ローズ・ガーデン

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村野ミロシリーズ、異色の短編集、「ローズ・ガーデン」を読んだ。

ミロの自殺した旦那、博夫一人称の語りが表題作で、それから始まる今作。
もうね、典型的な嫌いなタイプの男で、その博夫が。
癖とか振る舞いとか、どこがっていうよりは全体的に生理的に。
でもまあ、その博夫とくっついたミロがいるわけで、博夫が語る過去の中では少なからず博夫と引き合うミロが出てきてしまう。
ここまでミロに対してはたまに見せる「オンナ」な部分にも目を瞑れるくらい、ハードな新宿で生きる様が好きだったんだけど、あまり知りたくなかった過去を知った感じ。
ただ、こういう長編連作ものってそれ自体はその話の軸に対する伏線は許容できても登場人物の過去とかもろもろの設定部分まで脱線してると収集つかなくなっちゃうし、こうやって短編で見せてくれるのは悪くない。

オカマちゃん大活躍でお化けすら絡んでくる「漂う魂」あたりはユーモアを交えつつ、「独りにしないで」、「愛のトンネル」と続く3、4編目では中国マフィア、SMクラブなどミロシリーズならではのアンダーグラウンドな世界を舞台に人々の異形の愛を描く。
それぞれにそれなりのミステリーがあり、短編ならではのライトな展開が心地よく、楽しく読めるミロシリーズだ。
ただし読了後の心に残るのは、そこはかとない寂しさ。
謎解きのヒントは証拠や遺留品、トリックにあらず、人の心の機微にあったりする。
ミロの探偵業は事件や依頼を解決するだけでなく、人間のどこか欠落した部分を見つめさせる。

やっぱり博夫の話、「ローズ・ガーデン」の気持ち悪さが際立つなあ。
でもこのゾクっとするというか、どんよりした気持ちにさせる気持ち悪さが桐野夏生の魅力なような気がしないでもない。
by blue-red-cherry | 2008-09-02 19:38 |
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