バレンシア×ジェノア UEFAヨーロッパリーグ 09-10 グループリーグ

バレンシア×ジェノア UEFAヨーロッパリーグ 09-10 グループリーグ_c0025217_2093723.jpgバレンシア×ジェノア UEFAヨーロッパリーグ 09-10 グループリーグ_c0025217_209424.jpg
バレンシア×ジェノア UEFAヨーロッパリーグ 09-10 グループリーグ_c0025217_2095675.jpgバレンシア×ジェノア UEFAヨーロッパリーグ 09-10 グループリーグ_c0025217_2010256.jpg
バレンシア×ジェノア UEFAヨーロッパリーグ 09-10 グループリーグ_c0025217_20101420.jpgバレンシア×ジェノア UEFAヨーロッパリーグ 09-10 グループリーグ_c0025217_20102146.jpg
バレンシア×ジェノア UEFAヨーロッパリーグ 09-10 グループリーグ_c0025217_20103011.jpgバレンシア×ジェノア UEFAヨーロッパリーグ 09-10 グループリーグ_c0025217_20103648.jpg
バレンシア×ジェノア UEFAヨーロッパリーグ 09-10 グループリーグ_c0025217_20104578.jpgバレンシア×ジェノア UEFAヨーロッパリーグ 09-10 グループリーグ_c0025217_20105160.jpg
バレンシア×ジェノア UEFAヨーロッパリーグ 09-10 グループリーグ_c0025217_20105918.jpgバレンシア×ジェノア UEFAヨーロッパリーグ 09-10 グループリーグ_c0025217_2011559.jpg
バレンシア×ジェノア UEFAヨーロッパリーグ 09-10 グループリーグ_c0025217_20111499.jpgバレンシア×ジェノア UEFAヨーロッパリーグ 09-10 グループリーグ_c0025217_20112021.jpg

旧UEFAカップ、UEFAヨーロッパリーグ初観戦となった第2節、バレンシア×ジェノアを見た。
ビジャ、シルバに巨額のオファーが舞い込む中、残留に成功したバレンシアと、昨季躍進を遂げながらもディエゴ・ミリート、モッタと主軸を放出することになったジェノア。
オフシーズンの動きは対照的だが、どちらも高い評価を得ていて、興味深く見させてもらった。

前半から両チームとも、それぞれスペインとイタリア、両国の伝統的なスタイルがぶつかるような格好に。

バレンシアはビジャを温存しながらも、トップ下のシルバ、右にパブロ・エルナンデス、左にファン・マタ、この3枚がめまぐるしくポジションを変え、ターゲットマンのジキッチの周りを動き回る。
その前線の激しい動きを的確にコントロールしたのが、センターハーフのバネガ。
確かトヨタカップにボカの一員として来日していたはずだが、このバネガが本当に素晴らしい選手。
センターでコンビを組んだアルベルダが守備の部分を多く受け持つ形だったが、バネガも守備は充分こなせる。
アルゼンチン人特有の闘志を剥き出しにした寄せと、裏腹にサッカーセンスを感じさせる読みの鋭さ、体の入れ方の巧みさで守備でもしっかり貢献。
しかしなんといってもその正確無比なパスと、急所を突く展開力、ときには自身で打開するテクニックと懐の深いキープ力、センターで見せつけた攻撃力はバレンシアのリズムを司った。
インサイドで力強く、地を這うグラウンダーのスピードと正確さは絶品で、例えばそれの最高峰のひとつであるリバプールのビルドアップなんかに混ざってもまったく見劣りしないだろう。
小柄ながらも体の使い方が非常にうまく、2、3人引き付けてはかわしてからの展開で、シルバやマタをフリーで使うことができる。
展開を読む力にも長けており、中央で作ってサイドを使う、このバランス感覚がジェノアの強固な守備陣を揺さぶった。
中盤で激しくぶつかり合った立ち上がりをやり過ごしたバレンシアは、このバネガが存在感を強めるにつれてゲームを支配。
シルバ、マタ、パブロ・エルナンデスらのテクニック、オフェンス感覚に疑いの余地はなく、中央でサイドで幾度となくチャンスを作る。
エリアで構えるジキッチも、2メートルを超える高身長でターゲットとしてジェノアにプレッシャーを与えたが、何本も上がるクロスに対し、もう1枚、が足りない状態が続き、前半は完全にゲームを支配しながら無得点に終わる。

