Rising Down

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グループ史上もっともポリティカルな内容となった、ルーツの最新作「Rising Down」
その触れ込みどおり、ブラックソートのエモーショナルなスピット、音圧の重さ、激しさ。
ハイレベルな演奏と力強いライム&フロウがベースなことに変わりはないが、本格的なジャジー・ヒップホップをバンドという形態でシーンに提示したデビュー当時の面影はない。
個人的には「PHRENOLOGY」以前と以降、っていう感じで、以降に関しては、ヒップホップビートを奏でる、あくまでラップが乗るためのマナーに沿ったビートを奏でるためのバックバンドという印象を変え、むしろバンドの奏でるギターやベース、ドラムがMCを引っ張っていくようなスタイルに聴こえる。
どちらのスタイルが良いとかこうとかそういうんじゃなくて、世に所謂ジャジーなヒップホップが溢れている昨今、その音楽性を更なる高みへ昇華させていくルーツの姿勢は大歓迎。

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75 bars

今作もバンドスタイルの進化、深化の延長上にあるとは思うが、テーマ性が強く、コンセプトアルバムっぽく受け取った。
まあ例によって歌詞が分からないので、イメージの域を脱しないが。
しかしREBEL MUSICでもある(あった?)ヒップホップ、メッセージにパワーがある作品は結構グっとくる。
ちょっと引くぐらいブラックソートが迫ってくる演出の「75 bars (black's reconstruction)」のビデオがスゴくて、エフェクトかけてなければイヤフォンを突き破って唾が飛んできそうなスピット具合。
こういう感じは好きだ。

この曲をはじめ、ドラムが刻むリズムはいたってシンプル、その上を重たいベースや、威圧感のある電子音が乱れ飛ぶ、攻撃的なトラックが多い。
イントロ後、アルバムの幕開けを告げるタイトル曲の「rising down」からしてヘヴィ。
モスデフとスタイルズPっていう人選もハードに決まってる。
坦々とビートを刻むドラムとギターリフ、時折腹にズシンと響くベースとうねる電子音。
狂うわ。

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get busy

随分前のこととはいえ、残念だったのはPeedi crakkの参加が「get busy」の1曲に留まったこと。
個人的に今現在、Philly's most wantedは満場一致でPeedi。
異論は受け付けない。
彼がルーツ入りするって報じられたときは狂喜したのに。
その後の経緯は知らんが、この「get busy」での客演ぶりがカッケーから惜しさが増した。
これまたヘヴィロックに通ずるような重量級のトラックだが、同じくフィリーのジャジー・ジェフのスクラッチで構成するフック、そして高音ボイスでフリーキー、フリーキー、フリーキーフリーキーフロウをかますPeediがいるから映える。

アコースティックなギターの鳴りと、ゆったりしたリズムが前半の怒涛のヘヴィネスから少し安らがせてくれる「criminal」、結構好き。
畳み掛けるドラムがアルバム内では特にヒップホップっぽい「lost desire」も中毒性が高い。
しかし、「lost desire」のタリブ・クウェリ、その次の「the show」のコモン、コンシャス派を代表する2大MCのことだ、きっといいこと言ってるんだろうなあ。
日本版で手に入れるべきだった。

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rising up

クライマックスはタイトルと対極のタイトルがついた「rising up」
GOGOサウンドを採り入れたトラックはすべての楽器が躍動し、派手ではないが奥行きがあり、ザッツ・グッドミュージック、懐かしい肌触りのする、ヒップホップバンドならではの曲。
ヘヴィでアグレッシブなルーツ・サウンドを披露し、それはそれでカッコよかったが、こういうヴァイブスのルーツ・サウンドを聴くとホッとするのもまた事実。
エリカバドゥやジルスコット、ジャグァーライトと、バンドにピッタリのシンガーを起用するセンスはいつも分かってらっしゃる、と思ってたがクリセット・ミシェルもまた然り。

今までのアルバムで一番好きかって問われればそうではないが、今までのアルバムにはなかった魅力が詰まっている、聴き逃せない一枚。
チルしたいときに聴くアルバムがあるように、攻めのスイッチ入れるときに聴いたりしたり。
何を演ってもルーツはルーツなんで、またいつもどおり次が楽しみ。
by blue-red-cherry | 2008-06-05 20:21 | 音楽
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