チェルシー×トッテナム・ホットスパー イングランドプレミアリーグ09-10 第6節

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せっかく見たので、律儀に先週のプレミアでどうしても見たかったカード、チェルシー×トッテナム・ホットスパーを回顧する。
通算140回目のロンドンダービーは、互いに持ち味を見せ合う時間帯もあったが、チェルシーがその実力を見せつける格好となった。
この安定した強さはちょっと抜けてるかな?
スパーズはユナイテッド、チェルシーとビッグ4相手に連敗。
好スタートを切った今季だったが、怪我人も続出でちょっと暗雲立ち込めてきたってところか。

スパーズはキーンを下がらせたり、クラニチャルを慣らしたり、苦心していたモドリッチの穴埋め対策として、この試合では思い切った布陣変更を実行。
デフォー、キーン、レノンで3トップを組み、中盤にはパラシオス、ハドルストーン、ジーナスという3枚のセントラルハーフを並べてきた。
序盤はこれが奏効する。
3トップなら右ウイングとして躍動するレノンを想像したくなるが、レノンは右に固定されず、キーンやデフォーとめまぐるしくポジションを変え、この流動的な相手フォワードをチェルシー守備陣が掴みきれない。
さらに3枚並べたセントラルハーフも効果が大きかった。
モドリッチを欠き、組み立ての部分で溜めが作れずに無為な速攻で逸機を繰り返したユナイテッド戦とは比べ物にならないほど安定したポゼッションと、そこからの展開を見せた。
パラシオスもハドルストーンもジーナスも、3者ともに足元、キックともに高い技術を持っており、動き回る前線をうまく使い、さらには空いたスペースに飛び出していく場面も見られた。
10分から15分あたりの畳み掛ける猛攻は見事で、あの時間帯でゴールが生まれていればもう少し、対等に戦えたかもしれない。

というのも、このスパーズの布陣変更にチェルシーが慣れてしまうと、そこからはほぼワンサイドゲームになってしまったのだ。
テリーとカルバーリョのところで踏ん張りつつ、エッシェンが中盤で存在感を発揮し出すと、スピードゲームを仕掛けていたスパーズの勢いがまず、弱まる。
ゲーム全体が徐々に落ち着きだすと、サイドなら必ずボシングワ、アシュリー・コールがフォロー、中央ではエッシェンが底に構える中、バラックにランパード、マルダと次々に飛び出すチェルシーの厚みのあるアタックがスパーズを押し下げ出す。
キングとバソングがドログバとアネルカをそれぞれ、密着マークでよく抑えてたんだけど、チェルシーはその2トップがたとえCBを嫌がって外に逃げても、ちゃんと中に人が入ってくるようになってるんだよな。
その典型的な形が32分の先制点。
右サイドに避難していたドログバがキーパーとディフェンダーの間に矢のような高速の低空クロスを通すと、スパーズの最終ラインの背後から狙っていたアシュリー・コールが裏から飛び込むダイビングヘッドを突き刺した。
センターフォワードのドログバが放った絶品クロスに、左サイドバックがフォワード顔負けのダイビングヘッドで合わせる。
攻守両輪が常に回り、総合力に優れるチェルシーを象徴するようなゴールだった。

相手の奇策にも慣れ、流れを落ち着けたところで、といういい時間帯の先制点でチェルシーは余裕の試合運び。
基本、受けて立っているように見えるんだが、それは攻守の切り替えが異様に速いからなんじゃないかと、最近思う。
攻めに人数はかけてるんだけど、もちろんそのままオフェンス陣が延長上で守備するってのもあるが、リトリートするのが速い速い。
構えたチェルシーを崩すのは至難の業だ。
特に最終ラインの前に君臨するエッシェンの存在感が抜群。
ポジショニングや読みも優れてるし、寄せは速くボディコンタクトは無双。
相手がエッシェンのいるところを避けたくなるのはある種必然であり、その分、バイタルでの勝負ができなくなってしまう。
しかし勇気を持って飛び込んでいっても、幾度となくエッシェンが立ちふさがり、エッシェン一人にして、スパーズの3枚のセントラルハーフ以上の存在感があった。
奪ってからの無理がなく、迷いのない展開もリズムを生んでいたし、この日のエッシェンはチェルシーの心臓だった。

