リバプール×アーセナル イングランドプレミアリーグ08-09 第30週

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あまり余裕がなかったので見るつもりなかったんだが、朝、生で見た会社の先輩から「絶対見たほうがいい」といわれ、昨夜0時からの再放送で見たリバプール×アーセナル
なんとまあ、10日間の間に2度も4-4なんて試合を演じるリバプールっていうチームったら。
それも疲弊しきってやられたい放題、やりたい放題のぐっちゃぐちゃのゆっるゆるだったかといえばそんなことはなくって、ハイレベルなプレーと緊張感のある試合の末の4-4だからね。

どこがどうこうとか、細かいディテールもすごいんだけど、どちらも通じてミスが少ない。
たった数度のミスはすべて得点に繋がってしまっており、それ以外はミスがなく、流れが切れない。
両者ともにハイプレッシャーのもと、速いサッカーと細かい繋ぎを共存させながらゴールを目指し、攻守にすべてのプレーが連続性で繋がっている。
ダーティーなファウルは一切なく、激しさを消さない好レフェリングもあって、ホントに90分、流れが切れなかった。
個々の判断のよさと途切れない集中力も外せない。
余談だが、代表でもJでも、スローワーを頑なにSBに任せたがる選手が多いよね、日本って。
相手を出し抜くクイックリスタートもそうだけど、集中していれば選択肢はもっと多くていいはずだ。
ボールが飛び交うだけではなく、どの攻撃にもサポートがあったり、ただの蹴りあいじゃあここまでの充実感は生まれなかっただろう。

仕掛けの主導権を握ったのはリバプール。
マンUとのデッドヒートの中、勝ち点3を譲れない気概が気勢となってアーセナルを押し込む。
リバプールはジェラードがいなくても形は作れるんだよね。
バイタルのアイデアや迫力にややかげりが見え、トーレスの負担が増してしまうのは疑いようのない事実だが、ベナユン、カイト、リエラで構成する2列目は機動力でいえばジェラードを置いたときを上回り、動きの量で違った脅威となり得る。
アロンソやマスチェラーノの組み立てで、縦のトーレス、もしくはサイドに起点を作ってからの動きが速く、ド迫力。
楔のパスを合図にリエラ、ベナユン、カイトが一気にゴールに向かって動き出す。
トーレスと2列目で作る1次攻撃に続き、2次攻撃も一味違う。
先の4枚は切り替え早く、彼らがそのまま跳ね返されたボールを奪うこともあるし、セカンドボールに対応するセントラルの2人やサイドバックは、セカンドボールに対し、まず保持、という思考がない。
セカンドボールは50のボールというよりもはやマイボールに近い感じで扱われ、セカンドへのファーストタッチが前線へのフィードだったりすることがままある。
もちろんこれには攻めるほうも即座の反応が求められるんだけど、トーレスにしてもベナユンにしてもカイトにしても、こういうボールへの反応がきっちりできる。
準備ができてるんだよね。
オーガナイズされた2段攻撃というか、押し込んだときの迫力はハンパじゃない。

序盤は完全に押されてたアーセナルもギリギリのところで踏ん張りつつ、30分あたりから持ち直す。
シーズン中での成長が手に取るように見えるベントナーがエリア付近で効果的にポストをこなし、ナスリにセスク、アルシャビンと、ボールが回りだす。
ひとつ起点ができ、中盤の選手が前向きに扱えるようになるとこのチームは強い。
小気味よいショートパスの繰り返しと、効果的なサポートの組み合わせがゴールへの距離を詰めていく。
一進一退の激しく速い攻防の中でマスチェラーノが一瞬ボールコントロールに手間をかけたそのタイミングに、ナスリが猛然とチェイス、奪ったボールをエリア内に運び、オフサイギリギリのタイミング、足首の柔らかさが叶えた90度の、それも受け手に優しい絶妙な強さのパスでセスクがフリーで抜けてマイナスに折り返し、アルシャビンが天井にぶち込んだ。
鮮やかすぎる先制点。
スピードを伴ったレンジの広いパスで縦にワイドに押し込んだリバプール。
選手間の距離を近づけ、自ら作った狭い局面をお家芸のパスワークで打開するアーセナル。
両者の長所がぶつかり合った末にビューティフルゴールが待っている。
まったくストレスのない、ハッピーなゲームは後半、とんでもない展開でさらなる興奮を与えてくれた。

前半同様キックオフから圧力を高めるリバプールは、ワイドな展開からサーニャのクリアミスを逃さず、カイトの繰り返しのクロスから、マーカーから1メートルの距離を奪ったトーレスがヘッダーを叩き込んで同点。
トーレスは本当にすごい。
ジェラードがいないとこの前のチェルシー戦のように集中するディフェンスに潰されてしまうことが多いが、この日は耐えるところは耐え、いくところはいく、と自身のプレーにメリハリがあった。
カイトやベナユンにスペースを与えることに腐心した序盤でもヒールを使ったワンタッチプレーで置き去りにしたり、背中で背負いながら吹っ飛ばして振り向きざまに強烈ミドルを放ったりと、マーカーのトゥレを大いに苦しめていた。
ここ一番の決定力は頼りになる。

