「半島を出よ」と縁のある、村上龍による10年ちょい前の話、「昭和歌謡大全集」、読了。 「半島を出よ」のフルボリュームのあとで200ページ強は楽勝というかあっという間。 読み解く上で膨大なデータを、こっちも詰め込む必要があった「半島~」に対し、低いといえば低いが常にハイなまま、アッパーというかふわふわしてる話の展開も読むスピードを上げたかも。 「半島~」とのつながりはイシハラとノブエ。 「半島~」では50過ぎのレジェンドとして福岡の少年ゲリラたちの象徴的に存在したイシハラ(とノブエも新宿中央公園ではレジェンド)だったが、「昭和~」では20代。 しかし見事なまでにいけてない、というかいけてるいけてないの物差しや秤で比べられるべき存在ではなく、ぶっ飛んでる。 イシハラは「半島~」でもその奇特なキャラが濃厚だったが、「昭和~」の頃はさらにヒドく、そしてノブエをはじめ、スギオカ、カトウ、スギヤマ、ヤノと全員イカれてる。 間違いなくイカれ野郎どもだが、憎めないのがその、マイノリティー魂をくすぐる龍節なんだろうな。 でだ。 この若かりしイシハラたちがひょんなことから、おばさん軍団と血で血を洗う抗争を繰り広げるわけですよ。 まさに抗争。 怨嗟の連鎖、ヤクザの抗争か、はたまた中東の戦争か。 馬鹿馬鹿しくもゲームのように、ポップにライトに繰り返される惨劇(に感じないのは犠牲者がイカれ野郎どもと、腐ったおばさんたちだけだから)に殺人事件が起きてるという感覚も麻痺し、わけわからない感覚を覚える。 滑稽なんだよな。 笑えたかと思えば背筋が凍るような恐ろしさもあったりして。 そのギャップがエキサイトバイクでいえば一気に飛び越えるであろう、細く尖った山の連続のように、絶え間なく訪れる。 鎖を断ち切るにはあれしかない、っつう終わり方で、何を言いたかったのかなどと詮索する気はない。 それなりに若者、おばさんは(当時の)世相を凝縮した存在として描かれたわけだし、例によって亡国ニッポンに言いたいことはあっただろう。 これ、映画になってるんだね。 公開は03年だが、イシハラたちも、ミドリーズも演者がかなり豪華。 なんとなく想像はつくが、見てみるかな。 イシハラつながりで読んだから本では彼らに目がいったが、どうにもさえないおばさんにしてはいけてすぎなおばさんたちのキャストに眼がいきそうだが。 つか、市川実和子にあの役ってww 笑っちゃっていいとこなの??
by blue-red-cherry
| 2008-02-19 19:57
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