こういう展開を好むのがイタリアのチーム。
ジェノアはイタリアにしては珍しい3-4-3の布陣で、攻撃サッカーで昨季のセリエAを席巻したらしいが(見たことない)、この日はバレンシアの華麗でリズミカルなパスサッカーを前に、耐えるサッカーを見せた。
3トップの両翼もハーフライン付近まで戻る場面が多く、また、マタにパブロ・エルナンデスと両サイドを執拗に使う相手に対応すべく、サイドハーフもかなり低い位置を取った。
古巣相手に闘志を燃やす、3バックのセンター、モレッティを中心とした守りは、サイドやバイタルまでの侵入は許すものの、エリアでは仕事をさせない。
時折見せるカウンターは、さすがに押し込まれる時間が長く、あまり効果的とはいえなかったが、43分、コーナーキックが弾かれたところを中盤の選手が頭でエリアに押し戻すと、ラインが上がりきらなかったところにうまく抜け出したセンターフォワードのフロッカリが足を伸ばしたボレーで押し込んでまさかの先制。
耐えに耐える時間が続き、それでもカウンターの形が作れなかったことで点の匂いがまったくしなかったジェノアだが、ワンチャンスでまさかの先制。
これはしてやったりであり、得てして起こり得ることで、そしてイタリアらしいゲームの運び方であった。

決め手に欠けるバレンシア。
守りに終始するジェノア。
正直眠気も襲ってきた前半だったが、後半のめまぐるしい展開で一気に目が覚める。
立ち上がりは前半同様、両チームともに激しくプレスをかけ合い、どちらも主導権が握れずに打ち合う格好に。
しかしこれまた前半同様、徐々にバネガ、アルベルダのところが保持率を上げ始めると、バレンシアの大胆な動きと華麗なパスワークがかみ合った流れるような攻撃が始まる。
そして52分、前を向いたバネガがディレイする相手ディフェンスとじっくりにらみ合いながら距離を詰め、エリアに近づいたところから絶妙な弱さのパスを送ると、エリア内、かけっこしていた2枚のマーカーの間をすり抜けて誰よりも早くボールに反応したシルバが落ち着いて左足で流し込んだ。
局面ではシルバとバネガの技術が光ったゴールだが、50分すぎからはたびたびサイドを崩して、左右からクロスが何本も放り込まれる状態で、ジェノアのディフェンスはかなり振り回されていた。
この布石はこのあとにも響いてくる。
待望の同点ゴールで勢いを増したバレンシアは、追いついた余裕から、よりボール回しが加速。
ピッチをワイドに動き回るボールと人の動きに、ジェノアのディフェンスはエリア前でやっと食いつくのが精一杯。
左右の揺さぶりがホント効いてて、バネガや、降りてきたシルバ、マタが中央フリーで持てる形が増える。
取るべくして取った56分の追加点は、完璧なパスワークで生まれたゴールだった。
中央、バイタル手前で受けたバネガがディフェンスを引き付けて左に平行するシルバに、ゴール正面やや左寄りで受けたシルバはジェノア最終ラインに向かいながら2人のディフェンスを引き付けて、エリア左前で駆け引きをしていたフリーのマタへ股抜きのスルーパス、マタは最高のファーストタッチでさらに中央のディフェンスを引っ張ったところでこれまたディフェンスの股を抜いたグラウンダーのパス。
鮮やかに繋がったボールは最後、フリーで待っていたジキッチが押し込むだけだった。
中で引き付けて外、外で揺さぶって中。
ビルドアップにおける大きな展開も見事だが、ドリブルやキープでできるだけ人を寄せ、わずかな隙を狙ったパスを通すことでゴールの確立を限りなく高くしていく、局面でのプレーも素晴らしい。
まさにスペインサッカーの醍醐味を見せつけた。

