モウリーニョ・ダービー、チェルシー×インテル・ミラノ、第2戦。 今季CLで今のところベストマッチかな。 初戦でビハインドを背負ったホームのチェルシーが攻勢をかければ、イタリア王者の名に恥じない堅牢を誇るインテル守備陣が踏ん張り、狙いどおりのカウンターを仕掛ける。 攻守、どちらもアグレッシブで、両チームの積極性がエキサイティングなゲームを作り上げた。 点を取りたいチェルシーが前に出た前半。 ドログバへのロングボール、左のマルダ、右のアネルカ、両ワイドも基点になる。 ランパードのタッチ多く、彼のコントロールのもと、バラックも高めの位置取りからミドルを放つなど、パターン、手数ともに多い。 しかし、このチェルシーのアタックそれぞれにきっちり手を打ってきたインテルは、ギリギリの戦いながらも跳ね返し、それどころか攻め込むシーンも少なくなく、チェルシーに主導権を渡さない。 チェルシーがその、ホームチームらしき怒涛の展開でインテルを自陣に釘付けにしたのは前半終了間際の5分くらいか。 この時間はドログバだけでなく、アネルカもインテルラインにプレッシャーをかけることが多く、後方、サイドからの放り込みに迫力が出た。 41分に中央突破の崩れからマルダ、45分にはフィードをドログバが胸トラ、走りこんだランパードに絶妙なパスを通す、しかしどちらもサムエルがギリギリのタイミングで体を投げ出してブロック。 42分には開いたドログバのクロスにアネルカがフリーであわせるも、せーザルが触り、モッタがクリアと、インテル守備陣の集中力の高さの前に、決定機が次々と消えていった。 ここに見るインテル守備陣、いや、攻撃陣も含めたイレブンの集中力には目を瞠るものがあり、いくつか勝負を分けたマッチアップにおいても際立っていた。 ポイントとなったマッチアップは3つ。 まずはドログバVSルシオ&サムエル。 ここは1stレグから変わらず、ド迫力の空中戦、肉弾戦。 ハイボールや楔には攻撃性が前面に押し出されたルシオが当たり、サムエルはカバーリング、コースをしっかり消して、しっかり体を寄せる堅実なパフォーマンス。 後方からのロングボールや、ラインを超す浮き球のスルーパスで幾度かエリアに侵入するものの、1stレグに続き、この日もドログバは沈黙させられた。 南米のベテランコンビは駆け引きにも長け、世界5指に入るであろうストライカーに苛立ちを与えつつ、良さを出させない完勝。 互いにドログバをファーストプライオリティにしつつ、マルダやアネルカの侵入に対してもどちらかがきちんと対応し、絶対的な強さを誇った。 ここの壁はチェルシーにとって、相当高かっただろう。 続いてサイドの攻防。 これも1stレグ、特に後半から続いていた構図ではある。 1stレグ後半、1点リードを奪ったインテルは、攻勢に出んとするチェルシーの機先を制すべく、それまでの4-4-2から4-3-3に布陣変更。 スペースを埋めていたブロック守備を崩し、ウイングを置くことで両サイドバックの攻め上がりを封じる。 これがピッタリハマって、チェルシーは厚みのある反攻が出来ないままこの日の対戦を迎えたんだが、この試合でもインテルのサイドプレーヤーは勇気を持ったプレーを見せた。 ディエゴ・ミリートを不動のセンターに張らせつつ、両ウイングは右にエトー、左にパンデフ。 このウイングが運動量多く、特にチェルシーの攻撃のトリガーだった左サイドのマルダ、ジルコフのコンビと対し、ホットスポットとなったインテル右サイド、エトーの攻守での貢献度は計り知れない。 前でボールを受ければ1トップもこなせるキープ力で時間を作り、マイコンの上がりを促し、守備でもさすが攻守一体のバルサでファーストディフェンスを担っていただけのことはある。 上下動いとわないプレーぶりは、今季ゴールが少ないことへの責任感も感じさせた。 