BLACKOUT! 2

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10年ぶりですか。
ウータンとデフスクワッドの4番バッター同士が組んだメソッドマン&レッドマンのスペシャルユニット、10年ぶりのアルバム「BLACKOUT! 2」
それぞれクルーに根ざした活動はあるものの、この10年、この2人で動く機会が多かったから、10年も経ってたとは思いもしなかった。
その間、前作「BLACKOUT」をよく聴いてたってのもあるんだろうな。
懐かしい。
新宿リキッドでの今は亡きDefJam Japanのローンチパーティー。
懐かしい。
おバカ炸裂のモクモクエンターテインメントムービー、「How high」。
メス・レッドはいつもオレたちの心の中にいます。
そりゃ久しぶりな感じもしないわな。

それでも今、「BLACKOUT」を思い出すと隔世の感があるね。
そのまま曲タイが「Da Rockwilder」なんてのもあったくらい、ロックワイルダー全盛時代。
バッキバキのデジタルサウンドとデフスクワッドファンクのケミストリーの太さといったらなかった。
あの人は今、なんて思ってたら参加してるじゃん、ロックワイルダー!
こういうフックアップの仕方、好きだなー。
愛だよ、愛。
タイトルどおりの「Hey Zulu」という掛け声をループした「Hey Zulu」はハンドクラップに尖ったキックというシンプルなループに、エレクトロ風味のフックで煽るミニマムな作り。
もう1曲の「A Lil' Bit」は、音圧がハンパじゃないベースの引っ張り方にらしさを感じるが、残念ながらどっちも凡庸、かな。
悪くはないんだけど、ほかの曲が良くできてるもんで、辛口になる。
例えばロックワイルダー風のデジタルサウンドで言えば、キース・マリィを迎えた「Errbody Scream」でしょ。
ユニゾンするフックは遅めに抑えたダウンビート、そこから「Everybody Scream!」の号砲とともにそれぞれのヴァースは一気にテンポアップ!
遅→速→遅→速、メンフィス・ブリークの「Do My」とかその辺に通ずる全盛期のバキバキデジタルビートにテンション上がる。
キース・マリィのラップは相変わらずキレがあるわ。
メスレッド+αのマイクリレーは軸がしっかりしてるからどれも面白くって、ギターにドラムス、いなたいファンクサウンドが行進するようにバタバタと鳴る「How Bout Dat」なんかにぎやかで楽しい。
レッドマンはレディー・ロック、メスはストリートライフと、それぞれお抱えの愛弟子を従えてて、このユニットはよくあるんだけど、先輩・同僚(エリックとか、ウー一軍の誰かとか)とやるときより肩の力が抜けてて良かったりする。
これまたご無沙汰な感のあるビンクによる、男のワンループ、BPM速めな攻めのファンクナンバー、「Four Minutes To Lock Down」にはレイクォンとゴーストフェイスが参加。
この4人の組み合わせもお馴染みだし、ラップ巧者で個性派が凌ぎを削るマイクリレーが悪くなるわけがない。


出色なのはやっぱり、先行で話題をさらった「A-Yo」
ピートロックの温かみのあるソウルフルなトラックに、遊びのあるラップを交互に聴かせてくれるメスレッド。
これだけで涙モノなのに、ソクラティーズのフックがまた、泣きの節なんだよなあ。
エーヨ、エーヨエーヨ(って関西弁で許されてる感じがいいのかも)。


UGKのバンBのチャブロックばりの低音ヴォイスがいいアクセントになってる「City Lights」もいいねえ。
2人とも恵まれた声質が唯一無二のラップを支えていると思うけど、メスもレッドマンも基本はベーシックなライミング。
だから速いのも遅いのも余裕で乗りこなすんだよね。
で、なんとなくヒット曲にはミッドテンポ、もしくは速めのが多いけど、こういうどっぷり重めのサウスっぽいトラックにも絶対ハマると思ってた。
レッドマンの抜けの良い高音、メスのハスキーなフリーキーフロウ、どちらも音圧にかすまない存在感があるし。
激重なオープニングナンバー、「I'm Dope Nigga」でもそこら辺は証明されている。

ファンク番長、エリック・サーモンのスムースな「Mrs International」はさすがの安定感。
レッドマンのアルバムでいう「Superman Lover」シリーズにあたるしっとり系で、いい箸休め。
この仕上がりを聴くと、ウーチームからもRZAに1曲、作って欲しかったなあ、と思わざるを得ない。
っと思ったら「Mrs International」はバックワイルドビーツなのね。

欲を言えばキリがないが、深いこと考えずとも楽しめる、らしいアルバム。
2人のラップを聴けばにやける、やってる彼らが楽しんでるのが伝わってくる。
引き出しの多さは変わらないし、待ってましたな音と相俟って、正直真新しさはない。
でもこのコンビにそんなの必要ないよね。
いつまでも、歳相応なんかにならずに、らしくあってほしい。
by blue-red-cherry | 2009-05-22 12:08 | 音楽
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