しかしすんなり終わらないのが、ジェノア、躍進したチームの底力か。
ここからガスペリーニ監督は、すぐさま2枚、カードを切り、人の動きで布陣を活性化させる。
勢いを増すバレンシアのパスワークの前に、依然厳しい状態は続いていたが、カウンターが少しずつハマりだす。
すると63分、ポジションを上げて右のウイングに近い位置にいたパパスタソプロスがマティウに倒されてPK獲得。
これをハルジャが冷静に決めて再び同点に。
少しずつ押し戻しつつあったとはいえ、かなりの苦戦の中、再び追いつくこの戦いぶり。
ユーティリティな選手を多く抱えているようで、試合中の一時的でないポジションチェンジを駆使して、ゲームに合わせてチームの形を変えていく采配は、非常に面白かった。
ジェノアというチーム、選手をよく知らないゆえに深く追求することはできないが、その手腕の高さは確かにチームの窮状を救っていた。
非常に面白い。

追いついたジェノアは、チーム全体がやや元気を取り戻したようで、守備陣もバレンシアのパスワークに対抗してきたし、ほとんど見られなかったパスワーク、ポゼッションする時間も出だし、互角の展開で終盤を迎える。
…かと思ったんだが、同点にされてすぐに動いたバレンシアのカードがゲームを決める。
まずはジキッチに代えてビジャ。
温存させたかったはずのエースが投入され、バレンシアのサッカーは再び加速を始める。
よくやっていたとは思うが、正直、バネガから始まり、シルバ、マタと繋がっていく攻撃の中で、ジキッチは少々テクの部分が追いついていない。
彼の特性はトップに張ってナンボなので、ターゲットマンとして使われたが、ビジャの場合はそれに加え裏も狙うし、サイドに流れてスペースを作る動きもある。
さらに点を取ることに特化したタイプの、まさしく点取り屋なので、シュートへの意欲が段違い。
入ってそうそうに角度ないところからシュートを放ったかと思えば、フリーキックでも迷わず直接蹴り込む。
失いかけた流れをグっと引き戻すと、さらにそれを加速すべく、パブロ・エルナンデスに代わってホアキン投入。
その投入直後、ハーフライン付近でボールを奪ったバネガが中央、シルバに楔のボールを入れると、シルバは右のホアキンに捌き、受けたホアキンは前線へ飛び出すビジャへ絶妙のスルーパス。
ディフェンスに体を寄せられての並走ながらバランスを崩さなかったビジャは、エリア内でファウルをもらい、それを自ら蹴りこんで勝ち越し。
集中して守っていたジェノアだったが、カウンターが機能しだしたところをクロスカウンターでやられた格好になってしまった。
パスワークで揺さぶりをかけた遅攻にらしさを見せたバレンシアだったが、その速攻の鋭さも絶品。
ビジャが入ったことで最後のピースが埋まったバレンシアに対し、ジェノアの強固なディフェンスも、遂に陥落することになった。
ビジャのインパクトは確かに強烈で、もし彼が頭から出ていたら、もっと早く勝負は決していたかもしれない。

互いに持ち味を出し合った好ゲームだったと思う。
ジェノアの攻撃的な一面も見られるに越したことはなかったが、あのバレンシアの攻撃性を前に取った現実的な戦い方は間違ってなかったと思う。
それより、バレンシアの徹底された攻撃サッカーが上回っていただけだ。
その徹底振りは、アディショナルタイム、普通に考えれば高い位置でキープして時間をかけることを選択する時間帯なのに、ひとたび1対1の形になれば必ず仕掛ける。
最後までゴールに向かいつづけた姿勢には、感服する。
リーガでは開幕からの5試合で既に9失点と、課題も少なくないようだが、あの攻撃力は魅力。
なんとか平行して頑張ってもらって、もっと上のラウンドで戦う姿も見てみたい。

あー、面白かった。
by blue-red-cherry | 2009-10-03 20:11 | サッカー(FC東京以外)
<< 餃子 チキントマトソーススパゲティ >>