2009年シーズンのJ1、FC東京の最終節はアウェーで新潟戦。 「Cafe Bar LIVRE」さんのイイ意味であり得ないバスツアーで参戦。 正直そっちがかなーり楽しかったおかげで、必要以上におセンチにも、シリアスにもなりすぎずに済んだと思う。 結果としては広島の快勝で、勝ったとしても届かなかったACL出場権。 城福さんはいつも言ってるけど、リーグ戦の順位は正当な結果で、この一年は去年にも増して成長、熟成を感じる一年だったけれど、それでもまだ、アジアで戦うための準備としては足りなかった。 きっと多くの人はその事実を、しっかり受け止められていると思う。 またチャレンジしたらいいよ。 12月の新潟、ビッグスワンは強風吹き荒れ、予想通りに冷え込んでいた。 屋根の下での観戦で、序盤は気付かなかったがよく見ると、ピッチには横殴りの雨。 コンディションはいまいちだったが、水を含んで滑りのよくなったピッチで、東京のパスがよく回った。 やっぱりというかまたしてもというか、10番がいるといないとではまったく違うチームになる。 この点だけは変わらなかった、いや、よりその重みが増したようにすら思う。 梶山本人もまた、この試合にかける思いが違ったか、ボールの引き出しにしても、守備にしても、いつにも増して運動量が多い。 ひとつひとつのプレーの強度も見違えた。 気合いが入っていたのは一目瞭然だったが、一方で冷静に、アンカーとしてのポジショニングも冴え、圧力をかけた東京のアタックを跳ね返した新潟のクリア、フィードを、ヨネとともにことごとく拾っていたのも印象的だ。 とにもかくにも東京の攻撃が、90分良かったわけではないが、前半半ばすぎの先制点を挟んだ時間帯や、後半頭の攻勢、リズム良く攻められた時間帯、その中心にいたのは梶山だった。 リズム悪いとき、前線まで追い込んでのチェイシングや、相手のプレスに苦しむボール回しを受け、2、3人を引き寄せてかわしたボールキープ、苦しい場面で身を挺したのも梶山だった。 とても手術を控えている選手、手術の必要性がギリギリのところまで高まっている選手のプレーとは思えない。 その背中はしっかり10番の背中になってきたというか、気負うのではなく、プレーでチームを引っ張る背中。 今年は改めてそう思わされた一年だったといっても過言ではないが、東京は梶山のチームだし、梶山のチームであるべきで、梶山とともに戦い、梶山がいるうちが今の東京のひとつの時代になる(もうなっている)。 のちの梶山時代である、ってやつだな。 近日に迫る手術、本当にうまくいってほしい。 この試合でも数度、足を庇うことでひとつ切り返しが多くなり、失敗に終わった仕掛けがあった。 もし来季、彼が万全の状態でシーズン戦えるのであれば、それは東京にとって最大のチャンスの訪れを意味するものであり、そのためのバックアップ、フォローは最大限に投資するべきチャンスだと思う。 贔屓目に見てるのは否定しない。 でも、梶山はJリーグにおいて数少ない、彼のために人が呼べる選手になってきたと思う。 少なくなってきたムラっ気も含め。 ほら、二郎とか中本でいう、「ブレの範囲内」っていうww いきなり横道から入ったな。 なんとなく、この試合は押してるイメージがあって、スカパー録画したのをサクっと見てたら最後、解説の梅山さんも「サッカーに優勢勝ちというものがあれば東京」みたいなことを言ってた。 でもはっきりと東京の時間って呼べるのは上にも書いたけど、先制点前後と、後半開始直後のそれぞれ、10~20分くらいだっただろうか。 ボールは回せてたし、ある程度サイドからクロスが上がったり、シュートが打てたりはしたが、際どいカウンターを喰らってる場面も少なくない。 ただ、東京は崩しの場面で作った形も印象良く、全体のイメージを良くしている部分はある。 先制点は最終ライン、今野、平松、徳永のところに梶山が加わってのボール回しで相手をいなし、少し空いた今野から狙いすましたフィード、平山がバッチリ落として、石川よろしく右からペナへ走りこんだ北斗の鮮やかなバイシクル気味のボレー。 先制点以外では最大の決定機だった後半〇分、北斗とのワンツーで右サイドを駆け抜けた平山のマイナスのクロスに、走りこんだヨネが左足であわせたシーン。 ポゼッションからのペースアップ、中盤で奪ってのショートカウンター、どちらも東京の狙いであり、それが見事に実践されたシーンに好印象が残る。 しかしこの試合でもやっぱり、目指す頂は高く、遠かった。 攻め手をカウンターしか持たない新潟が相手であれば、もっと自分たちの時間を長くしていかなければならない。 新潟の縦に早い攻撃に付き合いがちで、もう少し揺さぶりをかけたり、いなす時間がほしかった。 長友にしても徳永にしても、低い位置から猛然と駆け上がり、見てるほうを喜ばしてくれるシーンはあるんだけど、恐らく城福さんにしてみればもう少し高い位置取りを基本にしたいはず。 