The Formula

カニエやネプチューンズの革新的なサウンドに物凄く期待する一方で、常々90'sのヒップホップを再生しているように、ビーツ・トゥ・ザ・ライム、ストレートなヒップホップを吸収していないと干からびる。

The Formula_c0025217_1631880.jpg

今、いちばん古き良きの遺伝子を受け継ぐストリクトリー・ヒップホップのサウンドメーカーといえばナインスワンダーでしょ。
プレミア直系と言われたのも今は昔、変らずプリモ風味なチョップンロールは聴かせるものの、声ネタの早回しの巧さは他のプロデューサーの追随を許さないし、ソウルフルなネタ選びはソウルブラザーナンバー5以内であることは間違いない。
そのナインスワンダーと、バックショット率いるブートキャンプクリック周辺で固められたダックダウンレーベルが組んだのは昨今のヒップホップ界における幸せなトピック。
いくつかの良質なアルバムを出してきたが、バックショットと組んだ2作目の「The Formula」の出来がすこぶる良い。

The Formula_c0025217_1634075.jpg
Go All Out

ブラックムーンの代表作、「I Got Cha Opin(remix)」へのオマージュを感じさせる「Go All Out」
PVもthrow backだけど、ホーンの鳴りはまさしくあの頃の質感。
バックショットの変らぬフロウ、固めの韻をスピーカーにまとわりつくような粘質の声と、合いの手に入ってくるゆるめの女声。

The Formula_c0025217_164023.jpg
Hold It Down

ビギー、ジェイZがブルックリンの光だとすれば、ブーキャンやMOPはブルックリンのなんだろね?
なんだろね?のほうに入ってくるタリブ・クウェリをゲストに迎えたシングルの「Hold It Down」の高揚感もたまらない。
これもまたホーンがネタの決め手だが、哀愁漂うストリングスとともにヴァースを常に扇情的に奏でる。
ちょい渋めの男声ボーカルがその煽りを決定的にする。

楽器でいえばホーン、それとボーカルのはさみ方のうまさが際立つこのアルバム。
女声ボーカルから入る「No Future」は美メロ。
美麗メロ。
弦を弾く一音一音が切ない感じの響に聴こえる「Whassup With U」なんかは、ピークを過ぎたあたりの時間に大人のフロア映えしそう。
早回しのサンプルと、落ち着いたシンプルなライムがピッタリのピースなサウンド、「Here We Go」もいい。
ラストを飾る「Man Listen」もソウルフル。

1プロデューサー+1MC、さすがの統一感がある。
全体的にらしさが出てる固めのドラム、スネア、キックに、硬軟織り交ぜたメロやネタの展開で、統一感はありつつもトラックのバリエーションは多彩。
ナインスワンダー好きならば間違いなく気に入る。
すべて彼のアベレージを超えてきてるんじゃないだろうか(そもそも最近の彼はアベレージが高い)。
バックショットは変らないからこその良さをこれでもか、と味あわせてくれる。
なんかの企画でやってた「I Ain't No Joke」のカバー聴いて確信したけど、ビジュアルとか聴こえのとこでいうと、ラキムの後継者はバックショットだという思いも変らない。
強いていえば、比べる必要はないもののあえてブラックムーンと比べると、その太さ・煙たさという部分は遠く及ばない。
そういう意味では、ブーキャンの面々はいつまでも、ビートマイナーズとの仕事を求められてしまうんだろうな。

一言でいえば良質なヒップホップ。
いまだこんなアルバムが出てくるんだから、安心安心。
I Love Backpack Rap!!
Put up, what up, BO BO BO!
by blue-red-cherry | 2008-06-26 16:14 | 音楽
<< 東京オイスターバー トマトツナライス >>