リアルワールド

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ミロシリーズが終わっても桐野夏生強化月間はコンティニュー。
「グロテスク」がゴールかな、と思いつつ、同じくJKモノの「リアルワールド」を読んだ。

4人の仲良し女子高生が秘密を共有し、調子に乗り、罰を受け…って「ミスティック・リバー」とか「スタンド・バイ・ミー」的というか、それの現在進行形バージョンってのはちょっと違うかな。
正確に言うと、4人の女子高生とひとりの冴えない男子高校生の物語。
主要5人をそれぞれ章立てして、一人称の語り口で進めるスタイルが面白い。
境遇もキャラも違う5人は、表向きの「仲良しグループ」と、興味本位で繋がった「殺人犯」というつながりがありつつも、その捉え方は各々が置かれている環境や互いに互いが知らない本性、自身だけが持っている相手の印象と、複雑に入り組んでいる。
きっとJK間は特に複雑なんだろうけど、こんなことは人間関係、誰しもにあることだからこその面白さと恐さ、両方を感じることができる。
誰かが誰かをどう思っているかなんて、自分のことですらよくわからないんだから分かりっこない。
そしてそんな分からない思いを互いが探り合っていく末の疑心暗鬼の渦巻き。
うーん、生々しい。

親殺しというファクターは読んでて気持ちのいいものではないが、この物語ではそれはきっかけでしかない。
その非日常に触れた4人の女の子が、非日常と自分たちの日常の境界線を曖昧にしてしまうことで巻き込まれる悲喜劇。
なんてことはない、若気の至りで片付けられる部分もありつつ、深い闇を抱えている子もいたりで、群像劇ならではの深みがある。
リアルワールドなんて、どれがリアルか分からない。

誰がどうこうってよりは、ひとつの物語を5人の視点で楽しめる、優れた群像劇だと思った。
桐野作品は事件はあくまで表面的なもので、その実は深層心理に迫る内容が多いな。
by blue-red-cherry | 2008-09-13 10:12 |
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