間もなくCLも始まってしまうので、残り一本だけ、溜まった録画からどれか見ようと選んできたのは、ちょうど一週間前に行われたW杯欧州予選のイタリア×ブルガリア。 ブルガリアのスタメンにストヤノフがいて、ストヤノフとベルバトフが同じチームでサッカーやってるのを見るだけで楽しみだったので。 コンフェデではさっぱりだったイタリアだが、かなりよくなってた。 固定された4-4-2がしっかり機能していた。 何よりセンターラインのコンビネーションがいい。 そもそもこのチームはユーべがベースになってて、スタメンで実に7人も出ているのでコンビネーションは問題なさそうなものなんだが、まずそのユーべコンビ、カンナバーロとキエッリーニのセンターが固い。 ベルバトフは例によって中盤にサイドに、流れたかと思ったら、エリアできっちり仕事してっと神出鬼没だったが、基本泳がせても深追いせず、手堅く自身のエリアを守る形。 互いに前へ出てもカバーリングにしても、どちらもこなせるタイプだし、互いに通じ合ってバランスを取っていた。 その前の4枚ではアンカーのデロッシと、トップ下のピルロの関係が良好だ。 共に非ユーべ人脈でありながら、このチームの中盤の心臓を2人で担っている。 ベースのフォーメーションはダイヤモンド、この2人が縦に並び、右はカモラネージ、左はマルキージオが担当。 両サイドは地味ながらも上下動激しくこなせ、攻守ともにいぶし銀の仕事ができる職人タイプ。 彼らがバランスを取るし、また、ミランではアンカーをこなすピルロ自身も攻守で働けるタイプなので、4-3-1-2にも、中盤フラットのイングランド式4-4-2にもなりうる。 ただ、ピルロはトップ下の位置で技術、アイデアともに最大限に発揮できており、仮に手詰まりになってもデロッシと入れ替わることができるし、基本ピルロ前が面白いかも。 何より2トップが最高のパフォーマンスを見せていた。 イアクインタとジラルディーノは、いまどき珍しく、ともにオールラウンダーのストライカーといった感じで、どちらもポストをこなし、どちらもクロスに入り、さらには2人で崩せる技術も持つ。 ベルバトフを例に出すまでもなく、最近のフォワードは、どちらかが前線、どちらかは組み立てに回るなど、コンビのキャラクターでアクセントをつけている組み合わせをよく目にするが、この2人はどちらとも古典的なフォワードタイプで、イタリアは中盤やサイドバックで組み立て、2トップにはあくまでポストとフィニッシュの役割を担う、そんな戦い方が徹底されていた。 この中央の軸がしっかりしていて、攻守にブルガリアを寄せ付けない。 また、上にも書いたが、中で溜めが作れ、フィニッシュができる相関して、サイドも充実している。 カモラネージとマルキージオが気の利いた動きをしているので、グロッソとザンブロッタも比較的高い位置取りを長い時間続けられていた。 先制点はブルガリア陣内高い位置で何度も仕掛けていたグロッソが、エリアを前にしてややマイナス気味に中のピルロに戻し、ピルロはダイレクトで高く浮かしてエリア左前方へ、駆け込んだグロッソがこれをインサイドボレーで丁寧に合わせて、長めのワンツーを見事に決めたもの。 さらに40分の追加点もグロッソが絡んだものだが、これが見事な崩しだった。 ハーフライン付近でマルキージオとパス交換したグロッソが速いグラウンダーを前線に送るとこれをイアクインタがスルー、その先に張っていたジラルディーノがポストになり、スルーしてジラルディーノと並んだイアクインタへワンタッチ、さらにイアクインタもダイレクトでリターンすると、エリアへ侵入したイアクインタへまたもジラルディーノがダイレクトで落とす。 締めのシュートもダイレクトできっちり流し込むという、なんともスムースな崩し。 これほど完璧に決まる場面はそうそうないが、それでも2トップの踏ん張りを軸に、ピルロが絡んで、中盤ほかの3枚、さらにはサイドバックが加わる形で、イタリアは割りとショートパスを繋いでの崩しを多くの場面で志向した。 センターラインがしっかりしているから叶う戦法だが、これが実にハマっていて、イタリアを魅力的なチームに映らせていた。 もちろんピルロもデロッシも中長距離の大きな展開もできるし、攻撃の幅は広がりつつある。 ベンチにはコンフェデで活躍したジュゼッペ・ロッシも控え、予選後にはユーべでイアクインタとコンビを組むアマウリが加わるかもしれない。 コンフェデでは軽い失望を覚えたイタリアだったが、カンナバーロが戻って最終ラインが安定したり、ここにきてグンとよくなってきた印象。 ブルガリアは良くも悪くもベルバトフ。 シルキーなタッチや、掴みづらい動き、独特のリズムは健在だったんだけど、いかんせん周りと合わないし、合わせようとしない。 唯一良かったとすれば、イタリアディフェンスも相当彼にはきつくいってたので、逆にほかの選手が空く形が数回、見られた。 もう少しチーム全体で彼の使い方、それこそ囮にする部分も含めて、練られれば違った結果になったかもしれない。 守備に追われる時間が長く、2トップの圧力にラインはあまり上げられなかったし、逆に相手のラインもあまり上げてこず、全体が間延びさせられて、チーム全体の距離感が開きすぎていた。 ベルバトフだけでなく、全体的にサポートが少なかった。 後半、イタリアが多少緩んでからはブルガリアが攻める時間も出来、いくつかミドルレンジから惜しいシュートも放ったし、もう少しチームとしてのまとまりがあれば、というところか。 ベルバトフに代表されるように、ブルガリアの選手は足元が実に巧。 中盤以前はみな、自身を持ってコントロール、トライするし、最終ラインのストヤノフだってご存知のとおりだ。 そのストヤノフは、広島のときと変わらぬ落ち着きあるプレーぶりを見せてくれた。 特に前線を広くうかがいながら相手フォワードをかわしてビルドアップ、長いボールもいくつかピンポイントで合わせており、らしさは感じられた。 さすがに広島のときほど前へは出て行かないが、イアクインタとジラルディーノという楽ではないフォワード相手に振り切られることなく、体を張っていた。 彼のように、他国の、それもヨーロッパで活躍する現役代表選手がJリーグでプレーしている、というのは改めてすごいことだし、ワクワクする。 もっとこういう選手がいっぱいプレーするようなリーグになるといいんだけど。 それでいくと、ブルガリアがこの敗戦でW杯出場を逃したのは、至極残念。 ストヤンも見られたし、期待してなかったイタリアの良いプレーも見られたし、良かった良かった。
by blue-red-cherry
| 2009-09-15 23:38
| サッカー(FC東京以外)
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