マンチェスター・ユナイテッド×アーセナル イングランドプレミアリーグ08-09 第34週

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優勝がかかった大一番、マンチェスター・ユナイテッド×アーセナル
この1ヶ月で3度目の対戦となる両者だが、スコアレスドローという結果も証明しているが最も拮抗した内容だったと思う。
しかし互いに見せ場は少なく、先のチャンピオンズリーグでの対戦で両者の間には大きな壁が出来てしまったかのようで、いや一生懸命やってたと思うしどっちも勝ちに来てたと思うけど、淡々と試合が行われた印象だ。

3トップの縦への勢い、それを後方から支える3センターのサポートで厚みのある攻撃を仕掛けるユナイテッド。
ユナイテッドに対抗すべく中盤を厚くし、ボールを動かしながらワイドにスライドするパス回しで打開を図るガナーズ。
どちらも持ち味は出せていた。
移籍問題に揺れるテベスが、騒動を吹き飛ばすかのようにいつもどおり精力的な動きを見せれば、呼応してロナウドやルーニーが連動し、キャリック、フレッチャーも続く。
ギグスの神出鬼没のポジショニングもアクセントとなり、序盤のユナイテッドの攻勢を前に得点は時間の問題かと思われた。
しかしCLでの対戦とひとつ大きく違ったのはガナーズのラインナップにアルシャビンが名を連ねたこと。
CLはレギュレーションにより出場できなかったが、リーグでの好調を支えたこのアタッカーがガナーズの中盤を分厚くした。
トップにファン・ペルシー、右にナスリ、左にアルシャビンを置き、センターにセスクとデニウソンとディアビの3枚が並ぶ形。
頭数のみならず、攻守のクオリティでもユナイテッドとタメ線張れるメンバーを並べ、早め強めのプレッシングと奪ってからのキープ、展開力でポゼッションの主導権はガナーズに移る。
やはりディアビの体躯の強さは中でこそ輝くし、縦に中にドリブルを活かせるサイドのほうがナスリの能力が発揮されやすい。
しかし左右、後ろからのフォローと分厚い中盤が6割近いポゼッションを保ち、両サイドからトライアングルを動かしながらのチャレンジ、サイドから何本もクロスを送るも、中がいない。
中盤を厚くした弊害か、ファン・ペルシーが常に張るものの、ボックスの中に入る人数が少ない。
無理をしないユナイテッドも中盤の争いで潰すのではなく、人数そろえてブロック作って、最後のところ、もしくはアタッキングサードへ入ってからの対処と、固めてるからバツが悪い。
いかに美しいパス回しで魅了しようと、フィニッシュへの道筋は一向に見えない。
ベストを尽くしながらも一歩届かないガナーズの攻撃をユナイテッドが跳ね返し、時折奪ったボールでテベスやロナウドが鋭いカウンターで脅かす、そんな展開がほぼ90分、続いた。

多分、互いのスタイルが大きく様変わりしない限り、しばらくユナイテッドとガナーズの試合はこうなるって感じなんだと思う。
ここにいくつかの強弱、選手起用だったりモチベーションだったりコンディションだったり、少しの差がつくことで試合ごとの表情が生まれる。
ホーム&アウェーの戦いで機先を制すべく臨んだCL第1戦のユナイテッドは中盤以降、もの凄い運動量で圧倒してきたし、1点リードして迎えたエミレーツでの第2戦は手堅い守備をベースに鋭いカウンターで思い通りに試合を進めた。
そして昨日の試合でも同じく、3連敗を避けたい、意地を見せたいガナーズを前に慎重な戦い方でその勢いを削ぎ、最後のところ勝利への執念は捨てない。
それぞれのモチベーション、それぞれの試合の意味に合わせて戦い方、メンバーを変えるユナイテッド。
ユナイテッドが強いのはそのときそのときの戦い方、メンバーでいくつものパターンを持っていること、それでいてどのパターンでも質を落とさない選手層を誇ること。
そしてそのチョイスを偉大なる監督、サー・アレックス・ファーガソンが誤らないことにある。
そりゃ長いシーズン、FAカップで敗退したり、リーグ連敗を喫した3月など、うまくいかない試合もあったが、過密日程を乗り切り、タイプの異なる強豪をそれにあった戦い方で退けてきた、この戦い方はユナイテッドにしかできない。
ベルバトフを軸にワイドに縦に、能動的に穴を作ってはこじ開けていくスタイル。
テベスを頂点にパク、ルーニーと攻守にハードワークを続けて押し込める形もあれば、ロナウドやギグスのファンタジー溢れるアタックをキャリックやフレッチャーの運動量が支える形もある。
このカードをわずかなスパンで続けてみて、どうにかして勝利を、ともがくガナーズを前に、そのときどきのやり方でいなすユナイテッドを見ていると、戦術、選手層、コンディション、少しずつの差は掛け算で広がっていて、そう簡単には埋まりそうもない、と思わされた。

この試合、ガナーズのポゼッションが優れており、劣勢を強いられたユナイテッドだが、前にベルバトフを置いて基点を作れば相手のラインを広げられただろうし、自らの攻撃機会も増やせただろう。
その効果はある程度期待できただけに、あえてその手段を選ばなかった、そんな気がしてならない。
残留か移籍か、出場機会を求めて揺れるテベスをあっさり70分前に下げ、代わりに送り込んだのはパク・チソン。
ロナウドのトップは、この日はソングとトゥレのハードマークの前に効果的ではなく、パクも持ち味を発揮できなかった。
この交代策は難しい判断だったと思うが、この試合に限っては有効だったとは思えない。
だがあの場面でテベスに代えてベルバトフだったら、それは違った意味をもってしまったかもしれない。
スター軍団を、誰ひとりサボることのない組織にまとめ、理想的なローテーションを築き上げたファーギー。
この見事な優勝の代償として、アルゼンチン発のダイナモ・ストライカーがチームを去ってしまうのか。
名将の仕事はリーグ、カップ戦を終えてもまだ、終わらない。
選手同士の激しい競争があり、それを束ねる指揮官のプレッシャーたるや想像を絶する。
こういう厳しい環境を良い循環にできたクラブだからこそ、この結果に繋がってるんだろうなあ。
ユナイテッドの強さを思うに、組織としての強さを改めて、思い知った。
優勝おめでとうございます。
by blue-red-cherry | 2009-05-17 23:55 | サッカー(FC東京以外)
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