![]() 随分前にミクリスへの偏愛ぶりを表明し、DA BONGZのアルバムを誰よりも待っていたりと、オレは大の44、40周辺好きです。 フッドこそ千葉、茨城かもしれないけど、鳴りを優先させた個性的なMC、柄の悪さにイケイケなビート、雷、ペイジャーからニトロへ受け継がれた宇田川系のノリは彼らに受け継がれていると、個人的には思ってる。 それでこの夏、待たしても待ち焦がれた44発のフッドスター、KGE THE SHADOWMENの待望過ぎるフルアルバム、「NEWGIGANTE」がこれまた待望のリリース。 44BLOX周辺の客演仕事、大所帯ゆえに必然的にマイクリレーに参加することも多かったKGE。 そこで目立ったのがなんといっても変幻自在なフロウアーとしての魅力。 ライミングのパターンは前のめりなほど前にかちっと合わせてきたり、黒人ばりにどっしり裏の拍でリズム作ってきたり、幅広い。 言葉の崩し方もオリジナルで、特に語中、語尾、伸ばして抑揚をつけるスタイル(グッドイーブニーング!とか)が、挑発的で言い放ち気味のリリックとマッチしてカッコよくハマってる。 声張ってるし、張り付くし、存在感強め、濃いめのスタイルはフルアルバムという尺だと、ともすれば飽きるんじゃないかという心配もあったが、バラエティに富んだトラックに合わせるようにそのスタイルも変化に富んでいて、杞憂に終わった。 遅い曲、速い曲、サンプリング、打ち込み、それぞれにあった引き出し、というよりは瞬発力を聴かせてくれる。 先行でリークされた「STILL STREET」は、一歩一歩踏みしめるというよりは何かを踏み潰すかのように重く、ずっしりと刻むドラムスに不穏な声ネタとストリングス。 時代が時代ならホラーコアの部類に入りそうな重めのトラックに、声高に自身のルーツ、志向をスピットしまくる名刺代わりのセルフボーストモノ。 隙間が多いトラックだけに、決まったリズムを刻むのはフックくらいで、あとは縦横斜め、伸び伸びフロウが跳ねては波を打つ。 シャドウマンの面目躍如、現役バリバリのストリート感ぷんぷんで、これはほかの曲にも通ずるんだけど、ちょっと怖いくらいの物言いにリアリティがあっていい。 こういうど真ん中ストリート、みたいな曲がKGE“っぽい”んだろうけど、流麗なピアノが疾走する1曲目「Stay Stoned」のようなサンプリングトラックにもまた、映える。 独自にヴァース、フックと奏でるピアノの展開を無視して、RINOの如く「サビなし」で好き放題にラップするKGEとトラックの絡みは、フリージャズのテイスト。 続く2曲目の「NEW GIGANTE」もBPM早め、細かく刻むホーンがどこかファニーな雰囲気を醸し出す。 早めのトラックに特段早口で対応するわけでもなく、それでもブレスレスで長いフレーズを吐くラップは、遅めのトラックに裏でまくし立てるスタイルとはまた違った味わいがある。 そういえば「Night Madness」も、タイトルまんまの夜なムードを演出するジャジーサウンド。 Amebreakのインタビューではこの辺の90’sなトラックを選んだことを自身のルーツに拠るものとしていたけど、もっとバキバキな打ち込み系でくるかと思ってたので、同じくインタビューで本人が語っている通り、いい意味で裏切られた。 この曲の出だしなんかに顕著だけど、「夏がそろそろ終わるとひとたび 次の準備に追われる人たち」って、字面にするときっちりライミングしてるっぽいんだけど、トピックも相俟って、語り口調は普通に喋っているような、スポークンワードっぽく聴こえるときがたまにある。 型にハマらない符割りはやっぱり、唯一無二じゃないかな。 マーズマニーにJBM、44BLOXの盟友と勇ましくマイクを回す「Soldier's Soundz」はアンセム。 最近こういう、たぎる系の曲聴かなかったから、テンション上がる。 いなたいドラムの行進と、デジってるウワモノのミスマッチが初期ラフライダーズっぽくってカッコいい。 44の流れでいくとエッセンシャルのSmith-C.Nを迎えた「Just Wanna Chill」。 気持ちいいトラックの上で歌う内容は、おなじみのHIGH LIFE。 もう、ホント好きなんだね、みなさん。 チープでメロウなビートに、「I Don’t Wanna Ill, Just Wanna Chill」と歌うわけだけど、尖ったKGEと、くねくねのSmith-C.N、個性出まくりの2人の対比も面白い。 BULLDAWGSとしての活動を共にするB.D the brobusとミクリス、3MCでヘヴィ級のダウンビートを乗りこなす「Fagget」はフェイバリット。 先頭バッターのB.Dの、ビートに負けない重量感のあるスローなラップが激シブなんだけど、三者三様、一曲の中で繰り広げられる3MCのスタイルウォーズがスリリングでいい。 尖った声質、フロウ、挑発的な佇まい。 バトルMCとしても名を馳せる攻撃的な雰囲気が全体的に漂っている。 不良性、全開。 その中身は単なるセルフボースト、マニー・キャッシュ・ホーに留まらず、メタファーを多用しながら社会を風刺してみたり、幅は狭くない。 客演やライブで見せてきた、こちとらファンが期待していた魅力は存分に詰め込まれている。 活躍しているほとんどの人に言えることだけど、10年戦士は伊達じゃない。 一方で、この作品内でも多彩な顔を見せているように、まだまだ化学反応は起こりそう。 44勢の枠を超えた展開にも期待したい。
by blue-red-cherry
| 2009-08-11 15:09
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