FCバルセロナ×インテル・ミラノ UEFAチャンピオンズリーグ 09-10グループリーグ

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UEFA CLグループリーグもラスト2節。
ノックアウトラウンド進出をかけた最後の戦い。
この試合に敗れると、前年度王者がグループリーグで敗退しかねないという状況でイタリア王者をホームで迎えた、バルサ×インテルの大一番を見た。
リーグ、そしてCLグループリーグも快調に飛ばしてきたインテル、かたや怪我人も続き、調子を落として臨んだバルサ、拮抗した戦いが見られるかと思いきや、圧倒的なまで、バルサの強さだけが目立った試合だった。

実況の鉄人・八塚さんもことあるごとに発していたが、「2-0というスコア以上」の差が終始、見られた試合だった。
始めにインテルの、少しでもよかったところを思い出そうと記憶を巡ってみたが、ひとつも思い浮かばなかった。
とにかく終始、バルサのパスサッカーがゲームを支配した。
それもズラタン・イブラヒモビッチと、リオネル・メッシをベンチに置いたまま!

ひとつ、間違いないのは、バルサのサッカーを支えるのは上の偉大なストライカーではなく、シャビとイニエスタだっていうこと。
今季や昨季終盤、イニエスタのいないバルサの記憶が残っているが、その状態のほうが、メッシがいようがズラタンがいようが、機能不全に陥りがちだった。
いや、いないときの話というよりは、この試合、2人が奏でたハーモニーが凄すぎた。
アンリを1トップに、右にイニエスタ、左にペドロというのが形式上のフォーメーションだったが、イニエスタのポジションはあってないようなもの。
セントラルでボールを捌くシャビと近い位置に降り、右から左、左から右、3列目から前線へとめまぐるしくポジションを変え、自らの動きとボールの動きでマーカーをかく乱する。
チーム全体もその動きに合わせ、ズレて生まれたスペースをみなで流動的に共有する。
最終ラインとアンカーのブスケツこそある程度固定されたポジションをベースとするが、それ以外、前線とオフェンシブハーフの5枚は攻守にその場、その場の判断でベストなポジショニングをローテーションしていくスタイルを前に、固定されたポジションの概念は破壊される。
すべてはシャビとイニエスタの動きにより、前線の動き出しも、後方からのオーバーラップも、ベクトルが決まっていく。

手負いのバルサ、そんな状況でどんなサッカーを見せるのかが興味深かったが、なんのことはない、これぞバルサ、というパスサッカーが展開された。
バルサのスタイルはそれこそ、クライフ時代から脈々と受け継がれる、いくつものトライアングルが存在し、パスをバトンにしてトライアングルがリレーしながらゴールに迫るスタイル。
それぞれの距離感が近く、全体が動きながら…という印象が強いが、その実、以外と選手間の距離は離れてたりする。
それが適正。
というのも、パススピードが本当に速い。
強く、速いが浮かせることなんてまずなく、芝が焼けるんじゃないかっていうくらいの鋭いグラウンダーが、多少広めのトライアングルでのパス交換を、近距離の易しいパスと同じ難度で実現させている。
密集すればそれだけリスクも高まり、またバルサの選手は密集地でもハイレベルなボール回しができたりするんだが、肝はこの中距離トライアングルでの高速パス回しなんじゃないかと。
この微妙な距離感と速いパススピードを前に、インテルの中盤は成す術なし。
飛び込めないどころか寄せられず、スペースを埋めようにもおいつかず。
この速いパスは2、3人の間をグングンと抜けていくもんだから、大きなサイドチェンジほどではないにしろ、受け手がフリーになるケースが非常に多い。
さらにフリーな状態では非常に危険な選手がそろうゆえに、最低限寄せなければいけなく、すると中途半端な寄せ、中途半端なブロック作りになってしまい、結局突破されてしまうっていう。
この、やや大きめのトライアングルを動かしながらにじり寄るバルサのポゼッションサッカーは、いつみても恐ろしい。
これにもちろん、密集地でのパス交換、ワンステップで局面を変えるサイドチェンジ、さらにはドリブル突破やミドルシュートが加わるんだから。

バルサを見てて思うことのひとつだが、やはり守備も素晴らしい。
ここにおいても能動的、積極的な守備というか、決して受け身ではなく、主導権を握った守備を展開する。
インテルといえば右サイドのマイコン、ここはひとつ生命線だったと思うが、マイコン、インテル右サイドに対するディフェンスは非常に厳しく、アグレッシブだった。
持ち前の運動量で攻撃にも十分関与していたが、ケイタの主戦場は左サイド、インテル右サイドの潰し役として、ハーフラインを超えたあたりから断続的にプレッシャーをかけた。
ケイタが前がかりになっているときはアビダルが、これまた高い位置からチェイス。
インテルは右サイドを崩すどころか、右サイドから組み立てる術も奪われていた。
ならば逆サイドを使いたいところだったが、こちらは守りではなく、攻めで機先を制される。
ダニエウ・アウベスは開始早々から終始高い位置を取りつづけ、シャビ、イニエスタがそこを執拗に使ってくる。
特にシャビが引き付けて、CBとSBの間を抜けるスルーパス、大外を回ったダニエウ・アウベスが受けてクロス、というパターンは徹底されていて、実際2点目のペドロのゴールもこの形だった。
両サイドを完全に封じ、ポゼッションで中盤を下げたことで前後分断されたインテルの、苦し紛れの前線へのフィードはことごとくカット。
セカンドもほとんど収めて、また上の悪魔のポゼッションサッカーに戻る。
いやー、ホント恐ろしい。

後半は流してたと思う。
インテルが意地を見せん、とラインが少し高くなったこともあり、多少ボールを持てる時間が増えたが、バルサのペースがかなり落ちていた。
それでもボールを持てば奪われずにフィニッシュにたどり着くし、守備陣の積極性も変わらない。
多少手を抜いたところで、両者の差は縮まらない。
いや、前半の鬼ポゼッションでインテルは相当疲弊していたことだろう。
エトーは完全に消え気味、ミリートが奮闘し、何度もボールを抑えようと体を張っていたが、サポートなしではキツすぎる。
下がらざるを得ない中盤と、孤立する前線、間を埋めるポジションにスナイデルあたりがいれば、もうちょっとマシな展開になったかもしれない。
名将モウリーニョをしても修正できなかった、ちょっとやり方が中途半端だったかな。

バルサに対抗しうる手段として考えうるのはやっぱり、昨季のCL準決勝のチェルシーだよなー。
もしくは今季絶好調のアーセナルと、パスサッカー同士でやり合う。
確かに今年は珍しく、波があるみたいだけど、実力出せればやはり、バルサは強い。
とはいえまだ、このグループは最後まで分からないみたい。
でもまあ、バルサが上がって、どこがバルサを止めるか、みたいな流れを期待。
by blue-red-cherry | 2009-11-26 07:07 | サッカー(FC東京以外)
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