エトーの頑張り、そして抑え目ながらビルドアップ時にサネッティ、彼にスナイデルが寄ってのサイドチェンジと、時間とスペースを与えられたマイコンの上がりも目立った。 アウェーゴールの関係上、先制されると俄然不利になるインテルだったが、裏を返せば1点取れば大きなアドバンテージを得られることを選んだ。 モウリーニョもチェルシー相手に守りきることを選ぶより、攻め勝つことを選んだとしていたが、それにしてもマイコンの攻め上がりは見事で、33分には叩き付けすぎて外れたものの、エトーのヘッダーにドンピシャのクロスを合わせたし、彼が上がることで中、外の揺さぶりも効いていた。 攻め合って主導権を掴んだエトー、マイコンの右サイド、堅実な働きで自由を与えなかったパンデフ、サネッティの左サイド。 ここもインテルの完勝。 そして勝負を決めた…のはエトーのゴールだが、そのゴールを演出したスナイデルのクオリティ。 この日のスナイデルの前では、ランパードも、バラックも、(もっともいいとこなしだったが)ジョー・コールも霞む。 前半から、トップで体を張るミリート、サイドで基点となったエトーやパンデフのフォローで顔を出し、受けてはボディコントロール、足元の技術で時間を作り、そして正確なキックでチャンスを演出していた。 そのプレーは後半、いよいよ輝きを増す。 全体が少しずつ間延びし、ファウルトラブルも増えて落ち着かない中でひとり冷静かつ、自在なプレー。 視野の広さ、判断の良さがバツグンで、51分にエトー、59分にはパンデフ、64分にはミリートへと、長短のパスで決定機を量産。 69分には完ぺきなフリーキックをモッタの頭に合わせるなど、時間を経ても、その惚れ惚れするようなキックの精度は落ちない。 そして78分、1点勝負の緊張感漂い始めた終盤で、集中力高い守備を保った守備陣に最高の形で応える。 ランパードのパスミスを拾ったミリートからスナイデル、受けると素早くルックアップ、ほぼ同時に左足でラインギリギリで抜け出したエトーにピンポイントのフィード。 スナイデルの作り出した何度目かの決定機、ここでエトーが最高のトラップ、最高のシュートを放って、待望の、そしてゲームを決める先制点を奪った。 いくら褒めても褒めたりないな。 中央の軸、サイドともに配置の面でも、選手個々の戦いという意味でもインテルに軍配が上がった。 チェルシーが点を取る意味ではランパード、バラック、ジョー・コールといったオフェンシブハーフの活躍も欠かせなかったが、ここでもバイタルを空けず、かつ寄せも速かったモッタ、カンビアッソの2枚が存在感を発揮した。 カウンターでも人数をかけ、遅攻時もボールをよく回したインテルは逆に、カウンターを喰らうリスクもあったわけだが、全体の戻りが素晴らしく速かった。 攻守の切り替えでもインテルのほうに分があったか。 チェルシーにもチャンスはあったし、舞台はスタンフォードブリッジ、そして最小得点差、最後まで(いや、ドログバが愚行で退場する86分までか)何が起きてもおかしくないという緊張感はあった。 ここにきて主力に怪我人が続いたチェルシーにはアンラッキーなハンデもあったとは思うが、指揮官の采配含め、インテルが勝者に相応しい戦いを見せた。 2戦合計で戦うこのラウンドを見てきて、ゲームプランの難しさ、用意することと、臨機応変に対応することの難しさを痛感していたが、指揮官の対応、選手の対応ともに、インテルが会心のパフォーマンスを見せてくれた。 これでプレミア寡占は防げたし、これだけのパフォーマンスが出来れば、この先のインテルにも大いに期待が持てる。 次戦、ルシオとモッタを出場停止で欠くことが決まっているが、苦境でこそ、モウリーニョの手腕が楽しみだ。 いいゲームだったなー。
by blue-red-cherry
| 2010-03-17 20:44
| サッカー(FC東京以外)
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