He’s still Sweet Soul Brother

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東京の若者文化の中心地のひとつにして東京⇔横浜を繋ぐ決して小さくない線の乗降口に並ぶ柱の広告がピートロックの新作(しかも日本先行発売)で埋め尽くされてるのを見てニヤけてしまったヘッズは少なくないはずだ。
果たしてその内容も素晴らしく、大いに宣伝されるべきであると納得した「NY’s Finest」の感想をば。

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時代の変遷もあり、サンプリングミュージックの在り方も姿を変えてきたため、オレらが常に抱くピートロック(プリモにしたってATCQにしたってそうだけど)のイメージ=ネタのフレッシュさを残したまま自分のフィルターで表現する、って手法はそれこそCLと組んでた時代の話で。
ソウルでサヴァイブしてることを謳った2枚のソロ作では今に通ずる、それまでよりもかなりシンプルでドラムやベース、パーツの強度が増したサウンドに移行してきてる、と感じてる。
それぞれに良さはあって、単純に比較するのはあまり意味がない。
オレは「Main Ingredient」がオールタイムフェイバリットだけど、「NY’s Finest」のドープネスったら、そこでは得られない重みがある。

’Till I Retire
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永遠のソウルブラザーっぷりを声高に宣言した「’Till I Retire」なんか象徴的だ。
ヘッドフォンをグゥワングゥワン揺らすキック、ベース、ミニマムなキーの音色、ド王道な声ネタスクラッチ(ネタ元のRunDMCからDMCがPVに参加してて泣ける)で構成され、またピートロックのラップもマナーに沿ってて、どこを切ってもヒップホップ。
ファットジョーとビッグパンが参加したショウビズの「Drop It Heavy」って曲があって、文字通りのヘヴィな一曲だったんだけど、それに匹敵するヘヴィネス。
ここにあるパーツひとつひとつの重さ、シンプルな構成はこの作品の全体的なイメージをひとつ、象徴してる気がする。
アルバムから最初にストリートを騒がせたジムジョーンズとの「We Roll」も混じり気ないよね。
楽器ひとつひとつの音が経ってて、メロで聴かすってよりはグルーヴでノらす、みたいな、ソウルブラザーながらファンクを感じる曲が多いような。
レッドマンとの「Best Believe」とか完全にファンクだもんな。
JBとJディラへのリスペクトが散りばめられたアルバム、至極当然か。

といってもSoul brother #1がそれだけなわけはなくて。
それぞれコンピに収録された2曲、D-blockとの「914」ではUFO+It’s A New Dayという超王道ネタのファンクナンバーを聴かせ、Wuからレイクォンとマスタキラーを迎えた「THE PJ’s」ではラージプロフェッサーの「Mad Scientist」の08ヴァージョン的なネタ使いをみせる。
ローズオブジアンダーグラウンド、ロイヤルフラッシュって渋めの両者をフックアップした曲もいい。
特に前者を迎えた「The Best Secret」はゆったりとした流れにあったピアノのウワモノと、その下をうねるベース組み合わせが気持ちよく、ベテラン’s Dayって感じ。
ピアノといえばRellのボーカルをフィーチャーした「That's What I Am Talking About」も綺麗なピアノをうまくアクセントに使ってる。
爽やかでアッパーなこの曲はある意味アルバムの中では浮いてるけど、抗えない気持ちよさがあるし使い勝手は良さそうだし、人気が出そう。
「I’m the Mixtape King of the year!」って入ってくるパプースがピートロックへのリスペクトで締める1stヴァースがカッコよすぎる「Comprehend」も、ベースがグイグイ引っ張ってってピアノが締めるタイトな出来で、これでアルバムがクローズするところも好きなところ。
こうしてまとめてみると、ベースのぶっとさ、センスのいいピアノ使い、タイトな太鼓、やっぱりソウル・ジャズ・ファンクを昇華したサンプリングミュージックとしてのヒップホップを作り上げてきたオリジネイターの底力を感じるね。
それと、それぞれがあまりにも頭に残る、シンプルなループを作る技術の高さも図抜けている。

時代は変わってくれば、出し方もいろいろ変わってくる。
レジェンドたるものがいつまでも過去の栄光、すがる傾向、なわけはないっつうことだ。
だからといって彼がSweet Soul Brotherであることは変わらない。
「Mecca and the Soul Brother」も「Main Ingredient」も「Soul Survivor」も「NY’s Finest」も大好き、以上。
by blue-red-cherry | 2008-03-06 18:16 | 音楽
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