犯人に告ぐ

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モンハンフィーバーの最中にあり、移動はPSPに割いてたが、連れの強いオススメに従い、「犯人に告ぐ」、読了。
上巻こそそれなりに時間がかかったが、展開に色が付きだす後半はイッキに読めた。

エリカの「別に」で騒がれた「クローズド・ノート」の作者らしい雫井さん。
この人の本を読むのも初めて。
最近特に人気を博している警察小説も、昔仕事で本を多く読んでたとき以来だ。

劇場型捜査、という大きな筋を軸に描かれる、男・巻島警視の物語。
巻島自体、その抱えたものの重さから、淡々と生きる姿が主だが、事実を中心に綴られるストーリーは波こそあれど、ある種淡白で、こちらの感情を揺さぶるような展開は決して多くない。
しかしそれもエンディングへの布石の積み重ねだったんだと思う。
不覚にもラスト、電車の中でウルっときてしまった。

この人も所謂ゼロ年代作家なんかとは違い、奇をてらうような言葉選びだったり文章構成はなく、正統派の言葉で正統派の文章を紡ぎだし、正統派のミステリーを完成させている。
登場人物も個性はあるが、正統派の系譜を逸脱しない、正統派の物語。
警察小説って基本構造は警察である以上勧善懲悪なところが分かりやすくって、好きになる人が多いんだと思う。
だが、警察の不祥事が相次ぐご時世、性善説も含めて、1+1=2じゃさすがにエンターテインメントは成り立たない。
巻島の背負う業は広く人間誰しもが、そのスケールこそ違えど味わいうる感覚で、そこを通じてただの警察小説に終わらせなかった。
思ったよりはるかに楽しめた。

善悪のパラドックスを個人レベルまで落とし込んだ感覚を勧善懲悪のフォーマットにのっけてうまく閉じ込めると言うか納得させると言うか。
この手の話は最後の救いがあることで、読み手も救われる。
by blue-red-cherry | 2008-04-26 00:43 |
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