![]() ネイティブタンのアイデンティティーと、アティテュードを体現し、90年代後半のヒップホップシーンの良心として現われた、モスデフ&タリブクウェリ=Blackster。 一枚のクラシックを残した彼らは、まったく別のヒップホップアーティストとして大成した。 選んだ道の違いぶりはなかなかの角度で、再結成を望む声こそあれど、叶う日が見えない中、同時期にそれぞれの新作が発表された。 見事なまでに異なるアプローチのようでいて、どこかほのかに、2MCの絆を感じ、心が動かされたので記しとく。 大した知名度もない中でのクラブチッタ川崎満員御礼公演は、日本のシーンが健全であることを強く感じさせるとともに、二人のイケてっぷりを物語っていた。 事実、二人がBlackster名義で発表した唯一のアルバム「Black star」は、オールドスクールからミドルスクール、彼らのルーツのエッセンスが詰まった、期待に違わないヒップホップクラシックだと思う。 そのまま、シーンの良心として生き残って行くと思ってただけに、別れて活躍する二人の行く末、とりわけモスデフの展開は、思いも及ばなかった。 ![]() もともと、歌うように(カンタービレ!)フロウするMCだし、ハウスに近いトラックや、フリージャズのような質感の曲など、“らしい”1st「Black On Both Sides」はともかく、彼の中のBANDやろうぜ!魂に火が着いちゃった2nd「New Danger」にはいろんな意味で裏切られた。 その後の俳優活動は周知のとおりだろう。 アカデミックな才能がダイナミックに、多岐にわたって炸裂し、放置プレイされてたB-BOYSもいい加減まーちきーれなーい!ところへ届けられたのが「True Magic」なわけだ。 ![]() Boogieman Music! 当てにならない期待も予想も、華麗に裏切られた。 Most Definitry、ヒップホップに満ち満ちている。 GZAのテクニカルなライミングシットを選んだセンスと、オリジナルに負けないリリック(予想)が一人勝ちなカバー「Crime & Medicine 」。 SADAT Xの1stとか地味な作品で、地味にいい仕事してるミネソタ作の、ソウル「U R The One」!ファンク「A Ha」! きちっと固めのフロウを聴かすモスデフさん。 と思ったらラップにもシャウトがあんだってこと、ハリケーン・カトリーナのこと、魂が叫ぶ、 God save these streets, One dollar per every human being, Feel that Katrina Clap, See that Katrina Clap, God save these streets, Quit bein’ cheap brutha freedom ain’t free, Feel that Katrina Clap, See that Katrina Clap, ってフックがむちゃくちゃカッコイイ「Dollar Day」、ミニマルで古新しいトラックもヤバいこの辺から、ラップと歌の境界線が曖昧になってくる。 もう「There Is A Way」なんかは完全な歌もので。 ネプチューンズ使っときながら、このダウンビートにダークなピアノが刻む、鬼DOPEな作風を実現した「Murder Of A Teenage Life」とか、やりたい放題入り乱れる。 時代性とか、地域性とか、ヒップホップを構成する立派な要素だけど、完全に超越してて、それでいてストリクトリー、ヒップホップ。 ヤラレタ。 ある意味モスデフよりもっと唐突で、驚きを与えたのが、クウェリの新作だ。 ![]() 彼の場合、ブルックリンの本屋で働いていたころから変わらないメンタルアティテュードというか、ソロ2作「Quality」「Beautiful Struggle」には、良質なヒップホップをストイックに作る、職人気質を感じとれる。 派手か地味かと2択を迫られれば、地味と答える人が多いだろうが「Get by」「Waitin' for the DJ」「I Try」など、シングルヒットも多い。 職人だが、時代の空気が読める漢だな。 その辺の印象と、常にアクションにメッセージを備え付けた彼ならではの作品かもしれない、「Liberation」は。 ![]() 07年のニューイヤーイブに、彼のmy spaceと、ストーンズスロウのホームページで、こっそりアップされた今作。 全曲マッドリブ製作で、クウェリの完全書き下ろし新作9曲、これをフリーでダウンロードさせてしまう、太っ腹具合には感服だ。 当然そこには何かしらのメッセージが込められてるんだろう。 それは資本主義に飲み込まれたメジャーヒップホップへのアンチテーゼかも知れないし、アメリカレコード協会の暴挙により、存在が危ぶまれているミックステープの代わりとなる新たなプロモーション手段の提案かもしれない。 どんな理由にしろ、ヒップホップを心から愛している、彼らしいチョイスだ。 内容も実に、ほほが緩む。 クウェリがブースでキックしてる、その傍でマッドリブが機材を叩いてる。 そんなスタジオの幸せな光景が、このアルバムを聴いてると浮かんでくる。 音質はラフでラグドでロウ。 チョップNペースト、古きよきサンプリングを用いたヒップホップアルバム。 イントロ代わりにゆるーく始まる「The Show」とか、サンプリングネタから入って、シンガーがかぶせていく「Happy Home」とか、温かい、サウスとは違うサザンソウルを感じる。 一方、コンシークエンスのカニエ譲りなフックが頭から離れない「Engine Runnin'」、枯れたトランペットの音色が繰り返される「Funny Money」、一曲一曲で個性が立っている。 でもやっぱり、1人のプロデューサーがすべてのトラックを担当しているだけあって、全編にわたるサンプリングのパッチワークと、いなたいドラム、統一感は抜群にとれてる。 これがタダで、オレのPCに落とされたことが、未だに信じがたい。 クウェリの粋な計らいに、ただただ感謝したい。 金出して聴く価値のある作品だよ。 で、こんなに表情の違うアルバムのどこにつながりを感じたかっつうと。 まず2人とも、自分が好きなヒップホップやってるってとこ。 別にビートの流行も意識しなければ、旬なシンガーのフォローも受けてない。 そしてそのパッケージ。 コストダウン目的では決してないであろう、ジャケなし、クレジットなしの「True Magic」。 誰が作ろうが関係ねー、ていう、曲がよければいいじゃん、的な衝動?? それに大してウェブ上っていう新しいパッケージで出しつつ、ご丁寧にジャケとクレジットがついたpdfファイルまでダウンロードさせてくれた「Liberation」。 一見逆なようで一緒な気がする。 一緒にアルバム作らねーかな、この2人。 95年くらいのトライブ来日のとき、サイドMCやってたのがモスとコンズだった。 チルドレンたちは確実に育ったんだな。
by blue-red-cherry
| 2007-01-27 14:07
| 音楽
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