後半はチェルシーの一方的なゲームになってしまったが、アクシデント続きのスパーズはツキもなかった。
48分にはドログバの抜け出しに反応しようとしたキングが、膝を故障し交代。
ドログバはキングのマークを相当嫌がっていたし、実際キングがアウト、マーカーがチョルルカになると途端に中央で躍動し始めた。
スピードもキレも抜群のドログバは、アネルカとともに献身的な守備でも貢献し、スパーズに反撃のムードを作らせない。
58分、中盤に下がったアネルカがスパーズのマーカーの受け渡しが中途半端なところをフリーで右サイド深くに壁パスを使って飛び出し、リターンを受けてセンタリング、ドログバがファーでマーカーを抑えながら胸トラ→ボレーを枠に飛ばすと、クディチーニが好セーブを見せるも弾いたところに鋭く反応したランパードが折り返し、バラックが詰めてリードは2点に。
ドログバのフォワード然としたシュートも素晴らしかったが、アネルカへのマーク、こぼれ球への反応、少しずつではあるがこういう細かいディテールの部分でチェルシーのほうが頑張れている時点で、ビッグ4の牙城はまだまだ高いといわざるを得ない。
押し込まれ、全体が下がったことでレノン、デフォーを走らせたカウンターもサポートがなく孤立。
それに対するカウンターを放つチェルシーは、前に当てれば必ず後ろが飛び出す形は後半も変わらず、間延びした打ち合いですら両者の差は歴然。
反攻したいスパーズが前がかったところ、63分、アシュリー・コールの一本のパスでドログバが抜け出し、最後はもつれながらもキーパーまでかわしてトドメの3点目。
ドログバ個人のキレは圧倒的だし、一方で攻守に常に全体が関与している、チェルシーのチームとしての総合力がやっぱりすごい。
前半のところで書いた相手攻勢時のリトリートもそうだが、逆にカウンターとなれば一気に人数かけて全体で押し上げてくる。
ゆえに一面では守備的なチームになりうるし、一面では攻撃的なチームになりうる。
恐ろしく、バランスのとれたチームで、穴が見当たらない。
強い。

このあと35分過ぎにはアネルカとの競り合いでもつれたバソングがピッチに頭部を強打する衝撃的なシーンがあり、スパーズはキングに続きバソングまで下げざるを得ない状況に。
ウッドゲイト、ドーソンもいまだ稼動できていない中、本当についてない。
しかしモドリッチ不在の対応については、今回取り組んだ4-3-3はユナイテッド戦の、ただモドリッチのところに違う選手をあてがうよりははるかに可能性を感じた。
今季どうにもブレーキになりがちなキーンのところを代えるなり、急場しのぎにしては可能性を感じさせただけに、調整すれば面白いと思う。
序盤はチェルシーを脅かし、慣れられてからの対応のまずさなど、不運を差し引いてもまだまだチェルシーには及ばないところが多い。
ユナイテッドの前に沈んだシティ同様、彼らが頑張ってくれないとプレミアが面白くならない。
序盤に厳しい連戦だったが、ここで感じた差を中盤戦、後半戦に活かしていってほしい。

チェルシーも40分にドログバが自らのシュートで負傷するというアクシデントがあった。
抜群にキレていただけに、心配。
無事是名馬とは言うけれど、プレミアの激しいサッカーの中で、傷つかないほうが難しい。
この試合の主審だったハワード・ウェブさんなんかはプレミアを象徴する、「とらない」審判。
確かにおかげでハードでスピーディー、見応えのある試合が見られているんだけど、こう負傷者が続出すると(悪質なファウルとは無縁のものだったが)心配も募る。
Jでも代表戦でもなんでもそうだけど、やっぱり選手の怪我はつらい。

大怪我をする選手が少しでも減ることを、心から祈って、観戦記を締める。
by blue-red-cherry | 2009-09-27 13:43 | サッカー(FC東京以外)
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