サイドバックの位置が低い。 奪ったボールは梶山、ヨネから平山もしくは達也、赤嶺のスペース、北斗や羽生が開けばそこ、と選択肢は少なくなかったが、厚みを出すにはもっともっと、SBの関与がほしい。 それはオーバーラップからのクロス、仕掛けだけでなく、ビルドアップに寄与するという意味で。 そして点を決めるか決めないか、の部分。 これはそうだな、オフにみんなで石川に聞こうw 石川が見えてたもの、石川とチームで重ねてきたゴールにヒントがあるような気がする。 でも石川がいないときに出ていた選手は、その石川とは違う個性を活かしてチームに貢献してくれた。 石川がいなくなってから、平山のプレーの幅がまた一段と広がった気がする。 この試合、後半、序盤は左に開き、カットインしてからのシュートでゴールを脅かした。 攻勢にあった中盤からは、右サイドライン際を激走し、カウンターの担い手となった。 そこに鈍重と揶揄され続けた彼の姿はなかった。 前半はトップで走り回り、後半は途中から中盤で走り回った達也は、シュートチャンスに恵まれなかったものの、その献身的な動きの価値は計り知れない。 なんだろう、ここは簡単じゃないし、この試合に限ったことじゃない。 でもカボレという絶対的点取り屋(ゴールの数に、カボレじゃなかったら決めてたという決定機を足してww)を失ってからは模索しながら、よくやってきたと思う。 人で埋めるか、やり方で埋めるか、これを解決しないと上がない、というのはほかでもない、選手や監督が分かってることだろう。 あと良かった点、ひとつ。 今野と平松の積極的なディフェンスは見てて心地よかった。 プレミアを引き合いに出すのが正しいかどうかは分からないが、東京のスタイルだとチェルシーみたいな受けて立つ形は難しい。 攻撃時、前のポジションは流動的、それに追随する形で守備陣もカウンターに備える網を作らなければならない。 アーセナルみたいに、自分から獲りにいく、前のほうはホルダーにプレッシャーをかけ続け、後ろは楔に入るところをピンポイントで狙う。 今野も平松もここのところ、楔への守備が出色で、早く、強く、見応えがあった。 ここはブルーノ(とあとあの人も)が抜ける最終ラインを、ワンランク上に上げる光明が一筋、見えたかな。 いろいろ書いたけど、苦しんだシーズン最後の試合、見合った内容だったかな。 背負うものが伺える気合いの入ったパフォーマンス、積み上げたものも足りないものも見えた展開。 でも実は、フジ投入からの時間帯は記憶がおぼろげ。 後半早い段階から椋原がガンガンのペースでアップしてて、「ああ、こりゃ城福さん、泣きながら椋原投入かな」なんて思ってたんだけど、なかなか決め手となる2点目が取れなかった82分でフジ投入。 この時点で、「城福さん、あんた漢だよっ」っと涙腺が解れだしてきてたんだけど、どっこい新潟の攻勢は強まる一方で、意外にゲームに集中した。 で、89分のサリ。 最後の最後まで、最後の一枚のカードをどうしようか、迷ってたと思うよ、城福さんは。 でも最初から決めてたのかもなー。 第4審判に引き連れられ、ライン際でストレッチする浅利。 もう半分以上気持ちはそっちにあって、なんか夢心地じゃないんだけど、心が浮ついたまんま、ネットに吸い込まれたボールを追い、喜ぶ新潟の選手たちを眺めてた感じ。 リスタートのキックオフ、サリが蹴りだして、ロングボールにサリがプレッシャーをかけて、そこから先、たぶんチャントを歌って最後まで諦めないで…ってやってたんだと思う。 あまり記憶がない。 もちろんすごく悔しかったし、まだ諦めんなって思ってたはずだけど、どこかでそうだよなーっていうか、うん、何か受け入れている自分がいたような気がする。 わかんないよね。 自分でもよくわかんないんだけど。 あー、終わったっていうなんとも言えない気持ち。 正当な結果。 リーグ戦の順位は城福さんが口酸っぱく言ってるように、正当な結果だと思うし、この試合の結果も正当な結果だったんだなと、今は思う。 サリとフジの東京ラストマッチではあったが、ブルーノもそうだし、ほかにも試合に出られずにこのゲームがラストマッチになった選手がいるはずだ。 すべてを得ることは難しく、その中であの寒風吹きすさぶビッグスワンで思ったことは、来てよかったな、という感想だった。 これで東京の2009年シーズンが終わった。 新潟ではもちろん、今もあまり実感はない。 ファン感謝祭は法事で行けないので、動く彼らを見るのはこの新潟が、本当に今季最後になる。 思えば長いようで、短いようで、いろいろあったなー。 振り返りは別途、してみるとして、ひとまず、みなさんお疲れ様でした。 そしてありがとうございました。 また来年、スタジアムで。
by blue-red-cherry
| 2009-12-07 15:26
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