Tha CarterⅢ

Tha CarterⅢ_c0025217_20543246.jpg

なんでリル・ウェインがここまでプロップを得ているのか。
ベビーフェイスでキュートなルックス?
タイプじゃない。
歌うように、熱量多めに絡んでくるねちっこいライム&フロウ?
リリックはわからないから仕方ない。
わからなくって「Tha CarterⅢ」を聞いてみた。
それでもリル・ウェインがキング候補なのはわからなかったが(T.Iにも同じことが言える)、このアルバムが評価されることとか、リル・ウェインが普通にカッコいい、新しさを持ったラッパーだってことはよーくわかった。

最近思うのは、何々っぽいってアルバムはあまりウケがよくない。
もちろんそれが好きな人にはドンズバなんだけど、んでクオリティも高かったりするんだけど、まず売れてない。
90sっぽいもの、ニューヨークっぽいもの、サウスっぽいもの。
クオリティが高ければそこそこ売れるんだろうけど、突き抜けて売れるにはもっと普遍的なレベルでまず、聞いてもらえなければならない。
で。
ことヒップホップに関しても地域性や時代性を感じさせない、ボーダレスな作風が増えてきたと思う。
ジェイZやカニエ、先鋭的なプレーヤーは随分前から他ジャンルを取り込むことや、新しいサウンド、今までの概念を超えた音を取り入れることでそのボーダーを曖昧に、ごっちゃにしてきた。
リル・ウェインのアルバムで行われているボーダレス化は、リル・ウェインの歌ともラップとも取れてどちらでもないようなフロウ、そのキャラ主導で行われている。
音はどこかの時代に属するような音色ではなく、かつ誰かっぽい、というのもない。
新しいからウケてるのか、そんな簡単じゃないとは思うが、それもあると思う。
これがのちのちリル・ウェインっぽいって言われてくかどうかはわからないが、とにかくラップスタイルはもう確立してる。
あ、書きながら思ったけど、ジェイにしてもカニエにしても、それっぽいってのはとっくに出来てて、「それっぽい」のド真ん中じゃなくってもっと万人に向けて作ってるよね。
リル・ウェインの「Tha CarterⅢ」もなんとなくだけど、すごく大きなマーケット、何々っぽい人たちじゃなくって大多数に訴えかけてる、なんつうか聴きやすいの。
聴きやすい、それだわ。

Tha CarterⅢ_c0025217_20545635.jpg
Lollipop

音を選ばない個性だからこういう、シンプルな音数の少ないトラックが必然的に合う。
この「Lollipop」とかさ、テクノとかアンビエントとか好きな人でもハマれそうな感じじゃない?

Tha CarterⅢ_c0025217_20551266.jpg
Got Money

そもそもTペインサウンドはもう、トークボックスの在り方自体を変えたというかエポックメイキングしちゃったわけで、そういう意味で枠がないリル・ウェインとの相性はすごくいい。

あ、なんとなくわかってきた。
サウスのトラックって下で遊ばない代わりにフロウや歌でラッパーが色つけたり、上ネタ使いでトラックメイカーが色つけたり、ああ、確かに面白いかも。
つかこういうのがウケるってやっぱ、アメリカの音楽リスナーって肥えてるよなあ。
日本じゃ絶対ウケないよ、「A Milli」とか絶対。
ダウンビートにひたすら声ネタのリフレイン、楽器による展開はまったくなく、聴きどころは七変化のリル・ウェインのフロウ。
一方でカニエ作、ベビーフェイスが甘々に軽やかに歌うスムーストラック、「Comfortable」とか、ボビー・ヴァレンチノを爽やかにフィーチャーした「Mrs.Officer」とかはメロ好き日本人も納得の歌モノオリエンテッド具合。
ツボの抑え具合がハンパじゃない。
ジュエルズ・サンタナにファボラス、同世代と思しきヤングガンズとのマイクリレー「You Ain't Got Nuthin'」はお約束どおり、ハードなストリート仕様(こんな曲でもストリクトリーにラッパーな2人との「違い」が浮き彫りになったりするんだが、狙いだったらあざとすぎw)。
ぬかりない。

例によってまとまらない感想を書いてしまった。
今度はT.Iにもチャレンジしてみようかな。
by blue-red-cherry | 2008-10-21 20:55 | 音楽
<< 鶏ささみごはん 不如帰 >>