柔らかな頬

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上下巻、なかなかのボリュームで10日くらいかかった「柔らかな頬」、ようやく読了。
電車で読んだり、たまにPSP優先したり、ラジバンダリ(big up 2 あーちゃん)。
腰据えて読まないとダメだなー。

主人公・カスミの不幸(自分で選んだ感もある)な出自から、彼女とエリートデザイナー・石山の不倫話と、序盤から結構重い。
夏のカラっと晴れた日には似合わんが、ジメっとした日にゃちょうどいいかもね。
カスミと石山の不倫に両方の家族を交えたありえない北海道旅行でカスミの娘が行方不明になったことを受けて、ミステリー、サスペンスとしての物語が動く。
しかしこの話、質感はミステリーではないと思う。
確かにカスミの娘・有香を探す物語であり、その真相こそがこの物語の肝だったりするんだけど、カスミや石山、カスミの夫・道弘、そして死期を控えた元刑事の内海を加えた主要人物を転々とする群像劇としての側面が強い。
娘の行方不明という軸に向かって進むというよりは、その軸に寄り添う形で生きている主要人物の過去・現在・未来をそれぞれの視点で描く、それぞれの物語の集まりであるような気がする。

いくつかの人物を使い、一人称が刻々と変わる手法はミステリーを読み込んでいく上で非常に分かりやすい。
いや、注意深く読まないと分かりづらいんだけど、ひとつの物事を違った人間をフィルターにすれば違った見方、違った答えが導かれる。
なんというか、ミステリーでありテーマは重く謎めいているんだが、一人一人の描写が短いながらも深いので、ヒューマンもの?

いろんなタイプのキャラクターに浸かりながらも、この群像劇の締めは強烈だった。
同じく視点を変えた最後の1ピース。
核心の核はあまりにもシンプルに、そして強烈にこの物語を締める。

ここにいたるまでの冷静かつ突き動かす語り口といいラストの潔さといい、桐野夏生、好きかも。
by blue-red-cherry | 2008-08-03 13:11 |
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