2008年、高円宮杯準決勝、FC東京U-18×名古屋グランパスU18。 勝者と敗者のコントラストがより濃く、はっきりと映るユース年代のノックアウトラウンド。 切り取られた世代別の大会、その刹那が重みを与え、ストーリーを生む。 甲子園に国立、花園。 高校生たちのドラマに胸を熱くさせられるのと同じように、去年多摩川子ラシコで初めて東京のユースチームを見たオレも、この高円宮杯をグループリーグから数試合見させてもらい、いろいろと感動をもらった。 プリンスはおろかアディダスカップも見ていないオレにとって、この東京U-18の戦いは常にギリギリ、紙一重の戦いで、ゲームを支配する時間はあっても楽に決められる試合など、一度もなかった。 高い組織力を評判に聞いていたが、守備組織の強さこそ感じたものの、攻撃時に組織的な崩しを見せる場面はなかなか見られなかった。 すでに2冠を達成している中での戦い、怪我人をはじめとするアクシデントによるメンバーの離脱も続き、苦しい戦いだっただろう。 ベストな状態のベストなサッカーを見ていないことに個人的な後悔の念がないといえば嘘になるが、この厳しい戦いはそれはそれで見る価値のあるものだった。 主力を欠きながらも勝ち上がってきた東京だが、重松健太郎の離脱は1/11以上の痛手だったのではないか。 上記の理由で相手が引いてくることもままあり、カウンターにロングフィード、気の抜けない戦いを強いられた中、ワンチャンスをものにするストライカー、献身的に前線で体を張りディフェンスもこなすフォワードの存在は大きかった。 事実セットプレーや数少ない決定機をものにして、トーナメントを勝ち抜く原動力になっていたのは否定できない。 トーナメントを勝ち上がるにつれその存在感を増してきた岩淵も奮闘したが、その穴は小さくなかった。 藤原の欠場も響いたか。 三田、大貫と組むレギュラーのボランチは守備に重きをおいておらず、このチームの守備面は文字通り屋台骨、最終ラインが支えていた。 廣木と阿部の若き両SBの類稀なる1×1の強さも光ったが、空中戦をはじめとする強さの畑尾、カバーリングと読みに長ける藤原のコンビは常に効いていた。 代わりに出た平出の危機管理は目立っており、右SBに入った久保田もよくやっていたが、耐え切れなかった。 そもそもバイタルの守りが弱めな中、よくここまで粘り強く守ってきていたと思う。 この年代の頂点まであともう少し、手の届くところまで迫ったこと。 誇りに思ってほしいと思う反面、惜しかった、本当に惜しかったし悔しい。 その思いは畑尾の涙だけでなく、いろんな人の心に宿っていることだろう。 この大会を通じて見ていて、それこそ高校サッカーも真剣に見たことがなかったので、いろいろと勉強になった。 彼らにとっての大会の重み、一試合一試合の重み。 同じ「FC東京」の看板の下でありながら、その意味合いはまったく違う。 時期が時期だけにトップへの昇格や進学、その辺の複雑な問題も、このチームのピッチでの戦いそのものを追っていくことで、考え方や感じ方が変わってきた。 ここまで本当によく戦った。 ひとり欠け、ふたり欠け、満身創痍のチームがよくぞここまで勝ち残ったと思う。 時折見せた個の輝きは、今後も東京の未来で、日本のサッカーの未来のどこかで見ることができるだろう。 でもこの大会を戦ったこのチーム、その泥臭く勝ちあがってきた姿は強く、印象に残った。 残るはJユースカップ。 怪我をおして、だがルーベンこと山村がプレーする姿もついに見られた。 怪我人やサスペンドのメンバーが戻り、ひとつ、高円宮杯が重くのしかけてきたプレッシャーからも解放されるであろうこのチームに、もう少し楽しませてもらおうと思う。
by blue-red-cherry
| 2008-10-13 22:06
| FC東京
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