オーデュポンの祈り

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遡って遡って、伊坂幸太郎の処女作「オーデュポンの祈り」にたどり着いた。

いい。
やっぱいいわ。
このなんともいえない、虚脱感と幸福感。
読み終わったあとはいつも、「やっぱそうだよね」って気分になる。
出来すぎでも出来なすぎでもないストーリー。

日本の開国以来、鎖国してて、本土の人間は誰も知らない。
そんな島を舞台に、喋る案山子、嘘しか言わない元画家、島民から裁きを認められている詩人で執行人の桜、などなど個性的で現実社会とかけ離れた登場人物が物語を彩る。
でも本筋をいくのは伊坂節。
行動する前に思考し、自分の弱さを知る一般人の伊藤。
悲しい過去を持ち、人とは違った感性を持つ純粋な変わり者の日比野。
島で起きるさまざまな事件の謎をめぐり、2人は奔走するんだけど、2人が持つ違った視点が、人の善悪だったり陰陽だったりを映し出す。
このパターンは兄弟だったり、恋人だったりで、ほかの伊坂作品でも見受けられる。
オレはここが好き。
だって世の中のこと、大体どっちとも言い切れないじゃん。
絶対的にどっちかが悪いってことも多いけど(飲酒運転のやつとか!)、例えば民族間紛争とか、それこそ夫婦喧嘩だとか、どっちの言い分もわかるってこと多いし。
結局どっちの立場にもなれない、なんてことがよくある。
だから、舞台が突飛だったり、登場人物がありえない人物だったりして現実味がなかったとしても、すごいリアリティーのある作品なんだ、オレにとって。

ミステリーものって言われてもピンとこないんだよなぁ。
確かに謎多き事件を解決していく話ではあるんだけど、その事件を解決していくうちに明らかになっていく事実が発するメッセージのほうに、主題がある気がする。


やっつけられるべき悪もやっつけるし、この作品も痛快で爽快。
後味のいい話書くよな、ホントに。
by blue-red-cherry | 2006-09-18 14:29 |
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