ニッポニアニッポン

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「インディヴィジュアル・プロジェクション」でとられていた日記で読ます手法が楽しかったんだが、今度はネットや新聞からの引用文が多々挟み込まれるスタイル。
大抵の場合、本を読むとき、注釈やら引用記事やらは飛ばしたくなるものが多く、この場合も邪魔に感じてはいたのだが、一大テーマを背負わされた<トキの生態>を知ることが読解のヒントだったと思うし、単純にトキの知識が得られたからよかったとしとく。
スパイ養成学校に続き、トキの暗殺を企てるネットヲタのヒッキー少年と、相変わらず斜め上な想像力に引き込まれる阿部和重の「ニッポニアニッポン」を読んだ。

作者の意向が導いた必然の偶然ではあるが、自らの名前に含まれた<鴇=トキ>の一文字から創造した運命へ向かって妄走する主人公・春生のエネルギー。
若さ、を文中でも暴走の原因として扱ったりしているんだが、もろもろの拙さはともかく、結局そこかよ!と突っ込みたくなる失恋の痛手の青さがすべてなんだろうか。
「インディヴィジュアル~」でもそうだったけど、かなりキちゃってる主役の彼らは、どっかしら人の温もりがあって、可笑しい。

春生少年の哀しい過去を挟みながら淡々と進んでいく物語を淡々と読んだ。
深読みなどせず、ただひたすらに。
彼はきっとやることがなくなっちゃったから、あんなことになったんだろうな。
ひとつの恋を強制終了されて生きる目的を見失い、自分の運命を無理やりに組みこんだ結果、そこで初めて何してんだろう、オレ?みたいなことになってたし。

そこは少しわかるかも。
またやることが無くなっちまった彼のこの先はどうするんだろう。
運命なんて決まってなくても、何となく人生は進んでいくのに、ね。


ちなみに、現在トキの繁殖は順調なんだかわからんが進んでおり、この小説が描かれた当時の絶滅危機を脱している様子。
一度はホンモノ見てみたい。
by blue-red-cherry | 2006-10-06 20:01 |
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