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さらに攻勢を強めるリバプールはシルベストルとファビアンスキーの処理が微妙に乱れた隙をベナユン、カイトが猛然と追い詰めて奪い、最後はカイトのクロスにベナユンが勇気ある飛び込みを見せて逆転のヘッダーを決める。
攻勢を結果に結びつけ、さらにゲームの流れを自分たちのものにする。
ゴールがゲームの流れを二転三転させる、サッカーの醍醐味が繰り返される。
ここでアーセナルもくじけない。
押されているのは明らかだが、リバプールの意識もアーセナルの意識も前がかりなのでわずかながらスペースが生まれ、セスクやナスリのタッチが増える。
クラッキーが「遅いよ」と呟いたウォルコットの投入もあり、がっぷりよつな勝負の様相になってきたところで今度はキャラガーからアルベロアへのパスがショートしたところをアルシャビンが掻っ攫い、そのまま猛烈なスピードでシュート回転するミドルがサイドネットに突き刺さる。
レイナが必死に伸ばした手から逃げるように曲がっていった弾道は、あまりにも美しい。
今度は追いついた勢いそのままにアーセナルが仕掛け、左サイドのクロスをキャラガーがクリアミス、足元で受けたアルシャビンが再び右足一閃、ハットトリックで勝ち越し!
ボールが落ちてくる嗅覚、隙を逃さない集中力もすばらしいが、その間にも3点目の場面では左サイドのクロスに繋がるサイドへの展開はアルシャビン、その人から始まったものだし、この活躍は勢い任せなんかじゃない。
プレミアの新たなスターがその歴史を刻んだ瞬間だった。
しかし負けるわけにいかないリバプールがすぐさま反撃する。
左サイド高い位置でボールを持ったリエラから高速の楔のパスが、エリアに入ったばかりのトーレスに渡る。
ピタっと足元に吸い付かせたトラップは、川勝&クラッキーも似たようなことを言っていたがその勢いとともに時間を止めるかのようなトラップで、エリア内にトーレスの「間」を作った。
後ろに前に、2、3人のマーカーのタイミングを外しながら、右足を振りぬいたグラウンダーがファビアンスキーの脇を抜けていく同点弾。
もうおなかいっぱいですよ。
この15分間とか、もう異常だわ。
最後のトーレスのゴールを除けばプレッシャー下で出たディフェンスのちょっとした隙がきっかけだったりするけど、あれもまた、そんなに簡単に決まらないよ。
ミスはミスだけど、そこを責めるよりはそこを見逃さなかったこと、そのあとのフィニッシュのすばらしさが上回る。

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それでもドラマはまだ終わらない。
失えばユナイテッドの背中を遠く離してしまう勝ち点3を求め、リバプールは攻勢を強める。
いよいよ気合がものをいう時間帯に、押し込むリバプールは何度もセットプレーのチャンスを得るが、ここもギブスがライン上でトーレスのヘディングシュートを跳ね返した場面を筆頭に、アーセナルが必死の守りを見せる。
そして幾度目かのコーナーをクリアしたボールがウォルコットの足元へ。
ウォルコットがディフェンスを引きつけながらドリブルで運ぶと、反対サイドを猛然と、必死で戻るディフェンスを追い越していくアルシャビンに絶妙のパスが通り、全力疾走の末に正確極まりない左足のシュートが決まってアーセナル勝ち越し、3-4!
この時点で90分!
追加タイム、負けられないリバプール、後押しするユルネバ。
レイナも上がるセットプレー。
奇跡は起きるのか?
起きたww
ゴールシーン以外でもキレキレ、もといユンユンだったベナユンが、エアポケットに落ちてきたボールを冷静に流し込んで同点!
10日間で2度目の4-4!
もー、イキかけましたよwww

最後のゴールとか、完全に理屈じゃ説明できない域の出来事だよね。
人数かけたり遮二無二攻めれば取れるっつうもんじゃない。
すべてのゴールは高い技術や集中力、判断力、チームとして個人として、サッカー選手としての叡智が詰まった傑作ばかり。
だがこの激しい打ち合いを実現したのは紛れもなく、勝ちたい、その一心だったと思う。
そこにこそプロの本質があることを、改めて教わった。
そんな彼らにとって勝ち点1を分け合うことは苦いものでしかない。
事実、今季のプレミアの覇権争いの灯はもう、消えてしまいそうだ。
しかしこの戦い、アンフィールドに刻まれた激闘は永くサッカーファンに語り継がれていくだろう。
アルシャビンの4ゴールも、リバプールの意地も。
単なる一試合の、勝ち点3を超えた価値があった。
先週のCLもそうだけど、保存版だわ。

サッカーってすばらしい…。
by blue-red-cherry | 2009-04-23 16:20 | サッカー(FC東京以外)
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