ガダラの豚

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連れに薦められた「ガダラの豚」、読了。
中島らもって人は、クレイジーだったっていうパブリックイメージというか、非常に断片的な話でしか認識してないが、この話、めちゃめちゃイケてます。
知人に「小説なんか読んでも糞の役にも立たない」って持論の人がいて、その人は新書系とか歴史モノとか読んでるんだけど、糞の役にも立たないかどうかは別として、極上のエンターテインメントなのは間違いなく、それが役に立つかどうかは人それぞれだと思う。
ていうか娯楽作品なんだから、楽しいかどうか、そこが判断基準であって、それにケチつけるのはナンセンス。
教科書読んでろ、ファカ。

「ねじまき鳥」に続く三部作はヘヴィかな、と思ってたんだけど全然。
テンポのよさに、最後までリズムよく読みきった。
アフリカの呪術を軸に、宗教色の強い内容からアル中、シャブ中、なんでも来い。
エンタメ業界に長く身を置く人だからこその、中の人的な目線や話もオモロイ。
結構いろんなとこに飛び散らかってる感じだが、決して散漫な印象はなく、しかも冗長に感じさせないのは、一見分断されているようなエピソードが水面下でつながり、最終的には地上でリンクしあってる構成力の高さは目を瞠る。
13年前に発表された作品だが、現在進行形の小説として受け入れられる。

エピソードの絡ませ方の上手さと同時にキャラ作りも素晴らしい。
家族愛に性癖、宗教色、攻撃性、その他もろもろ。
誰しもが抱え持つ、かつ眠っている感情が、学者だったり主婦だったり精神科医だったり職というコスチュームを破って飛び出してくる様は妙に生々しく、リアル。

一方で賞を受賞したというミステリーとしての評価も忘れてはいけない。
大小問わず、常に事件性、危険な香りを漂わせつつ、ここぞというときのスリルはなかなかに迫力がある。
また、ヤマ場で起きるジェットコースター的な展開と最後まで読者の予想を裏切り続ける(最後まで予想させたがる)展開は、「24」もビックリの出来。

マジで手放しで絶賛しとく。
エンターテインメントとしての完成度が異常に高いと思う。
イルな人だと踏んでたが、あまりにも普通に面白かった。
R.I.P.
by blue-red-cherry | 2007-10-12 12:03 |
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