Number

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「Number」最新号は南米サッカー特集。
明るいラテンのムードとは裏腹に、表紙のマラドーナのアンニュイな表情、「サッカー大国の宿命」という見出しが暗示しているように、多くの記事がどこか物悲しげな内容だった。

前任のバシーレ監督が招いたアルゼンチン代表の苦境(それでも今ほどではない)に、“神”として国民に崇められる存在ゆえか、手を挙げざるを得なかったマラドーナ。
その無垢な思いは、その思いがまっすぐだからこそ迷走の末に深みにハマり、その様は彼が現役時代に神として呼び起こしてきた様々な奇跡の軌跡があるからこそ。
記事を読む限り、協会関係の良からぬ思惑も見え隠れしているようで、その存在の偉大さゆえに誰からも進言されることのない、崇高な孤独。
しかし今のアルゼンチン代表の苦境は、この新米監督が招いた事態であることも間違いではない。
アンタッチャブルな存在であったマラドーナの神話は、彼の監督キャリアの失敗による権威の失墜で終焉を迎える…そんな結末は誰も望んでいないはず。
なんとか予選突破、ここだけは死守してほしい。
万が一敗退するようなことがあれば、それはある種、サッカー界を揺るがす事件になるだろう。

アルゼンチンの挑戦は、そんなマラドーナの話と切っても切れない内容なので、どれもが物悲しく思えてしまう。
現在、マラドーナの後継者として名が挙がるメッシ、アグエロ、テベスの3者を綴った記事も、彼らやその前に後継者と呼ばれた者たちの苦労、プレッシャーを語る。
だが、今こうして3名のスターがそろい踏みすることで、一人のスーパースターに頼らないアルゼンチン代表象が作られれば、それはひとつ、脱マラドーナ神話へのポジティブな一歩になるのではないか。
幸いなことに、テベスを兄貴分として、この3者の関係は良好な様子だ。
後継者と呼ばれるプレッシャーに晒される苦労も背負いながら、神様マラドーナを救えるのは神の子たちだけ、というのもまた皮肉なものだ。

ブラジル特集はドゥンガのインタビューに始まり、「ジーコがブラジル代表監督になれない理由」という特集。
この特集がどうにも歯がゆい。
ソクラテスやライー、ザガロといったブラジル代表の歴史に名を連ねる大御所がブラジル代表とは?を語り、ジーコのその件について答えるんだが、明確な答えはまったく聞き出せない上、結論らしい結論がないまま締められてしまう。
どうやら現協会会長との不仲とか、いろいろあるみたいだけど、これだけ銘打っておきながら、インタビューの引き出しも、素材の活かし方も中途半端な特集だった。
アドリアーノ、ロナウドのインタビューではどちらも代表への強い意欲が語られていた。
齢32にして母国で復活を遂げたロナウドの復帰…ないと思います…。

マラカナンでの狂言事件を題材にしたチリ代表のルポは渾身。
上記のきっかけを軸にしながら、ここ数年来躍進の兆しを見せるチリを鋭く描いている。
しかしこれもまた、ひとつの悲劇を元にしているがゆえの哀しさがつきまとう。
サッカー特集ではないが、ナンバーノンフィクションはプロレスラー・蝶野正洋のストーリー。
プロレスファンならばなじみのヒストリーかもしれないが、浮き沈みと常に影の漂うスターの物語がこれまた、物悲しい。

秋の訪れとリンクして、なんとも寂しい気分を感じる号だった。
by blue-red-cherry | 2009-09-22 23:38 | テレビ
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