![]() RINOは「ライムで騒ぐラップ栄光あれ」と歌ってたけど、当時「ライブで騒ぐラップ栄光あれ」に聴こえて、ずっと勘違いしてたのを思い出した。 2008年3月17日、何年かぶりに見たヒップホップのライブは、また忘れられない思い出になった。 「TSUTAYA RECORDS presents GO OUT! Vol.2」。 冗談半分でポチっとしたら、こういうの縁なかったんだけどまさかの当選でいただいた招待状で、週始め月曜の職場を定時前に抜け出して参じた。 THA BLUE HERB、SEEDA、SD JUNKSTA、GEEK。 今、オレのアンテナがビンビンに反応しまくってるメンツが一同に介したイベントに参加できるなんて、幸せの極み。 その衝撃からしばらく経った今ですら、興奮は冷め遣らない。 ![]() この錚々たるメンツのウォームアップを任されたのがGEEK。 OKIのアルバム発売直後にGEEKのライブを一発目に見る贅沢。 OKIのラップはアルバムで聴いたのと変わらず、めちゃめちゃクリアーで、声の抜けが素晴らしく、相方のSEI-ONEは押韻スタイルを押し出しつつ激しく動くラッパー然としたパフォーマンス。 スタンダードな2MC+1DJのセットは、久方ぶりの現場となったオレに心地よい。 ヘビロ中のOKIのソロアルバム「ABOUT」から、GEEKでのドファンクナンバー「Wave」をはじめ数曲をキック。 LUNAをゲストに「マリオネット」を披露してくれたときは上がったなあ。 「1から10、世知辛く~」って一緒に歌えたよww まだフロアが温まってなかったこともあり、パーフェクトじゃなかったかもしれないけど、正統派のパフォーマンスに大満足。 ![]() お次は相模原レペゼン、SAG DOWN POSSEからSD JUNKSTA! 二番バッターながらそれぞれがエースで四番張れる個性派にして実力派ぞろいのマイク集団、否応にもテンションが上げられた。 長髪なびかせ抑揚のあるフロウでのっけから飛ばしてきたNORIKIYO、2曲目でBRON-Kアルバムでのタッグ曲「渓流にひる便」でそのBRON-Kを招き入れる流れに声を出さずにはいられない。 さらにBRON-Kアルバム「奇妙頂来相模富士」(傑作!)から狼煙をあげる「第三調整砂漠 ~SD PHONK INTRO~」で高音ボイスがやたらアグレッシブなWAXが飛び出し、もうヤバイ。 トドメはTKCの「Don t Stop SDP 16箇条」! フロアはダンスホールと化した。 ここまでで導入だからね。 多人数マイクリレーの醍醐味を序盤の数曲で完璧に見せつけた。 そのギラつき具合や個性の放つ多様な光を見るに、初期のラップに傾倒しスタンダードなヒップホップをやってたときのシンクタンクを思い出した。 後半は個々のソロ曲で、ソロとしてレベルの高いMC集団であることも証明。 NORIKIYOの「23時各駅新宿」、BRON-Kの「何ひとつうしなわず」という2大クラシック(どっちもBach Logicビーツ!)に浸れたのもたまらなかった。 SD JUNKSTAが今、ノリにノリきってる集団だということを、ブルーハーブお目当ての方々ですら、感じ取ったのではないだろうか。 ![]() ここにきてオレが一番楽しみにしてたSEEDAの登場だ。 「紙とペンと音と自分」からしっとりかつ情熱的に歌い上げるSEEDAの姿は、一曲目にして既にオーラが漂う。 「街風」からは唯一となった「TECHNIC」で上げてきたかと思えば、アカペラで客に強烈に、生きてんのか(意訳)と訴えかける。 重厚なクラシックビート(JIGGAのPSA)をバックに英語詞の「Monkey see Monkey do」を1ヴァース決めてきたかと思えば、「ここは日本だバカヤロウ!」の一言でひっくり返して「ADRENALIN」、「不定職者」のバンガーだぜ!? さらにはA-THUGも交えての「自由の詩」まで。 どこをどう切り取ってもヒップホップ。 そして後半部。 「LIVE'and LEARN」や「花と雨」、自身のパーソナルなことを情感たっぷりに歌い上げる姿。 そこにこそ、SEEDAの真髄があるように感じた。 群を抜いてスキルフルで、底抜けにヒップホップ。 そんな男が聴かせる、演歌のようなブルース。 締めの「Nyce Dream」には鳥肌たった。 All he need is one mic, one beat, one stage. ![]() トリはこの日、渋谷O-EASTに駆けつけた人の多くがそれを目的にしていたであろう、THA BLUE HERBのステージ。 SEEDAのステージに「MIC STORY」でBOSSが出てきて、ああ、この人なんか違う気がする、とおぼろげに感じたものが、確信に変わる。 正直言ってオレはブルーハーブが苦手だった。 何が苦手って、ややこしそうだったから。 そんなクソみてーな理由で食わず嫌いしてたオレってなんなんだろう。 いくつか語り草となっている、東京での貴重な彼らのライブ。 オレにとって今回見た、彼らのステージはそれらと同じく、ものすごい衝撃を受けた。 敬遠してたゆえに彼らの音源はほぼ、聴いたことがない。 しかしそんなのまったく関係ねえ。 なんなんだ、あの圧倒的なまでの存在感は。 自らをミスターストイックと言い切る本気度は、ステージに自らの手で持ち込んだ2リットルのペットボトルの水を見れば一目瞭然だ。 富も名声も、欲しいものは得てきた、そう語れるベテランでありながら、誰よりも危機感を感じ、常に全力で戦いつづけなければという気概。 過去、現在、未来、つづくオレたちの人生という闘いの代弁者たる強烈なメッセージ。 アーティストとしてのオーラが違う。 詰め込むタイプのライム・フロウを1時間半近く、途切れることなく、枯れることなく放ちつづけ、バースの終わりでは挑戦的に、扇情的に歌い上げ拳をかかげ、曲間で発せられる言葉のひとつひとつにいたるまでが魅力的で、重い。 こういう人をカリスマと呼ぶのではないだろうか。 オレはここまでステージにかけ、客に真摯に向き合うラップのアクトを見た記憶がない。 今まで見てきたのは何だったんだろう、そんな思いすらよぎる衝撃。 そうまでして伝えたかった彼らのメッセージをより深く知るために、音源をじっくり聴かせてもらおうと思う。 ああ、幸せな3時間だった。 所謂ヒップホップ的な運営のルーズさもなければ、何よりこの奇跡のラインナップをキャスティングしたことが凄すぎるわけで、TSUTAYAさまには足を向けて眠れない。 現場で起きてんだな、やっぱ。 家に篭ってちゃダメだ。 ライブで騒ぐラップ、栄光あれ。
by blue-red-cherry
| 2008-03-19 10:22
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