インサイド・マン

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スパイク・リーにデンゼル・ワシントンとは、「マルコムX」を思い出す。
あそこまで重厚ではないし、作りは徹底してクールでスタイリッシュ、それでいて、胸のすく、スカっとするメッセージが込められた快作「インサイド・マン」を見た。

「犯罪にはロマンが必要だ」
とは、どっかの陽気なギャングのセリフだが、今回の犯人たちもロマンチスト。
いや、果たして犯人と呼ぶべきかどうかも、定かではない。
徹底した完璧主義者による完璧な銀行強盗は、見るものも惑わす。
映画内のゲームにのめりこむまでに、そう時間はかからない。
一流のサスペンスとして、十分楽しめるシナリオだ。
いろんな時間軸を混ぜて作る見せ方も、惑わされる材料のひとつだが、うるさくなったり、迷惑だったり、ネガティブな感情を抱かせないカメラ割りや展開力はさすがだ。
ニューヨークを知り尽くした男が撮るニューヨークの街並みは当然、誰よりもカッコよく撮れてるし、BGMもやはり、センスを感じる。
ベテラン監督の、錆びない感覚に感服する。

一方で、ストーリーのタクトを握る数人の演者たちも達者ぞろい。
なんかデンゼルが、ちと太り気味に見えたのは気のせい??
しかし、銀行強盗の現場にシルクハットに白いスーツはねえだろww
カッコよすぎデス。
超普通の人間なところもいい。
日本的っつうか、青島巡査的で、たぶんウケはいいはず。
時折出てくる、下の話がどうもwww
直接的過ぎて、笑うに笑えないwww
犯人だから、全編覆面だけど、クライブ・オーウェン、いい。
「悪事はどこにあっても悪臭を放つ」
みたいなクソカッコいいセリフをはじめ、かなりいい役。
ネタバレなしだから、誉めすぎるとバレるのでやめとくが、いいぞ。
ジョディ・フォスターは、ジョディ・フォスターじゃなくてもよかった。
彼女目当てで見るほど、活躍の場面はない。

ディテールはそんなとこだが、メッセージは熱い。
ムダに挟まれてた、「グランドセフト~」的なゲームのエピソードとか。
最終的に一番のオチとなる重要なエピソードとか。
なんだかんだで、熱い正義漢のデンゼル演じるフレッチャーを通して発せられるメッセージは、スタイリッシュな衣をまといながらも、実は土臭い。

マンハッタンで撮られた作品だが、ブルックリン魂は消えてない。
安心してみてくれ、ホーミー。
by blue-red-cherry | 2007-01-22 01:50 | 映画
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