とか、さすが南米。
そしてラテンの美しいお姉さんを高確率で抜くのも、さすが南米。
全体としてはだれた試合も個々の煌めきで彩るあたり、さすが南米。

試合通じて驚かされたのがブラジルの守備意識の高さ。
トップで楔、飛び出し、ターゲット役を担ったルイス・ファビアーノもたびたび自陣まで戻って守備に参加したしたし、ロビーニョ、エラーノ、カカといったオフェンシブの選手たちもそんなに運動量多かったわけではないがきっちりコースを塞いだし、囲い込みには参加していた。
しばしば大胆な中央突破のオーバーラップで留守にすることがあったルシオ(自陣タッチラインを背負ってのシザースには感動した)と、ルイゾンの早々の怪我で急遽投入されたミランダが若干落ち着かなかったことを除けば最終ラインも安定していた。
前からの圧力と後ろでの慎重なディフェンス、両方とうまく連携し、自身の読みや奪取能力を遺憾なく発揮してたのが2枚のセントラルハーフ。
落ち着きが際立ったジウベウト・シルバ、初見だったが長身を生かした攻守にダイナミックな動きが目立ったフェリペ・メロ。
まずは現在南米予選最下位だというペルーとの実力差があったとはいえ、好調だったブラジルのパフォーマンスを攻守で支えたのがこの2人の活躍だ。
特にフェリペ・メロ。
ペルーはさすがに南米のチームらしく、弱いとはいえ基本的な足元の技術は低くない。
最終ラインでのパス回しなんかは安心して見てられるし、そこからサイドハーフ、セントラルハーフまではボールが入れられる。
しかしここから先が進めない。
ブラジルのディフェンスは4枚4枚で2段階のブロックを作る、今風の組織を敷きながら、ゾーンに入ればとにかく1対1。
ボールホルダーに対して必ず誰か1枚がチェックにいく。
ブラジルの強さを支える上でパスワークもあるが、ドリブル、シュート、攻撃面での1対1の強さはみな、思い浮かぶだろうが、守備の1対1も実に強い。
特段体躯に恵まれている選手がそろったわけではないが、勘所がいいのだろう、相手の懐に足を入れられる。
そこでボールを奪ってしまえばブラジリアンのテクニックがそのボールを渡さない。
フェリペ・メロのプレーはその形がたびたび見られ、チーム全体の運動量や切り替えがそこまで研ぎ澄まされた、という感じではないブラジルにとって、試合を優位に進めるポゼッションの起点を果たした。
相変わらずセンターバックの心許なさこそらしさを感じたが、キーパーのジュリオ・セザールの安定感含め、しっかり守れるブラジルの組織は意外な新鮮さがあった。
ドゥンガ、ちゃんとチーム作りしてるんじゃないかな。

ペルーはほとんど何もできなかった。
ブラジルは守備もよかったが、やはりそのボールコントロールを軸にしたポゼッションはまさに横綱相撲。
相手が自陣深くにべったり張り付き、10人のフィールドプレーヤーのほとんどを配置していたとしても、中で外で、仕掛ける。
狭いエリアでも一切焦ることなく繋ぎ、鮮やかでときにトリッキーながらも超絶に高い基礎技術でミスのないダイレクトプレーが、数的不利を打ち破る。
狭い局面をダイレクトやドリブルで突破する美しさもたまらないが、一方で狭い局面を正確なパスでしのぎ、一気に打開するサイドチェンジも実にうまく使えていた。
バルサ同様、ダニエウ・アウベスが高い位置取りをする右サイドはチームのストロングポイントで、カカやロビーニョが左サイドでひきつけてからのサイドチェンジがたびたびハマっていた。
ある意味バレバレだし、誰しもが思いつくことかもしれないけど、そういうサッカーのセオリー、勝つためのノウハウが代表メンバーみなに根付いていることこそが強い代表チームを作る秘訣なのだろう。
期間が短い代表チームでオリジナルの戦術、コンビネーションを構築するのは難しい。
しかしサッカーというゲームでいくつかある答えをチーム全員が共有し、試合中に正しい選択をすることができれば、戦術はピッチで生まれる。

攻守にブラジルのサッカーIQの高さ、技術の高さが目立った。
正直ペルーとの実力差は歴然だった。
途中出場を果たしたパト、ロナウジーニョに加え、不出場だったアドリアーノ、さらに登録外でマンUのアンデルソンにレアルのマルセロが控えている。
彼らの経験、知見がひとつのベクトルのもとピッチで発揮されれば、自ずと額面どおりの結果を得られるはずだ。
ドゥンガに託されたのはこの贅沢すぎる才能をひとつにまとめること。
その意味では統一された守備意識、個々の才能を活かそうとするイメージが共有された攻撃、この試合に限ってはできていたと思う。
攻守に局面で人数多くリスクを背負うスタイルはヨーロッパのそれを色濃く映し出し、メンバーが方々、世界最高峰で出稼ぎしているブラジル代表ならでは。

ところで南米予選ならばアルゼンチンが見たい、と思うのが大半の意見だと思うが、番組最後の今後の放送予定で愕然。
TBSチャンネルはなんと、ブラジルのホーム戦のみの権利を持っているようだ。
面白くなくはないんだけど…アルゼンチンの試合が見たいよ…。
6月、ヨーロッパのリーグ戦が終わり、ヨーロッパと南米、予選の趨勢次第ではフジチャンネル契約も考えるかなー。
by blue-red-cherry | 2009-04-04 01:26 | サッカー(FC東京以外)
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